タグ： アステル

どこからどう見ても一般人だった。衰退した魔術師の末裔にして先祖返りした少女。 既に衰退した家系であり、両親は魔術師ではなく、魔術については家にあった古い書物でしった。 2年前に交通事故にあい、一命を取り留めるも両親は死亡。 物忘れが多く、何をするにしてもメモを取る必要がある。 昨日の献立などどうでもいいようなことから、通学路やその日の予定、更には家族との思い出すら記憶から抜け落ちていく。 勉強にしろなんにしろ、辞書や参考書を手元において置く癖がある。 魔術についても同じで、咄嗟に詠唱などはできない。 今覚えているのは体に染み付いた予定表を見る癖と生活に関わる常識やマナー。 幼いころの親友も、甘酸っぱい恋も、両親との思い出も、両親の最期ももう抜け落ちてしまった。 その原因は己の起源『忘却』が交通事故で覚醒、その副作用である。 起源覚醒をコントロールし自在に操ることを目的とした彼女の家の特色が色濃く現れてしまったのだ。 記憶の『忘却』を代償に、魔力を大量に溜め込むことが可能。だが油断すれば五感や理性すら『忘却』し残るのは大量の魔力だけである。 魔術師としては三流であり、攻撃手段は強化と魔力を無理やりぶつける魔弾/魔砲。 ただし魔術回路が多いわけではないので宝具のような火力は出ない。 趣味技能を振り分けていないのはすぐに忘れてしまうから。 未だに彼女は白紙のノートであり伽藍の堂、『忘却』さえ無ければむしろ人並み以上の記憶力が備わっていた筈である。 聖杯への願いはこの体質の解消。己の起源の否定である。 クスキク　ナオハ　→　キオク　ハ　ナクス

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