タグ： 海に融ける信仰HO2 ロスト

海ヶ島神社の一人娘。真魚と結婚できるように教育されてきた。 もともと真魚が女である時点で同じく女の衣央はお役御免のはずだったが、どうやっても両親の間に新たに子供は出来なかった。母は渋々衣央を真魚の婚姻相手として育て上げることにした。 どうしてお前は女なんだと母に言われ続けながら、それを埋めるために必死に頑張った。 真魚と結婚する。自分はそのために生まれてきたのだから。 真魚のことが大好き。だってそういうものだから。この島の人は皆彼女が大好き。 私も好き。だって彼女と結婚するために私は存在しているから。 彼女には優しくしなさい、丁重に扱いなさい、敬いなさい、母にそう言われて育ってきたのでそうしている。 大好き。大好き。大好き。 汐のことも好き。真魚が彼のこと好きだと言っていた。 この島の人達は皆いい人達だ。彼もその1人。 両親のことも大好き。母は私を立派な真魚の婚姻相手になれるようにたくさんのことを教えてくれるし、父は海ヶ島神社の立派な神主様だ。 立派な両親のために自分は役に立たなければいけない。そのために生まれてきたのだから。 心が弱っている母と、仕事が忙しい父の代わりに、家事は全て自分がやっている。 女に生まれてしまったのだ、これくらいやらなければ。 神社では巫女さんのお手伝いもする。儀式も近いし、父の負担もなるべく減らしたい。 家の手伝いの傍ら、神社の近くの工房を貸してもらって包丁を作っている。 14の頃、家に贔屓していた工房に遊びに行ったとき、見せてもらった包丁のあまりの美しさに感動。そのまま弟子入りした。 師匠である工房主は高齢のために引退。自由に使っていいと工房を譲ってくれた。 島民にも売っているので職であると同時に、唯一の趣味みたいなものでもある。料理を作るときに使う包丁は全部自分で作って研いだもの。 師匠のお家には晩御飯の余りや果物などを差し入れによくお邪魔する。出してくれる麦茶がとても美味しい。 ずっと元気で長生きして欲しいな。 ――――――――――――――――――――――― 知らせを聞いた。 私は、真魚の婚姻相手に選ばれなかったと。 なぜ？ なぜ？ なぜ？ じゃあ私の生きてきた22年間は何だ？ 私がしてきたことの意味はなんだ？ 生まれてきた意味はなんだ？ 真魚を愛してきたこの気持ちはなんだ？ 母に落胆された。父は困った顔で私を見た。 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。でもこんなのおかしい。お母さんの教育が間違っているはずがないのに。 母も父もあの儀式のために頑張ってきたのに。 なぜ？私が、私、は？なぜ？どうして？わ、わた、わwa_たtttしわ、たしはnなぜ？？？なzzz_zぜ？？？ -ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR-ERROR あぁ、これは、何かの間違いだ。 この儀式は間違ったまま進行している。 とにかくこのままじゃいけない。真魚が間違った相手と婚姻させられる。そんなのダメだ。父と母の努力を台無しにしちゃダメだ。 私が何とかしないと。 ―――台所。シンクの下の、左の棚。 私が何とかしないと。 ―――1年前に作った。お気に入り。 私が何とかしないと。 ―――師匠も褒めてくれた。自慢の品。 私が何とかしないと。 ―――取り出して、撫でた。 お父さん、お母さん。待ってて下さい。 ―――手のひらに滑らせる。 真魚を必ず幸せにします。 ―――赤が流れた。 私が、何とか、しないと。 私が、消さないと。 ――――――――――――――――――――――― □イメソン Mili ｢world.excute(me):｣ 相棒ポケモン：ドヒドイデ

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