キャラクター保管所
バックアップ
リスト
モバイル版
ヘルプ
ログイン
Twitterでログイン
登録
トップ
Webサービス
キャラクター保管所
クトゥルフ PC作成ツール
槣原 実継(うるしはら みつぐ)
ID:4781322
MD:da9ed97105dc519b2effc62803f080b1
槣原 実継(うるしはら みつぐ)
タグ:
冬子PC
非表示
簡易表示
通常表示
生まれ・能力値
STR
CON
POW
DEX
APP
SIZ
INT
EDU
HP
MP
初期
SAN
アイ
デア
幸運
知識
能力値
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
その他増加分
一時的増減
現在値
STR
CON
POW
DEX
APP
SIZ
INT
EDU
HP
MP
初期
SAN
アイ
デア
幸運
知識
↑ページ上部へ
非表示
簡易表示
通常表示
SAN
現在SAN値
/
(不定領域:
)
↑ページ上部へ
非表示
簡易表示
通常表示
技能
職業P
/
(うち追加分:
)
興味P
/
(うち追加分:
)
表示
初期値の技能を隠す
複数回成長モード
非表示
簡易表示
通常表示
<戦闘技能>
成長
戦闘技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
回避
キック
組み付き
こぶし(パンチ)
頭突き
投擲
マーシャルアーツ
拳銃
サブマシンガン
ショットガン
マシンガン
ライフル
非表示
簡易表示
通常表示
<探索技能>
成長
探索技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
応急手当
鍵開け
隠す
隠れる
聞き耳
忍び歩き
写真術
精神分析
追跡
登攀
図書館
目星
非表示
簡易表示
通常表示
<行動技能>
成長
行動技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
運転(
)
機械修理
重機械操作
乗馬
水泳
製作(
)
操縦(
)
跳躍
電気修理
ナビゲート
変装
非表示
簡易表示
通常表示
<交渉技能>
成長
交渉技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
言いくるめ
信用
説得
値切り
母国語(
)
非表示
簡易表示
通常表示
<知識技能>
成長
知識技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
医学
オカルト
化学
クトゥルフ神話
芸術(
)
経理
考古学
コンピューター
心理学
人類学
生物学
地質学
電子工学
天文学
博物学
物理学
法律
薬学
歴史
↑ページ上部へ
非表示
簡易表示
通常表示
戦闘・武器・防具
ダメージボーナス:
名前
成功率
ダメージ
射程
攻撃回数
装弾数
耐久力
その他
%
%
↑ページ上部へ
非表示
簡易表示
通常表示
所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
価格総計
現在の所持金:
、 預金・借金:
↑ページ上部へ
非表示
簡易表示
通常表示
パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
職業
年齢
性別
身長
体重
出身
髪の色
瞳の色
肌の色
↑ページ上部へ
その他メモ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ♞♘_プロフィール______ 槣原実継(うるしはら みつぐ)。 誕生日は10/29。A型。 金に染めた髪に赤い瞳。およそ社会人らしくない風貌を指摘されると、「自由な社風なんで!」と笑って返す。 一人称は「俺」。二人称は「貴方/貴女」「あんた」。親しみを込めて下の名前に+さん付で呼ぶことが多い。 性格は一途。柔軟に見えて、一度決めたら頑固で譲らない。社交的で、人と一緒にいるのが好き。一人でいるのは苦手。 好きな食べ物は甲殻類。苦手な食べ物はショートケーキ。 家事が得意。趣味は神社巡り。 モットーは「諦めないで向き合うこと」。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 『ルベライトジャム』6人版 HO5 - サラリーマン あなたはとても懇意にしていた上司を亡くしたサラリーマンである。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ >>>>>シナリオ『ルベライトジャム』の秘匿内容を含みます。 未通過の方は以下の閲覧をお控えください。>>>>> ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ∨ ∨ ∨ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ♞♘_詳細______ 幼い頃に両親を亡くし、自分を引き取った探偵「彩木紡(あやき つむぐ)」に育てられた。彼女のことを慕っている。 彼女の死に納得していない。真相を追い求めている最中だ。 パーティーに参加したのは気分転換の為でもあるが、主催者である博物館館長から「宝石のこと」や「彩木紡について」を聞けるかもしれないという期待もあった。 本名は漆谷美錫(うるしや みすず)。「槣原実継」はパーティーに潜入するための偽名である。「みつぐ」の名は、「紡(つむぐ)」から連想をしたもの。 誕生日の前日に両親が殺された為、誕生日祝いの約束をするのが苦手。交流のある人間には常々「俺、サプライズって大好きなんだよね!」と吹き込み、毎年「約束」を回避して来た。 同じ理由でショートケーキも嫌いである。事件が起きた日、お祝いに用意されていたのがホールサイズのショートケーキだったため。「そんなこと言ってショートケーキはみんな好きっしょw」と押し付けて食わせて来たバイト先の先輩とは縁を切った。本当にやめてください。 おまじないを教えてもらったばかりの頃、公園やら路地裏やらで猫に向かって「動物に命令する」を試していた。そのために「金髪のヤンキーが猫を懐柔してる……」と噂になったことがある。良いだろ別に!微笑ましげに見るな! 髪の手入れを欠かさないタイプ。肌の保湿もする。 親しい相手は下の名前で呼ぶが、ある程度距離を保つ場合は苗字にさん付で呼ぶ。 「○○と呼んで」と頼まれた場合、概ねその通りにする。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ♞♘_技能値______ <医学> 探偵を志してから、付け焼き刃だが学んでいる。両親の死のことが頭の中にあり、いつか捜査で「遺体」に関わることになった時、医学の知識があれば役立つかもしれないと思ったため。 <オカルト> 紡さんがオカルトチックな話をするので、影響された。神社巡りが好きなのも、それがきっかけ。巫女さん可愛いし。 <隠れる> グレていた時期に、授業をサボったり補導されないために身についた。 <料理> 紡さんに作らせるより俺が作る方が早いし上手いし散らからないし、栄養ありますよ。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ♞♘_おまじない______ 〈動物に命令する〉 対象は地球上に存在する動物のみ。MP1点がコスト。(基本ルールブック274ページ参照) 命令はその動物が不自然でないことなら何でも聞かせることが出来る。 〈動物を魅了する〉 対象は地球上に存在する動物のみ。かける対象のSIZと同点のMPがコスト。(基本ルールブック274ページ参照) あなたはこの呪文を用いて1時間じっくり動物と触れ合うと精神がやすらぎSAN値が1D2点回復する。 但し、動物に関するSAN値チェックにおいては減少値が常に1点増加する。 〈平凡な見せかけ〉 かける対象のSIZと同点のMPがコスト。(基本ルールブック280ページ参照) 物体にこの呪文を用いることで、物体を別の姿に見せかけることが出来る。 100円玉を500円玉にみせかける等の単純な場合であれば永久にかけたままにすることが出来る。 但し、あくまで見せかけであり真実の姿は変わらないことに注意。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ♞♘_アイテム______ 『懐中時計』 彩木紡に20歳の誕生日プレゼントとして貰ったもので、大きさは一般的なものと変わらない。 美錫にとって大切なもの。 『数奇の軌跡』 彩木紡が行方不明になる前によく眺めていた形見。 透明なガラスのような宝石で、太陽光などの紫外線を当てるとキラキラ光る。 所持し始めてから奇妙な悪夢を見るようになった。 懐中時計の蓋部分にたまたま丁度いいくぼみがあったため嵌め込むようにして持ち歩いているが取り外しも可能。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 🃏イメージタロット 『Ⅶ. 戦車』 🎶テーマソング フィロソフィー/amazarashi https://m.youtube.com/watch?v=Bg_UIwjYnMQ (『「君は素晴らしい人間だ」と言っても君は否定するかもしれない でも、 一言でそう思い込ませるのは無理でも 十万行を用いたらそれは可能だ』─poetryより引用) スターライト/amazarashi ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ (ここから先は蛇足なので読まなくてもいいです) ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ○両親 子供の頃の夢。板前、戦隊ヒーロー、ヨット選手。色んなものに憧れたけれど、本気で何かになりたかったわけではない。曖昧な未来への期待を、躊躇いなく語ることができただけだ。 父は多忙だったが、時折家に帰ってくると必ず、幼い俺の隣に来ては俺の語る不確かで取り留めもない話を聞いてくれた。何を言っても「良いじゃないか、頑張れよ」と言うので、台所から母が「無責任なんだから」と横槍を入れるのもいつものことだった。 子供の俺は、たまにしか会えない父親のことを恋しく思っていたのだろう。 「次はいつ来るの?」「早く帰って来ないかな」と、母に縋っては困らせていたことをぼんやりと覚えている。 母は俺に、提案をした。 「お父さんが帰ってきた時、びっくりさせられるように、いっぱい良い成績取っておかないとね」 だから俺は、勉強も、スポーツも、クラブ活動も熱心に頑張ったのだ。 百点の答案、二重丸の成績表、書道の賞状、「お子さんは何事にも熱心で、周りの友達にも手助けができ——」。 お父さんに褒めてもらうため。「すごいじゃないか」と認めてもらうため。そうやって笑うお父さんのことが好きだったから。沢山、沢山、積み重ねていった。 ○誕生日 約束をしていた。8歳の誕生日を家族で祝うという約束だ。 「当日は仕事があるけど、前の日なら帰れそうだ。夕方には着くから、一緒に家でご馳走を食べよう」 「ケーキを用意しなくちゃね。今年はお父さんも居るし、大きいのにしちゃおうか」 俺は勉強机を一生懸命片付けて、『お父さんに見てもらおう』と思っていたプリントや写真の数々を束にしてまとめた。そういえば、父の日に授業で書かされた作文もあったんだった!と、一番上に追加。これで完璧。 その日の朝、「予定通り、もしかしたら予定より早いかも。昼過ぎに帰れそうだ」と母にメールがあった。 放課後のクラブ活動を終えるやいなや、俺は学校を飛び出した。多分、もう帰ってきているだろう。 1秒でも早く会いたくて、家までの道を駆けて行った。今日に限って、踏切も信号も永遠に思える。いつもは立ち止まるゲームショップの前も、今日は一足跳びにスキップで進む。曲がり角を曲って、見慣れた自分の家だ。母の自転車も父の車も家の前にある。電気もついてる。「ただいま!」 父と母は、確かに家の中に居た。けれども約束が守られることはなかった。「おかえり」の言葉もなかった。支えを失ったマネキンみたいに項垂れる肉の塊が二つリビングに横たわっている。勉強机の上から滑り落ちたのだろう、赤丸の並んだ答案用紙とか、父母への感謝を綴った手紙とか、『見せたかった』数々の紙がぐしゃぐしゃになって辺りに散らばっていた。冷蔵庫の中のホールケーキだけは綺麗なままだった。踏切も信号も本当に永遠だったなら良かったのだ。こんな結末を見るくらいならば。 ○彩木さん その探偵は「彩木紡」と名乗り、身寄りを無くした俺の引き取り手となった。 彼女は勝気で、さっぱりとした人で、少しばかり生活には無頓着だった。ぐちゃぐちゃのキッチンや、折り目のズレた洗濯物を見て、俺は自ら家事をすることを覚える。 両親が死んで暫くは、気力が湧かず呆然としたまま日々が過ぎていった。 報われないのなら、努力なんてしても無駄だ。そう思ったから、勉強もスポーツも頑張るのをやめた。……というよりも、頑張れなくなった。勉強をしようとすると、手が止まってしまうのだ。 現実から逃げるように、やんちゃな子と連んで授業をサボったり、悪戯をして遊んだり、成績は落ちてみるみるうちに『問題児』の仲間入りだ。 中学校の入学式の日、春休みの間に染めたままの金髪で登校し、周囲からは「不良だ」と騒がれた。当然教師に呼び出され、保護者諸共説教される羽目になったのに、隣の彩木さんは平然としていた。「この子の好きなようにさせます。私は一度『色を戻しなさい』と言いました。その一度を聞き入れなかったのはこの子の選択です。それ以上は言いません。」これじゃあ親子揃って腫れ物扱いだ。 それなのに、学校から帰る時、最後に彩木さんは俺の背中を叩いて「入学おめでとう、美錫」と笑っていた。 ○願い事 場所はリビング。その日は七夕で、彩木さんは短冊を渡してきた。黒のマジックと長方形の色画用紙を持て余している俺に、「願いを書くんだよ」と言った。それくらい知ってる。七夕って行事に何をするかくらい。 「願い事なんてない」 叶わないことを願っても意味がないし、叶えるための努力をして、また、あんな目に遭ったらどうする。 「いい?美錫。私の話を聞いて」 彩木さんはいつになく真剣な声で、俺を呼んだ。 「心には力がある。願う、というのは、事実、空想や夢物語なんかじゃない。人の心が何かを願う時、そこには、願いを叶える力がある」 彼女は俺の手を取って、微笑んだ。 「……今はまだ出来なくても、いつか君が、もう一度何かを願える人になれるように、私は祈ってるよ」 ○進路 年月は失ったものを蘇らせたりなどしないが、傷口を塞いで、過去をガラス張りのケースに隔離してくれるものではあった。 高校生になる頃には、俺はすっかり紡さんのことを家族として慕っていたし、手のつかなかった勉学にも再び向き合えるようになっていた。 高校を卒業したら、就職してひとり立ちしようと思っていたものの、紡さんは俺を大学に行かせたがった。 実際、俺が就職したかったのは紡さんにこれ以上迷惑をかけたくなかったからで、 「私に迷惑を掛けたくないと思っているのなら、それこそ焦って就職なんてしないで。 それで失敗してあんたが野垂れ死ぬ方が大迷惑! 大学行って、視野を広げなさい。そんでちゃんと考えて、自分のための進路をきっちり選ぶの。それこそが親孝行ってもんだよ!」 そう言われては反論のしようもなかった。 ○職業 さて、じゃあ大学で学びながら己の進路を考えていくうちに、俺が何を選んだかというと。 「紡さんの事務所で働きたい」 「なんでよ!」 紡さんは頭を抱えていた。けど、ここで引いては駄目だ。 「俺、小さい頃は色んなものに憧れてたよ。でも本気でなりたかったわけじゃない。何にでもなれるって思い込んでただけ。でも今は違う。 世間は割と厳しいし、儘ならないことばっかりだ。最低なことも沢山……起きる。でもさ。 そんな中でも、前を向いて、ここまで生きてきて……悪くなかったなって思うよ。 あそこで諦めて終わってる未来も、正直、あったと思う。でも、紡さんは俺を放っておかなかったでしょ」 息を吸って吐く。 「今さあ、前みたいに、新しい世界に心が躍ったり、誰かを大切に思えたり……そういう風に毎日があるのって、良いなって……思う。 そうやってこれからも生きてたいし……もしもまた何かに打ちのめされても、諦めない人でありたいよ。 俺にとって、探偵っていうのは、そういう象徴なんだ。諦めないで、向き合うことの。……打ち捨てられた想いでも、諦めないで、拾うことの」 そういう人になりたいんだよ。俺にとっても、誰かにとっても。 紡さんは暫く押し黙って、難しげな顔で考えていたけど、最後にはため息をついて受け入れてくれた。 「そこまで言うなら、試験で私を黙らせてよね。言っとくけど、身内だからって縁故採用とかしないから」 「当然!」 ○おまじない 事務所に入ってから数ヶ月が経ったある日、彼女は俺を呼び止めた。 「昔さ、君に言ったことを覚えてるかな。"心には力がある。"って話」 「よく、人は『おまじない』をするね。小さなものであれば、消しゴムに好きな人の名前を書くとか。肥大化すると、神殿なんかで供物を捧げて踊ったりする、宗教行事のような。身近なものから仰々しい類のものまで、『まじない』というものは人々に好まれて来た。 さて、じゃあ、隣の席のあの子がした『恋のおまじない』は叶ったか?祈祷を捧げて国は救われたか? おまじないなんて胡散臭い。そんなものは叶わない。君はそう思っているだろう」 「それらが叶わなかったのは、やり方を知らないからだ。あるいは、正しいやり方を実行していても、心の力が必要量を満たしていないからだ。 ああ、そんな顔をするな。ちゃんと聞いて、これは大事な話なんだぞ。私のやることを見ていなさい」 そう言って彼女は、窓を開けた。 「見える?あそこに猫がいるだろう。今からあの猫を呼ぶ」 「呼ぶって…」 「いいから」 彼女が何事かつぶやくと、ピクリ、と猫は体を震わせ、こちらを向いた。それから、しなやかな体躯を滑らせるように、窓のそばまで移動してくる。 「お願いがあるんだ」 彼女は猫を撫でながら、言い聞かせるように、祈るように言葉を紡いだ。 「この後、向こうの通りから犬が来るだろう。飼い主に連れられて、散歩でここを通るんだ。 あの犬は厄介でね、どうも私を敵だと思っていて、彼の家の前を通るたびに凄まじい声で吠えてくるから、私はちょっとばかり辟易しているんだよ。 だからお前、これからそいつの前に飛び出して、脅かしてやってくれないかな?ちょっとした腹いせにね。いい?"犬が来たら、飛びついてやれ"。」 猫は静かにその場を離れた。通りの向こうから、犬を連れた男性が歩いてくるのが見える。彼らが我が家の前を通り過ぎようとした時、道の脇から猫が飛び出し、彼らの進路を遮った。 犬と猫はひとしきり喧嘩をした後、飼い主の手によって諌められ、散り散りになって行った。 「ただの偶然じゃないの」 「そうかな?」 紡さんは笑った。いつの間にか淹れたらしい紅茶のマグカップを、俺に手渡してまた口を開く。 「『アストラル・ライト』って知ってる?」 「何それ」 「『桃源郷』とか『エデンの園』、『霊界』……そういった現実より一歩上の高次の世界。あるいは『スフィンクス』とか『天狗』とか『悪魔』みたいな超越的存在。こういう話が世界中にある。 これらはいずれも、それらを更に超越した実在……いわゆる『神』とか、世界の根本とも言える何かに、我々人間を繋げ得るものだ。こういうのを、『アストラル・ライト』って呼んだりする。そもそもプラトンが……プラトンは知ってる?あはは、ごめんごめん。揶揄ってるわけじゃないよ」 「とにかく、『おまじない』なんて言うと君は信じられないかもしれないけど、古くから人々は"世界の根本に通じるべく"様々な『儀式』をおこなって来た。 私たちは普段意識しないけれど、目に見えない世界は確かに存在している。そしてその世界は、現実の物質世界に影響するんだ。我々の物質世界の高次にあり、この世界の見本や原型とも言えるのが『上位世界』だから。 そして、この霊的な『上位世界』という場所に、人はその魂を持ってして入り込めるというわけだ」 「魂を飛ばして『上位世界』に入り込み、そこに意志の力で己の願いを刻み込む。すると、『上位世界』から物質世界に影響が及び、物質世界にも変化が起きる。 願いを刻むには強いイメージが必要だ。強くイメージする為には、視覚や聴覚に情報を注ぎ込むと良い。例えば真っ白な神殿に籠るとか、神の使いを模した衣裳に身を包むとか、音楽を奏でるとか。 わかる?『儀式』や『おまじない』っていうのは、これをやってるんだ。『儀式』も『まじない』も、ただのままごとではない。明確な目的を持った手段なんだよ」 「心には力がある。強く願えば、その意志で現実を変えるような力が、人間にはあるってことだ」 パチン。と、紡さんが指を鳴らした。 ハッとして手元を見ると、マグカップに入っていたのは紅茶ではなく、オレンジジュースだった。さっきまであったはずの湯気も無い。 驚いて彼女を見上げると、その人は自慢げに眉を上げた。 「たまには良いでしょう?子供じみたオレンジジュースも」 紡さんは、俺に3つの『おまじない』を教えた。あるいはマジックか。トリックは分からないのに再現できる手品のようだ。やってみてもうまくいく時といかない時はあったけれど、まあ、所詮は『おまじない』だし。 大事なことは、つまり、紡さんは俺に「願うのをやめたりなんかするな」と言いたかったんだろう。と思う。 彼女の言う通り"心には力が"あり、強く思い描けば何かが起きる——というのはあながち嘘でもないのかもしれない。事実、「猫を操るなんて無理だ」と諦めれば何も出来ないが、「猫を操ってみよう」と思えば、カラクリはどうあれ実現可能なんだから。 ○暗雲 紡さんが失踪した。 前から少し危なかっしいところはあったし、色んな事件で活躍してるが故に恨みだって買ってるだろう。 何か厄介ごとに巻き込まれたに違いない。手こずっているのなら助けに行かないと。 そう思って、居場所を探した。 見つからない。 必死で探し回った。 見つからない。おかしいな。 けど、必ず会えるはずだ。そう簡単に倒れるような人じゃないし、まだ俺も一人前だって認めてもらってないし、だから早く戻って来て、また色々指導してもらわないと。 暫く経って、紡さんは遺体で見つかった。あーあ。ほらね、やっぱり、願っても無駄じゃんか。 目はナイフで滅多刺し。耳は無理矢理に切り取られ、手は血まみれで、顔も、色んな箇所がぐちゃぐちゃで、泥と血に塗れている。警察はこれらの傷を、「全て自らの手で行なった可能性が高い」と俺に伝えた。そんな馬鹿があるか。この人に限って、それだけは有り得ないだろ。俺の手を引いておいて、そんなことは。 ○探偵 ——"いつか君が、もう一度何かを願える人になれるように、" かつて両親を亡くした時、事件を解決し、俺を救ったのは紡さんだった。俺が現実に向き合えず、事実から逃げ続けている間も、そばでずっと待ち続けてくれた。俺の未来を諦めないでいてくれた。 今度は育ての親を奪われて、また、打ちのめされている。けれども、もう助けてもらうだけの子供ではないだろう。紡さんから貰った多くのものが、こんなにも自分の中で息をしている。彼女に出会って生きてきたこれまでのことが、自分を支えていることがわかった。 この事件は俺が解決しなくてはならない。そうして今度は、俺自身で、俺を救ってみせよう。 未来にはちゃんと笑えると良い。
※
歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました
(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ
エラーメッセージ
「クトゥルフ神話TRPG」は
ケイオシアム社
の著作物です。
クトゥルフ神話TRPG