タグ： 胡乱卓

アメリカ出身。幼い頃に親に捨てられた。それからたまたま通りがかった老人に拾われ、スラムの孤児として育つ。ジャックはその人が付けてくれた名前。左腕を失った、なんとも不思議な人だった。でも、確かに暖かくて、ジャックはおじいちゃんと呼び慕っていた。物心が付いて間もなく、老人は行方不明に。ジャックは自分の苗字を知らなかったため、何も名乗らない。ジャックは、生きるためにスリをした。そして、彼女は先天的に嘘をつくのが上手かった。表情を偽るのが上手かった。そして、手先の器用さがあった。彼女は声を掛けられて、1度ポーカーをプレイ。賭け金も特にない、ただの戯れ。そう、そのはずだった。結果的に言うと、彼女は完勝した。ジャックはキングのフォーカード。相手はツーペア。彼女は、スリで得たお金で、試しにカジノに行った。勿論本来彼女の年齢で入れるわけがない。しかし、裏のカジノならどうだろう。国内外から暇と金を持て余す裏社会の人間達が集う裏の経済の中心地。戦争に怯え、戦火を嫌い、戦場のはるか後方から指示を出すだけの木偶の棒共。そこには子供たちもいた。将来国のトップに立つような子供たちもカジノに興じていた。いや、興じなければ正気を保てるような世界ではなかったのかもしれない。ともあれ、ジャックはそこで大勝ちした。たった数十ドルの端金が、数千ドルまで膨れ上がった。ジャックは、ぞわぞわと足元から背徳感と高揚感が湧き上がってくるのを感じた。これが、ボクの武器。これが、ボクの生き方。そう確信できるほどに、彼女は強かった。その勝ち方に、カジノ側からディーラーにならないかと声を掛けられた。彼女は、それに乗った。乗ってしまった。ディーラーとしてイカサマを繰り返す日々。しかし、彼女は常に命懸けだった。そこは、綱渡りのような危ういバランスを保った世界。いつどこで戦争のボタンが押されるかわからない世界で、勝ちの配分もカジノ側で決まっていた。そのために彼女は雇われたのだ。年端もいかないディーラーだったが、彼女はカジノのマスコットとして受け入れられた。彼女はそこで、10年以上生き抜いた。一度のミスが命取りになる世界。イカサマがバレたら、彼女のみならずカジノ側全員が惨殺されたとしても何ら不思議ではない。しかし、その生と死、境界を綱渡りする日々が、彼女にとって心地良かった。 そんな日々を過ごしていたジャックに、転機が訪れる。カジノでいつものようにカードを切り、配分し、カードを操っては勝利も敗北も思いのままに動かす。一度休憩しようと控え室に向かう。その途中で耳にした。ドイツのアンデッド大隊の話を。何でも、銃を自由自在に操り、人を殺す事に躊躇いもない少女がそれを束ねているのだそう。そのような人材が、大隊単位でいる。世も末だなー。そう思い、ジャックは足を動かそうとした。次の瞬間、耳を疑った。何でも、その大隊を作り上げたのは左腕を失った老人らしい。まさか、いや、違う。きっと違う。だってあの人はあんなにも優しかった。あんなにも温かった。あんなにも…笑って、くれた。でも、もしも。本当に、おじいちゃんだったら…？そう思うといてもたってもいられなくなり、ジャックは今まで培った人脈を全て動かし、ドイツへ飛んだ。顔を隠し、昔の様にスラムに身を潜める。そして、軍部の総帥が演説のために出てきた。間違いなく、おじいちゃんだった。何度も夢見た。会いたかった。ずっと、ずっと探してた。ジャックは、軍部に忍び込んだ。かつてカジノを訪れ、作っておいた人脈を全て使い、とうとう総帥の部屋まできた。扉を開け、中のおじいちゃんに飛び付く。強く抱きしめれば、右腕だけで抱き締めてくれた。ああ、懐かしい。かつて失ったはずの温かさ。帰ってきたんだ。そして、今までの話をした。おじいちゃんは、何も言わず聞いてくれた。日が暮れ、時計の針が12時を示した頃、おじいちゃんが何処かに連絡をした。今日は遅いから、泊まりなさい。そう言って、別の部屋に連れていかれた。ふかふかのベッド。温かいご飯。ジャックは幸せだった。食事を終え、微睡んでいると激しい叱責が聞こえた。その声は間違いなくおじいちゃんの声。その声の合間を縫って聞こえるのは、恐らく少女の声だ。淡々と、冷徹な。底冷えがするほど感情が込められていない声。おじいちゃんは暫く少女を叱責していたがやがて、声は優しくなり、戻るように指示を出した。軍靴の音が遠ざかっていく。その音は軽やかで、あまりにも軽くて。ぞっとした。その日は、ジャックは眠れなかった。 次の日から、戦争が激化していった。ジャックは、帰れなくなった。ドイツに滞在したまま、戦争の最終局面を迎えることになる。核が次々落ちていく。この世界に安全なんて無くなった。どこもここも破壊の火が及ぶ。ボクは、きっとここで死ぬんだろう。せめて、最後におじいちゃんに、一度。一目、会いたい。そう思い、ジャックは駆け出した。そして、目にしたのは、少女がおじいちゃんの首をナイフで掻き切った姿…。部屋は鮮血で染まり、少女の軍服も血に塗れていく。少女は、満足そうな顔で眠ったように動かなかった。きっとこの子が、ゲルトルーデ。軍によって殺され、壊され、戦う事を強いられた少女。恨む事は出来なかった。軍がする彼女にした仕打ちは、到底許されることではない。ジャックは、全てをおじいちゃんから聞いていたのだ。彼女がいかにして鋼鉄の戦乙女になったのか。彼女に取り付けられた安全装置の作動法も。彼女は酷い目に合わされた。それを指示した総帥。その償いとして愛され、少しの間育てられたボク。彼女を責めることは、ボクにだけは許されない。短く、ざっくばらんに切られた銀髪に触れ、頭を撫でる。おやすみ。どうか、安らかに死んで欲しい。もう、貴方は動かなくていいんだ。戦わなくていいんだ。そして、ジャックはゲルトルーデの手からナイフを抜いた。自分の首にあてがう。そして、一気に引いた。視界が暗くなっていく。 さよなら、ゲルトルーデ。同じおじいちゃんに育てられた、一度も会えなかったボクの姉。どうか、次は幸せに。 そして、願いは叶わず。ゲルトルーデとジャックは、ネクロマンサーに拾われ、ゲルトルーデは再び、ジャックは初めてドールになる。そして、別々のタイミングで、別々の場所に送り出された。二度と、会うことは無いだろう。 明るい性格。基本的に何時でも笑っていて、本当の感情を見せない。その実態は、かなりの甘えたがりで寂しがり。スラムで育ったせいか、人の温もりに弱い。ずっと仮面を被っているが、心を許すと本当の顔を見せてくれる。姉がいたような気がするが、さてどうだろう。一人称はボク。飄々としているが、裏社会で表の平和のために尽力していただけありかなり献身的。看破は裏社会で培った経験。死んだ事を割り切って考えており、存分に死人の体を活かす。背徳は今はもう忘れてしまっているが、ゲルトが経験させられた事を想起し、戦う活力へ変える。姉はこんな所にも耐えてみせた。ならばボクも耐えてみせよう。あの人へ、せめてもの贖いに。若干違うのは許して欲しい。記憶は無い？野暮です。 金髪蒼目。髪は後ろで三つ編み、一本に束ねている。顔は割と童顔。年齢より下に見られがちなのを実はちょっと気にしている。本当に仮面をつけている。ネクロマンサーが付けたもの。顔の半分を覆うやつ。泣き顔の模様の仮面。パーツではない。脆いしネ！フレーバーです。服装は燕尾服っぽいやつ。ディーラーの服とは…。白い子猫のアンデッドを肩に載せている。ちなみにドイツまでちゃんと一緒に行った。

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