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【作品】 作風について ・全てを語ることはしない文章。想像力を膨らませて読む物語。 ・登場人物は主人公と誰かの２人であることが殆どである。 ・穏やかで、優しくて、寂しい作風。 『六花』 久世六花の処女作。長編小説。 冬の季節に主人公が身元不明で謎の多い人物と出会い、ささやかな日常を過ごす。 平坦でありふれた物語であるが、"無情にも季節は廻り、そして春がやってくる。"という一文により終わってしまう。 最後の一文による喪失感が反響を呼ぶ作品。 結末についての考察は数多く為され、"主人公と謎の多い人物の別れ"が最有力な説である。 また、"謎の多い人物"についての正体も考察されることが多いが、小説では一切語られていないため、"幻覚"、"筆者の偶像"、"幽霊"、"雪の精"などなど、あることないこと言われている。 『参拝』 長編小説。 主人公がある神社にて百度参りをする物語。 主人公の祈願の内容は最後まで明かされることはないが、登場人物が珍しく主人公一人のため、"誰か"に関する祈願なのではないかと考察されている。 終始神社に訪れては参拝するだけあり、成就する兆しは一向に無い。 季節が変わり、年齢が変わり、環境が変わり、関係も移ろっていくが、主人公はその変化に気が付かないようだ。 愚直か、あるいは一途か。読者によって印象が変わる作品。 『柚子』 百篇からなる詩集。 自然の美しさを詠う試作から、心情を綴る散文詩まで。 主人公と誰かを主題にした小説とは違い、筆者自身の思想を掘り下げるような、感性が素直に表現されているような作品。 "雪"、"氷"のような洗礼された白を思わせる詩が多い中、"彼岸花"、"金魚"などの隠しきれない赤が混じる。 その中でも、一篇だけ黄色を思わせる詩が収録されている。表題作の"柚子"だ。 詩の内容は"未熟な柚子が道端に捨てられており、歪に割れた実からは果汁が溢れていた"というものである。 『雪花』 短編小説集。 （考えるな、感じるんだ・・・！） ・雪花 表題作。 "君の為に手折った花は、雪のように溶けてしまった。" ・手袋 "「私にとって人形など、人間となにも変わりやしない」" "私は、天鵞絨の手を掬う。" ・髪紐 "「思った通りだ。君には、赤がよく映える」" "好きな色ではないと称した髪紐を、その割には身に着けているものだから。" 他、『白姫』『小雪』『冬月』など収録。 『桜花』 長編小説。 とある怪事件を巡る物語。 久世六花の作品にしては珍しく登場人物に名前が与えられている。 大正に生きる作家の"律"と、未来から訪れた学生"敦"の絶妙な会話文を中心に物語は進む。 奇妙な出会い、徐々に打ち解ける関係と、紐解かれる真相。 そうして予感された別れ。 "緩やかに季節は廻り、そして春がやってくる。" という一文で締めくくられている。

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