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『あたしの細胞ゾウリムシか！！！！！』 　ふじもとお笑いホールの受付嬢として働く28歳女性。陽気な性格で、明るい関西弁とショートカットがトレードマーク。 　大学進学を機に上京、教育学部で中学国語の教員免許を取得。演劇サークルに所属し、喜劇女優となる夢を持つ。就職活動はせず、卒業後は夢を追いかけるため、劇団のオーディションを受け続ける。その結果劇団員にはなれたが、生活苦故に退団。劇団員の先輩に受付嬢の仕事を紹介され、現在に至る。 　仕事柄芸人のネタを見る機会が多かったが、「これなら私にも書けるのではないだろうか」と漫才やコントのネタを書き連ねるようになる。傾向はシュール寄り。文学の香りを全体的に漂わせる世界観と、語彙豊富なツッコミ。 　劇場の宴席で知り合った年上のピン芸人、アリムラという青年と付き合うようになる。しかし付き合ってみると愛に金を無心し、ギャンブルで散財する繰り返しの生活を送るというクズの本性を現す。やがてネタを書くことすら放棄し、愛のネタ帳を見つけるとそこからネタを丸パクリし、自信満々に披露しては滑り、彼女を罵倒し始め、終いには暴力をも振るうように。見えない場所につけられた痣、しかし惚れた弱み故に愛は中々別れを切り出せなかった。そんなある日舞い込んできたのが京都旅行への誘いだった―― 1/18　終了【町屋の記憶】　生還 　バラエティ番組でパネリストとして参加していたアリムラ。そこにゲストとして同じスタジオにいたのが、カリスマ占い師として話題を集めている津守真緒という青年。収録の打ち上げで酔い潰れたアリムラを迎えに来た愛は、誰とでも仲良くなろうとする真緒と渋々連絡先を交換する。しばらく経って後、彼から『京都旅行へ行かないか』と誘いが来る。真緒は男性であり、当然付き合っているアリムラに対する罪悪感を抱えながらも、愛は「これで何かが変わるかもしれない」と、真緒と共に旅行に行くことを決めた。 　途中、真緒の友人である若くして骨董商に従事する花菱翔と合流し、町屋での不思議な体験を共に経験するが、それはまた別のお話。 　町屋で過ごす初めての夜、愛は真緒に占いを依頼した。 「今付き合っている人と、あたしは別れるべきなのでしょうか？」 真緒はタロットを切り、机の上に並べると重たげに口を開く。 「確かに別れるべきかもしれませんね……、でも──」 一つ息を吐いて真緒は続ける。 「そういうことを訊ねるってことは、もう愛さんの心は決まっているのかもしれませんね？」 　東京に戻る新幹線の中で、愛は2つの決心をした。 　ひとつはアリムラに別れを告げ、同棲状態を解消すること。 　そしてもうひとつは、大学時代に抱いた喜劇女優になるという夢を再び追いかけるということだった。 *** 　　2/3　終了　『罪の身代わり』生還 　喜劇女優になる夢のため、先ずは身近な場所からと受付嬢からお笑い芸人へと転身した愛。隣に座って一緒にチケットを売っていた村下藍子を誘い、「Bアロンソ」というコンビを結成。おおよそ女芸人とは思えない勢い、声量、またネタ。今までになかったタイプのお笑いで、劇場での人気はうなぎのぼりだった。その勢いは最早、元カレであるアリムラを打ち落とすほど。 　アリムラはというと、ネタを書いてくれていた彼女を失ったことにより劇場人気も落ち、益々仕事を逸していった。そういう意味では愛に対して強い恨みを持つようにはなったが、劇場の仲間内は皆アリムラよりも愛に肩入れしていたので、復讐を果たすことはできそうになかった。 　アリムラとの同棲を解消してすぐ、愛は通っていた大学の近くのワンルームマンションに引っ越していた。家賃も安く、快適な日々を送っていたが、如何せん曰くつき物件でラップ音が時折なるのが玉に瑕。そんなある日、隣室に住む学生、「十二村武士（ﾄﾆﾑﾗﾀｹｼ）」と共に不思議な洋館に迷い込むことになるが、これはまた別のお話。 　お笑い芸人としてネタを見せるだけではやはり食っていくことができず、大学時代によく通った古ぼけた古書店のアルバイトをするようになった。年老いた店主の代わりに朝早く店先に立ち、掃除をし、レジを打つ。査定は店主に任せ、自分はぼんやりと読書に耽るだけのアルバイト。給金は決して高くはなかったが、彼女の文学的な世界観を広げるには十分すぎる時間だった。 *** 　3/7　終了　『死斗！探索者最期の日！』生還 　劇場舞台を今日もこなし、満ち足りた気持ちでベッドにもぐりこむ。丑三つ時に炸裂するラップ音の応酬も最早気にならなくなった。そんないつもと変わらない夜、愛は奇妙な夢を見る。冷たい手術室のベッドの上で身動きが取れない。体中を書き換えられていくような感覚に蝕まれる夢。甲高い悲鳴を上げて起き上がると、明らかに自分の部屋ではないと一目して分かるほどに広い部屋の中にいたのだが、それはまた別のおはなし。 　「なんでスキンヘッドの青ハゲやねん！！！！」 　目を覚ますとまぎれもなく自分の部屋だった。あれは夢だったのだろうか、首を傾げながら今日も愛は劇場へと向かう。 　ちなみにその時見た夢をネタに織り込んでみた。 藍子「ショッカーの下っ端って健康保険入れてもろてるんかな」 愛「入ってるらしいで」 藍子「ホンマに！？」 愛「なんか家族を設けても扶養に入れてくれるらしい」 藍子「悪の組織も日本の保険制度には勝てへんねんな」

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