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環野静は生まれつき宗教家で生まれながらにしての詐欺師である。 彼は新興宗教を崇める家族の中で生まれながら、神を信じず神を尊ばない……いや、神なぞいないと思っている。 神は人間が考えうる理不尽や非合理的な出来事を押し付ける不可視の相手であり、ただの世界共通の概念だと思っているのだ。 それを悪いとは思わない、それを良いとは思わない。 結局、生きるという事やその結果は本人の行動で変わるから、世界に神などいないと彼の中で決定づけられているから。 が、そんな神というモノを信じる愚かな人々の事は嫌いじゃない。 何故なら、付け入りやすいから。 人に好かれる事は人生に置いて最高の娯楽であり美徳であり価値あるモノで気を遣えば遣うほど見返りがくるいい遊び。 そう思っているから彼は笑顔でこう答える「君の考えている事は素敵なことだ」と、人間を本気で誑かすのだ。 彼の母である管原美帆と父である環野政義は宗教婚という物で、神への信仰心により作り上げられた家族だった。 美帆は美人で穏やかな笑みを常に浮かべながら、土曜の集会を忘れない信心深き人。 政義は無口で眉間に皺を寄せ常に考え事をしているようだが、幹部に上り詰めるほど信心深き人。 二人共集会所で出会う。 美帆は政義の事を、頑固そうだけれども皆の幸せの為に幹部にまで上り才歌さん達を支えてる優しい人だと思い。 政義は美帆の事を、華奢で可憐な仕草も気品溢れる女性でいつも笑顔を振りまいて場を和ませる優しい人だと思い。 お互いドンドンと惹かれて行き、二人が二十三歳の時に結婚。 二十五で静を生む。 静は未成熟児で体重が1871グラムしかなかった為、上層部の決め事に乗っ取り女性的な名前にされた。 新興宗教　天の導 アマノシルベ  (別名；てんどう) 教祖 天野才歌(あまの さいか) 幹部 環野政義(かんのまさよし)、十座間明(とざまめい)、江頭充(えとうみつる)、源川美絵子(みなかわみえこ) 二週間に一度、土曜日に『集会』があり幹部や教祖はシフトのようなモノで持ち回りしている。 彼らは朝晩祈りを捧げて、神からの導を聞き生涯を健やかに、そして死後は穏やかに天国へ行けるよう皆で助け合うという宗教。 具体的には金回りがいい宗教で、お礼はお金として信者が幹部や教祖に渡すことが多い。 金銭的な悩みが信者にあるなら幹部や教祖のバンクから下ろしてお金を渡す。 見返りを上層部は求めない。 お布施として信者は払う為、返済ノルマなどない。 このシステム良いところは返すつもりがないような無責任な人は勝手に離れてくれる事だ。 邪な考えをする人間は返済がない事に疑問を持ち、邪念や裏を探り怖くなり自滅していくから。 もしそこまで頭が回らない邪悪な人間でも、離れずに人を紹介してくれたりなど利益がある為、上層部は金を配るような真似をするのだ。 天の導　聖書　初文 生きる事は沢山の苦行と沢山の幸福で成り立っています。 しかし、世界にはあるものがある為、それを気づきにくくさせているのが現状です。 それは金銭、金がなければ余裕を持てずに焦ってしまうような世界です。 私たち、天の導はそんな世界でも皆で力を合わせて健やかに生涯を全うしたい者が集まる集団です。 天の導　決め事 1、金銭や物品、財産の貸し借りはしてはなりません。 2、配った金の返済などを要求してはいけません。 3、集会出席やお布施は余裕ある時のみ行ってください。 4、集会に参加した際、積極的に人と関わり気の合う人を見つけて悩みを相談できる友を作りましょう。 5、教祖や幹部も同じ仲間ですので気兼ねなくお話ししましょう。 6、恋愛などの個人的選択は自由ですので偏見的口出しはやめましょう。 7、もし納得がいかないような事があれば集会所にて第三者を交え議論をしましょう。 8、他宗派に所属するのも個人の自由です。 9、反社会的な行動はしてはいけません。 10、無理な勧誘などしてはいけません。 天の導　上層部の決め事 1、お布施などの金銭は指定の口座に入れる事。 2、子供が病弱だった場合は神の加護を受ける為も名前を異性的な名前にする事。 3、婚姻の際は上層部皆に知らせる事。 4、子供を愛し厳しくも優しく躾をしっかりして親として接する事。 5、仲間が悩んでいるように感じたら声をかけ、自分では解決できないと思ったら上層部に相談する事。 6、我が宗教を子供が拒んだ場合はその事実を受け入れる事。 7、子供を生むのはその子を育て上げられるほどの金銭を集めてからにする事。 8、もしトラブルが発生して悩んだら上層部や友に積極的に相談する事。

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