タグ： 亜月式 振斗 鳩が運んだ厄災

「貴方たち。今自分が何をしているのか、本当に分かっておいでですの？これは疑いようもなく叛逆ですわ」 『キラ閣下。いいえ、レイン・サウザンドチルドレン・エーケー。もう我々は貴女を正当な国家元首としては認めません。私共は貴女を此度の第三次世界大戦における最重要の戦争犯罪人であることを認め、国際同盟に送還いたします』 「まあ、まあ！わたくしを差し出せば、多くの民は求心力を失って混乱に陥りますわ！お考え直しになって？わたくしたちの愛しい国民が、道標を失い迷う姿……まさか、想像できないとは言わないでくださるわよね？」 『多くの、です。ほとんどの国民が貴女の熱狂的な支持者であった戦前とは訳が違う。他国だけでなく自国までもが疲弊していく現状を見て、貴女の支持率が低下していったのを気付かなかったとは言わせません』 「もちろん重々承知しておりますわ、民たちに不安な思いを抱かせたのはわたくしの責ですもの。だからこそ、未だわたくしを信じてくださる民のために！ここで退いて、この国からわたくしというスケープゴートを取り除くことで、国民の拠り所を壊す訳にはいきませんわ！例えわたくしの行く末が磔の刑であろうとも、今はまだ憎まれ役という役目が……！」 『もうやめてくれ！！アンタの口八丁に囚われるのはうんざりだ！！！例え国民が気付かなくとも、アンタが少しも本音を漏らさなくても、世界の平和のことなんて少しも考えてなかったってことはここにいる全員が気付いてる。だからこうしてアンタは捕らえられたんだ、直属の部下にな』 「…………まあ……そんな風に、思っていらしたの。これもわたくしの責、ですわね。誰よりも民を想う貴方に、民を想うわたくしを疑わせてしまったのですから。その失態の行く末がこの現状であるなら、確かにわたくしには妥当な罰かもしれませんわ」 『……もういい、彼女の口を塞げ。あれは危険すぎる。例え国民に憎まれようと我々はこの膿を国から除かなければならない』 「待って！最後に、国民の皆さまとお話をさせて！」 『貴女の愛しい国民に、戦争犯罪人の演説を聞かせろと？』 「えぇ。戦争犯罪人たる前代元首の演説、ですわ。非力なわたくしでは貴方たちから逃れられないと理解しましたし、逃げる気もありません。しかしここでわたくしが別れの挨拶もなく去ったら？国家元首がクーデターにより無理やり引き渡されたと感じたわたくしの支持者による、貴方たちの統治への暴動が起きますわ、必ずね」 『………………』 「わたくしの愛しき国民の皆さま。レイン・サウザンドチルドレン・エーケーより、大事なお知らせがございます」 「わたくしは、此度の第三次世界大戦を引き起こした原因を自分にあると考え、責任を果たすために戦争犯罪人としてこの身を差し出すことといたしました。その後の統治はわたくしの信頼する部下に引き継ぎますわ」 「わたくしはわたくしの政策が間違いであったとは思いません。この国の、そして世界の平和のために戦ったと胸を張って宣言いたします。そして、この戦いに身を殉じた民たちの命が、間違いであったなどとは！例え磔にされようとも口にはいたしませんわ！！」 「しかしこの政策を起因にして、世界から多くの命が失われてしまった現実を、わたくしたちは否定してはなりません。そしてその悲劇の責任を、愛しい愛しい皆さまに取らせるわけにはいきません」 「ですから、わたくしは最期まで、皆さまのために戦ったという誇りをこの胸に持って、お役目を果たさせていただきますわ。この惨状全ての責任をわたくしに擦り付けてくださいまし。それが皆さまに与えられた権利であり、わたくしに与えられた役目ですもの」 「……わたくしが敬愛する人物の伝録より、わたくしが何度も何度も読み返した文章を、引用させてください。わたくしから皆さまへ贈る餞ですわ」 「"歴史は語る、支配とは悪であると。法律は語る、支配とは掟であると。宗教は語る、支配とは神であると。"」 「"白色は。黒色は。赤色は。青色は。老年は。青年は。天才は。凡人は。強者は。弱者は。勝者は。敗者は。多勢は。無勢は。機械は。世界は。語る、語る。皆一律に、同じ様な顔をして、語る。"」 「"彼らは語る事しかできない。語る事しかできないから、そう騙るしか無いのだ。実につまらない戯言を。夢は無い等と云う絵空事を。"」 「……わたくしは、その夢にこの命を捧げました。例え絵空事と言われようとも、ありとあらゆる属性が平等に人生を享受する権利のため、幸福のために戦いましたわ」 「わたくしと共に戦ってくださった国民の皆さまには、心からの感謝をいたします。同じ誇りを抱いた同志として、同じ夢を目指した仲間として、同じ星に生まれた人類として、皆さまとお会いできて本当に良かった。わたくしは世界一の果報者でしたわ」 「ですが、これは終わりではありませんわ」 「例えわたくしの命の灯火が潰えても、世界に芽生えた平和への祈りは決して消えないことを信じています！わたくしたちは何度だって、わたくしたちの自由のため、人生のため、愛する世界のために、立ち上がることができますもの！！」 「苦しいことがありましょう、辛いことがありましょう。しかしそれらは全て、わたくしたちが確かに夢へと近づいているからこそ味わう、茨道の痛みですわ。この痛みは努力し前進する者だけが知ることのできる特権ですの！」 「ですからね、皆さま。わたくしはわたくしが潰えた後の皆さまの、その高き志と幸福を祈っておりますわ。だから皆さまもお辛いことは全てわたくしに打ち明けてくださいまし。皆さまに見えない姿でも、きっと全てを共に背負ってさしあげます」 「そうして、皆さまが喜びのために戦い続けていれば……いつの日か必ず、皆さまの覚悟の全てを共に背負わせていただいたわたくしが、このわたくしの意志を継いで舞い戻ってきてみせますわ！！わたくし自身が、わたくしの敬愛する先人の意志を継いだように！！」 「だから、どうかその日まで、諦めることなく！！その胸に抱いた人類としての誉れを持って！！希望を絶やすことなく祈り続けてくださいませ！！！」 「皆様、静粛に聴いていただきありがとうございましたわ。わたくしは確かに伝えたい言葉の全てを伝えきりました」 『……であれば、すぐにでも貴女を送還します。もう用はありませんね？』 「えぇ。……あら、そういえば貴方に言っておきたいことがありましたの」 『なんですか。手短に、お願いします』 「わたくしが処刑されるまで、わたくしの部屋をそのままにして、綺麗に管理しておいてほしいの。よろしいかしら？」 『……は、何故、』 「先程お伝えしました通りですわ。わたくしを望む声が天高く上がるのならば、わたくしは皆様のため、不死鳥の如く舞い戻る心積りですもの」 「ですから、あの部屋はわたくしの命が尽きるまではそのまま残しておいてくださいませ。もしここに戻ってこれたのなら、わたくしは今度こそ、この夢を実現いたしますわ」 「そう。世界平和のための、人道的観点からして全く正しい、素敵な世界征服を！！！」 ネオ特徴表採用 3-7 神回避:回避に+30% 4-10 ライダー:乗馬、あらゆる運転技能の基本成功率は50% 職業:オリジナル 「蹂躙するは我が手にて」HO1:A国の政治的指導者用キャラ レイン・サウザンドチルドレン・エーケー 28歳 女性 綴りはRain Thousand-Children AK。Thousand-Childrenはミドルネームであり、千子村正の家系であることを示している。 歴史上最悪に近い稀代のペテン師。第三次世界大戦という惨状を引き起こした元凶。 妖刀「村雨」および銘刀「村正」などの日本刀を継いできた英景家の末裔であり、安保条約日米共同国(英名:Ameripone アメリポーネ)の国家元首。その在り方は総統と呼ぶべきもので、政治だけでなく名目上は軍の頂点にも位置していた。というか、国を動かす権利を全て掌握していた。 その掌握した国力を用いて、世界平和を謳いながら世界征服を成そうと大戦の火蓋を切って落とした、大罪人である。 世界平和を願う行き過ぎた人格者として振る舞うが、その本性は他者への情など微塵もなく利己だけを追求して生きる危険人物。 しかし不思議なことに振る舞いを崩してまでその本性を露わにすることは滅多になく、国際同盟に連行される際も善人の仮面を被り続けていた。何故かはよく分からないが本性を晒さないことに矜恃でもあるのかもしれない。 チャームポイントであるお嬢様口調も根っからのものではなくて親しみやすさやキャラ付けのために始めたものだが、これに関しては自分の振る舞いとほとんど同化しているので、どんな状況でも滅多に崩れない。ただし緊迫した状況では口調はそのままに語彙が荒くなったりはする。偽お嬢様口調みたいに。 かつては二つあった国が統合して一つになる前、自らの先祖が暮らしていたその国に生きていたらしき、ある犯罪者が遺した記録。 インターネット犯罪者であるかの人の電子的記録を偶然発見したレインは、そこに書かれた世界征服という到底ありえない野望にあろうことか心から感銘を受けてしまった。 英景の血筋は徐々に権力を増していき政治にも台頭するようになったため、レインは生誕したその瞬間から国の上位層として順風満帆な人生がほぼ確約されていたようなものだったが、それだけでは満足できないと思ってしまった。ただ一国を牛耳るだけでは到底足りない。自分自身の人生の完全な安寧のためには、世界さえ支配してしまいたい。 そんな野望を腹の底に抱えながら、キャラクター性やカリスマを理由に若くして国家元首まで登り詰めた彼女は、口の達者さで徐々に国民を自身の熱狂的な支持者に変えていき、そうして都合の良い駒と化した自国を利用して戦争を決行した。振る舞いには一切の瑕疵がなかったレインだが、その行動や政策を客観的に注意深く観察すれば極端に利己主義であるのを把握することは可能。世界でも「善人の皮を被った最悪の独裁家」「本気で世界平和を成そうとした解放者」「周囲の誰も思考に生まれた障害に気付けなかった病人」と様々な評価が成されている。その様な有り様だったため、最後は呆気なく本気で国や世界の行く末を憂いた直属の部下に捕まってしまった。 なお人生指針が決定したきっかけとなった先人の名乗っていた名を拝借して、周囲の側近には自分を「KIRA(キラ)」と呼ばせていたらしい。 安保条約日米共同国(Ameripone)：我々の世界で言うところの日本と、現代より多少弱体化した米国が国力を維持するため合併した国家群の総称。人口3~4億人。米国が弱体化していたため日本が主導となっており首都もそちらにあるが、日本語英語どちらも使われているし国民の血もわりと混ざっている。レインも血筋としては両方の血が大体半分ずつある。 「村雨」及び「村正」：あるときから千子村正の家系であることを示すためのミドルネームが使われるようになったため、「村正」を継がない第二子以降の子供もサウザンドチルドレンの名前を名乗る。かつては妖刀伝説により畏れられ厳重保管されていた「村雨」だが、今は威厳を示す家宝として普通に持ち出されており、長子の名前も村正と村雨どちらから取ってもよいこととなった。レインの名前も村雨から取られたもの。なお村雨は普通に使う分にはただの刀であり、呪術的なアーティファクトとしての特別な使用方法があるのかはもう誰にも分からない。

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