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11/5生まれ　イメージCV:内山昂輝さん　（【よそのこ】敬称略です） 「ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ」──紀友則 こんなに日の光がのどかに射している春の日に、なぜ桜の花は落ち着かなげに散っているのだろうか。 そんなことを思いながら、「魔法なんてない」「自分は魔法つかいになれない」ことを信じて(悟って)いる男性。自分が光か闇かなら、迷わず闇だと答えるのだろう。その代わり、兄さんは光側の人間です、と。6つほど年の離れた「風春（かざはる）」という兄がいる。橘兄弟と幼馴染だった【有楽春心】という女性と恋仲であったが、昔から入退院を繰り返さねばならない病弱な彼女は数年前に他界。奇しくも同時期に医者を目指していた兄の国家試験の合格(医師免許の獲得)を知り、「ふたりとも遠い存在にいってしまった」……だから、この世界に永遠なんて、魔法なんて、なかったんだと。それから光陽は虚しさの埋め合わせに取っかえ引っ変えさながら複数の男女と(時には身体だけの)関係を持ってきたが、とうとうその穴が埋まることはなかった。 学生時代は演劇部で、劇作家の道を志すようになったきっかけはそれがひとつ。もうひとつは「きみの病気をきっと治してくれるよ 兄さんは頭がいいから」と専門的なことではなく精神的に彼女の心の支えになりたいと思って、(演劇部で培った力が活かされていたのか、)自分でシナリオをつくり即興劇を見せていたことから。作り話のような、ただのノートの切れ端に描いたらくがきのような、そんなものだったけれど。 のちにモーリス・メーテルリンクの戯曲「青い鳥」に出会ったのが決定打となり、今に至る。かの光に憧れたのかもしれない。 彼曰く、「魔法をかけるのは演者だが、その土台を創るのは結局俺だ。……どんな皮肉だと思うよ、心の底から。」 「どなたかあの鳥を見つけた方は、どうぞぼくたちに返してください。ぼくたち、幸福に暮らすために、いつかきっとあの鳥がいりようになるでしょうから」 陽の光によって溶けた春の日に彼女はいなくなって、兄も風のように遠く掴めないところに行ってしまった。──俺は魔法つかいでも神の贈り物でもないんです。だからそうなるまえに、繋いでいてください、手を。魔法が解けるそれまで、俺を離さないでいて(あなたのものにして)ください。だれにもとられないように、どこにもいけないように。 11月5日……縁結びの日　イメージソングはOmoiさんの「テオ」。 https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/36453.html

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