タグ： 夜明けのカノン HO4

杠葉 未夢（ゆずりは みゆめ） 少し内気だけど人と話すこととピアノが好きな女の子。 お嬢様めいた美しい容姿で上流階級の出だと思われがちだが、一般家庭の出。アフターヌーンティーよりお母さんの煮物が好き。口と性格はあまり良くない。 三つ歳下の弟(光希)がいる。姉貴呼ばわりしてくるクソガキ。 自分より醜い女が嫌い。可愛くないけど性格がいい女は大嫌い。なんで私より可愛くないのに私より幸せに生きてるの？ 顔立ちが整っており、幼い頃から人目を惹く存在だった。故に何度も誘拐されかけ、卑しい目で見られ、信じていた友達からも何度も裏切られた。心の底から信じられるのは親と幼馴染だけだった。何も悪いことはしていないのに、と初めのうちは毎度傷ついていたが、やがてそれすら面倒になって最初から期待もしなくなった。 世界が嫌い。この世の全てが嫌い。何の不幸も知らずにのうのうと生きてる人間が憎たらしい。自分と自分の好きな人以外全員死ねばいいとおもっている。 街を一人で歩きたくない。できるなら哉音と、或いは幼馴染と一緒に歩きたい。 放課後、何も予定が無くて暇だったので人気の少ない埃っぽい第三音楽室で一人でピアノを弾いていた。たまたま通りかかった哉音がその音を聞いて入ってきたのが彼との出会い。弾いていた曲はカノン。 限界に近くなれば近くなるほど綺麗な笑い方をする女。哉音といる時だけは年相応の無邪気な笑顔を見せる。 カッターを常に持ち歩いている。自分のことを守るためのもので、襲われそうになった時に自殺するための武器。哉音といる時だけは手放せるようになった。 無駄な嫉妬しか引き寄せない己の容姿は心の底から嫌いだったが、哉音と出会った時に初めて「美人で良かった。綺麗な彼の隣に並び立つのに相応しい女でいられる」と自分で肯定できた。 今まで微塵も思わなかったのに、哉音と会うようになってから初めて「かわいくなりたい」と思うようになった。 中学三年生の時の担任は優しくて明るくて教えるのが上手い、イケメンと称される若い男の先生だった。生徒からの人気も高かったが、未夢にとってはその男から向けられる欲を孕んだ瞳が不愉快で気持ち悪くて好きになれなかった。放課後に特別だ、と成績も悪くないのに補習に呼び出され、二人っきりの空間で数時間閉じ込められたりもした。気持ち悪いのを我慢しながら何とか家に帰って翌日学校へ来たら、同級生の女の子に「男好き」「色目を使ってる」「美人だから調子に乗ってる」と言われた。 中学三年生の一月、その担任に強姦されかけた。転がっていた教科書で殴って逃げ仰せたが、不快感が消えず家に帰ってからもずっと吐いていた。家族や幼馴染には心配をかけたくなくて言い出せず、警察に言ったところで信じてもらえやしないことも分かっていたしそんな気力も残っていなかった。学校を休むことだけは矜恃が許さなかったので卒業式まで行き続け、卒業式にはその担任に花をつけられた。見とれるほど綺麗な笑顔で「今までありがとうございました」と言った。 限界に近くなれば近くなるほど綺麗な笑い方をする女。その時に教師に見せた笑顔は中学生とは思えないほど綺麗だった。 寂しがりな哉音のことが愛おしくて愛おしい。絶対に幸せにする。二度と寂しいなんて思わせない。私が一生傍にいて幸せにします。 哉音のことが好きで、好きすぎて、彼に嫉妬されると嬉しくて、少しだけ火遊びしてしまう。嫉妬されると嬉しくて自分の身さえ捧げてしまう。抱かれに行く可能性がある。ので、愛に狂って自滅しかねない。 お告げに関しては、ひどく理不尽だと思いながら同時に半ば諦めてもいる。HO1の生存だけが生きる理由。自分がどうなっても彼だけは生かす。 お告げに関しては、HO3には時折伝えている。彼にだけ打ち明け、頼り、依存している。HO1を殺していること以外は全て話している。自分ではどうしようもない。心の整理もつかないまま、幼馴染という彼との関係の心地良さから離れられなくなっている。

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