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新宿二丁目のクラブでダンサーをしている男性。オカマ。 顔よし、スタイルよし、自分の美しさに自負と自信を持つ。ダンスも栄えるし、口もたつ。 「パウアンヌ」は源氏名。ステージ上では派手で高飛車だが、オフでは物静かにつんと澄ましている。オンオフの差が激しい。 「アタシのことはパウアンヌって呼んでくださる？　本名は気安く教えないようにしてるの」 「好きになっちゃったら違うわよ。仕方ないじゃない」 トランスジェンダー。心は女性。恋愛には盲目的で、人を信じやすい純情（？）な一面もある。恋愛対象は両性のバイ。好きになったら性別・年齢・種族（？）問わない。ストライクなのはロマンスグレーのおじさま。可愛い女の子は恋愛というより自分で磨きたくなる。 高校卒業とともにダンサーとしてデビューした。ダンスの身体能力でもって、女っぽさを馬鹿にしてきた野郎どもに飛び蹴りを食らわせていた経験から、キックの精度もそこそこ。 母親は元歌手、スキャンダルでバーのママに転身したらしい。父親は不明だが、瞳が青いので外国人かもしれない。昔から金銭には苦労しており、母と夜逃げを繰り返すなどしていたため、隠れる系技能が高くなった。 （夜はMAJESTIC-PALACEの広間に翻る孔雀服（パウアンヌ）の裳裾、賭博館の窓からは「賭けたり、賭けたり（フェト・ヴォ・ジュウ・メッシュー）」という玉廻し役（クルウピエ）の懸け声もきかれようという。　　　——「ノンシャラン道中記：07　アルプスの潜水夫　モンブラン登山の巻」/久夫十蘭） 「火点し頃の蜘蛛踊り」 PC4　観光客 　ネタバレ注意！ 顔もスタイルも良いが、男運が地獄。 付き合っていた男に貯金を盗まれ逃げられた上に、借金の連帯保証人になっていた。気が付けば2000万もの借金。逃げた男を追って縊り殺してやりたいと思っているが、探しに行くための余裕は金銭的にも時間的にもない。。 ほんの何人かは貢いでくれるファンがいるが、巻き込みたくない気持ちとプライドから、補助は生活費にとどめていた。 タイプでもない屈強な借金取りに脅迫される日々。「そろそろ疲れちゃったし、海の底で物言わぬ貝にでもなるかー」とヤケになっていたところに、この話が舞い込む。 謎の石を持って帰れば2000万？　なんともきなくさい話である。本当かどうかもわからない。その石とやらを持って帰ってきたところで、証拠隠滅に殺されるかもしれない。屈強な借金取りが屈強な秘密組織にとって代わるだけだ。 でも、もしも本当なら……あの男を捕まえて絞め殺してやれる。 無理そうなら、どうせ死ぬなら海に囲まれた離島のほうがいい。 と、自暴自棄ともいえる覚悟で船に乗り込むことにした。

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