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□生い立ち 樺ヶ崎市支部に所属する職業カウンター。現リバース日本支部長･高嶺慧の弟である。 四人兄妹の次男。長男である慧以外は非オーヴァードであり、レネゲイドとは無縁の世界で日常を過ごしていたが、4年前、宿主を失った"輪廻の獣"の器に選ばれたことにより、覚醒する。 元より覚醒しているのであれば兎も角、未覚醒者へ"輪廻の獣"が齎す力はあまりにも危険すぎる。事実、彼もジャーム化こそしなかったが、"ソレ"と上手く付き合っていけるようになり、日常生活に戻るまでに丸2年の時間を費やしている。 復帰後自ら職業カウンターを志願し、通常よりも厳しい検査を受けた後、正式にUGNに加入。今日まで高校に通いながらエージェントとしての任務をこなしている。 □性格等 人畜無害そうな顔をしている反面、思ったことはストレートに口に出す、はっきりした性格。 兄に憧れており、彼に少しでも早く並び立てる存在になるよう、立ち居振る舞いを自ら律している。 一人称は「俺」だが、普段は努めて「私」と言うようにしている。気のおけない仲間など、親しい人間の前では素が出ることも。二人称「貴方」。 綺麗めでフォーマルな服装を好み、プライベートでもシャツにジャケット、パンツといった出で立ち。周囲からは「社会人みたい」「老けて見える」とある意味評判。 好きなものは読書(研究所や論文など、堅いものを好む)。嫌いなものは他人の夢を馬鹿にする人間。 □戦闘スタイル ノイマン×ウロボロスのクロスブリードで、高濃度のレネゲイド――自身の血液を纏わせた剣で戦う。 それ自体の殺傷力に特筆すべきものはなく、寧ろ純粋な攻撃力だけを求めるのであればより効率的･効果的なつくりや仕組みがあるであろうことは、一度でも前線に出たことがある者であれば誰もが察することが出来る。 この剣が武器たる本質は、対象に傷をつけたその先にある。剣自体のレネゲイドが傷口から入り込み、宛ら遅効性の毒のように、時間が経つにつれ身体を蝕んでいくのだ。 彼の操る剣は厳密に言えばEXジャームであるのだが、自身の「対象のレネゲイドを塗り潰す」特性を活かして上手くコントロールしている。 □輪廻の獣いろいろ 身体に巣食っている、というより、同一化している、という表現のほうがより近い。 彼の血液は"ソレ"に憑かれて以降黒く変異しており、高濃度のレネゲイドに侵されている。それは紛れもなく、彼の全身を駆け巡る血液は全て、"ソレ"の一部であることの証明だ。 得体の知れない獣に身体の大半を乗っ取られると言えば危険極まりない状態ではあるのだが、今回はこの異様なまでの一体化が功を奏した。というのも、"輪廻の獣"は普通、宿主とは全く別の存在であり、それ故未知のレネゲイドの制御をすることが如何程に困難な所業であるかは、想像に難くないだろう。そのような「わからなさ」からくるコントロールの不能、突発的な暴走、というリスクが、"輪廻の獣"が、言わば自分自身となっている彼については極端に低くなっているのである。 この力については、肯定的でも否定的でもない。自身の夢を叶えるために役立つファクターのひとつであるとは考えている。 彼の夢――それは至極シンプルで、「兄の夢見る未来が間違っていないと証明すること」である。 ジャーム化のリスクが低い世界。ジャーム化が治る世界。プライマリとビハインドが、真に平等に、当たり前の日常を過ごせる世界。 兄の描く未来は理想論に過ぎず、組織の長を務めるものがこのような夢見がちな理想をいだいているなどと唾棄されることもあるが―― それでも彼は、だからこそ、大切な家族が掲げ、そして長い年月をそれに捧げているという事実と努力を、肯定すべきであると、そして叶うなら自分が、それの一助になることを、望んでいるのである。 "輪廻の獣"などという危険な獣を飼い慣らし、この変貌した世界で、新たな一歩を踏み出さんとしているセカンダリを支える者として、その責務を全うする。それが、彼の考えた、彼にしか出来ない「夢の叶え方」だった。 - - - - - 「……ああ、お疲れさまです。お久しぶりですね」 「同じ支部のエージェントなのに、こうも顔を合わせないなんて……相変わらず忙しい支部ですよ、ほんと」 「一人なのかって？まさか。私達が行動を共にしている――しなければならない、の方が正しいのでしょうが――ともあれその事実、もとい義務については、貴方がたも重々理解している筈だ」 「……尤も、お二人のように仲睦まじくいつでも一緒、というわけではないのですけれどね、私達」 「いや、なに、揶揄っているわけじゃないですって。先輩方にそんな軽口を叩くつもりは毛頭ないですし、それに……」 「っと、失礼。どうも私は会話が回りくどくなりがちで困る。 兎も角。私は貴方がたを、羨ましい……とは違いますが、"カウンターとセカンダリ"という生き方を体現する者として、こんなにも素敵な人たちはいないと、そう思っているんですよ」 「……これも冗長？ふふ、貴方ならこのような話しぶりは聞き慣れていると思ったのですけれどね」 「嫌味じゃないですよ。良いコンビだと、そう伝えたいだけです」 「ええ、まあ、お恥ずかしながら。ご推察の通りですよ。 花梨さんは少々口下手……と言いますか、素直になりきれない面がありますから。私のこの喋り方で、何度彼女を怒らせたことか」 「"良いコンビ"？奇遇ですね、私も我ながらそう感じています」 「親密であることも、互いを理解するための要素のひとつであるとは思いますが。それだけではありませんから。 私たちは、他の多くの同じ立場の者よりドライで、互いについて知らないのかもしれません。 けれど。今こうして彼女が私を少なからず信用してくれているという事実が、何より今の私たちを肯定しているのだと、そう思いますよ。 "職業カウンター"なんて、得体の知れない他人と突然生活を共にすることになるなんて、年頃の女の子なら抵抗感があるものでしょう？ そういったところも含めて、今の彼女は、私が陳腐な言葉で語ることが憚られるほど、多くを犠牲にし、そして努力をしている。 だからこそ、私は彼女をできるだけ自由でいさせてあげたいんです」 「この制度は、過去に罪を犯した者を裁くためのものじゃない。 彼らが、当たり前の日常を当たり前に送れるようにするための、補助的な制度なんですから」 「勿論、貴方がたのように、より仲を深めてゆくことも、正解のひとつですけれどね」 「兄の受け売りじゃないですよ。あくまでも自論です。……あの人に同じことを尋ねたら、どのように答えるのでしょうね」 「……そろそろ時間だ。彼女と合流しないと」 「いえ、此方こそ長々と引き留めてしまい申し訳ありません。久しぶりに元気な姿を見れて嬉しかったですよ」 「ええ、それじゃあまた……巽さん、遠野さん」

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