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元来C国は平和主義、四季からなる豊かで美しい自然と広大な土地、長い歴史による文化的財産を誇る穏やかな国であった。旧大戦以降も基本的に軍は自衛隊のみ、核兵器を掲げずに交渉で地位を築き上げてきた。 劉紫薇もまた、戦前は一介の教師に過ぎなかった。両親に捨てられ教会の孤児院で生まれ育った彼は、身寄りや金のない子供たちに学問を教えながら生きていた。その勤勉さと天才的な頭脳が次第に世で噂になり、経済的支援を受け国内最高峰の大学に通い、そこを首席で卒業。幅広い分野を学びながら大学教授として活躍していた。 そんな中、いち早く戦争の兆候を感じ取った政府から声がかかり、軍事学の分野に着手する。本来参謀本部に立つには士官学校を通る必要があるのだが、貧弱すぎて健康調査に引っ掛かり孤児であることから身辺調査にも引っ掛かったので兵士として学ぶことはなく特例で参謀本部へ入れられた。 彼は『戦場に立ったことがない軍人』である。天才的な頭脳を以て最も有効的に軍を動かすことができるが、そこに立つ人々の感情はわからない。親や特定の大切な人を持たない生い立ち故か、彼は国と国民を愛していてもそれ以上の感情に左右されることがない。

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