タグ： 終電逃し

「僕は、……何が描きたかったのかな」 一人称：僕　二人称：○○くん、〇〇さん 漫画家。今はお休み中。 高校時代から漫画を描き始め、アルバイトとして有名漫画家のアシスタントをしていた。高校2年生の時に有名雑誌の読み切りに、3年生の時に同じ会社の少しマイナーな雑誌で連載を持つ。内容は青春物で、人気は上々。顔出ししていなかったのは身バレと顔を隠して勝負したかったから。本人が決めていた終わりと、まだ連載させていたい会社側で一度喧嘩になったものの、担当編集者のおかげできちんと終わることが出来た。その漫画は深夜にアニメ化もされ、大衆の認知度はそこまでなものの、知っている人にとっては名作となっただろう。 しかし、彼が描きたかったのは、かつての中学の友人と貸し借りしたような漫画だった。熱くて、楽しくて、最高の漫画。しかし、彼が描くとどこか個性がなく、ありきたりになってしまう。読み切りも、連載も繊細な人間の感情の揺れ動きがメインだった。アクション系の漫画は全て却下されたり、賞にもならなかったりした。 描きたいものが描けないことから、連載終了後、彼はスランプに陥る。次の漫画が描けず、休んでいるという状況だ。やや自暴自棄になり、何かに縋りたい、救われたいと思った時に、とある宗教団体と出会う。後はこのシナリオのKPC設定のように進んでいく。稼いだお金も無くなり、こんなこと言えるわけない、頼れるわけないと家族や会社にも言えていない。もう駄目だと自殺しかけた時、仁彩くんを見かける。身代わりにしようという気持ちと、彼に話したい気持ちがせめぎ合う。死にたくはないけど、もし死ぬなら彼と話してからがいい。なんて自分勝手だろうか。 性格は基本は大人しく、目立たないタイプ。急に話かけられると戸惑うことも多い。しかし、好きなもの（2次元の物）にはとことん熱中し、趣味を共有出来たら明るく笑うことも多い。自分でやるぞ、と決めたら真っすぐで、発言も堂々とできる。そのため、交友関係は広くないが、なかなか仲良しさんも多い。仲良しだったからこそ、今の自分に自己嫌悪して、何も言えないのだが。 今は一人暮らし、両親には休んでいるだけと伝えている。父親が煙草を吸っており、その匂いが落ち着く。自分では吸わない。 仁彩くんとは一番仲が良かった、と叶は思っている。小学校時代にも、高校にも友達はいたが、ここまで色んなことをしたり、話したりする子はいなかった。左利きのため、困った時は彼が助けてくれたし、そのお返しに自分が手助けできることはしたいと思っていた。自分も忙しくなってメールのやり取りもできなくなったのを後悔している。 ペンネームは「茶柱ろと」芥の字に川の二本線を持ってきて茶、余った一本を柱と捉え、叶をロ十、ろと、と読んだもの。 「うんうんっ！その回最高だったよね！特にここの線画がさ～！」 「あ、えと、その、な、なんでもない、です！」 「漫画描いてるとさ、話す表現まで漫画っぽくなっちゃうんだよねっ」 「え！？まだ見られてないや、見る見る！」 「……勿論覚えてるよ。へへっ、仁彩くんも覚えててくれたの？……嬉しいや」

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