タグ： 滝沢 狂気山脈 若住 登志夫

（読み：わかすみ　としお） 　子どもの頃はおとなしく、運動も目立って得意なほうではなかった。 　しかし、家族でハイキングをした時は、どんなに歩いても音を上げないような根性があった。 　成長するにしたがって体格にも恵まれ、高校で入部したワンダーフォーゲル部では山の魅力にのめり込んだ。大学時代は時間があれば国内外の山に登り、下山をするとアルバイトで資金を貯める、そんな生活をしていた。卒業後は山岳医療や国際山岳ガイドの資格を取り、仲間と共に難易度の高い山へ挑む日々。そして、狂気山脈のことを知った。世話になっている人物の推薦もあって第一次登山隊の一員に選ばれ、厳しいトレーニングを積みながらその日を心待ちにした。 　しかし、現実は登山開始直前に体調を崩してチームから離脱。無念のまま日本へ帰国した。念のため行った病院では聞いたこともないような病名と、登山などできる身体ではない、と告げられた。頭が真っ白になった。今までが幸運だったのか。 　心の整理ができないまま数日が過ぎ、山への想いは仲間に託そうかと考え始めた時、『第一次登山隊　帰還者０』の報を受けた。 　仲間の最期はどうだったのか。パーティメンバーの顔が浮かび、助けられなかった無念に涙が止まらなかった。直前の離脱でメンバーの補充ができなかったから苦しい場面があったのではないか、自分の医療知識やナビゲートで彼らを救えることもあったのではないか。 　それからは、もう迷いはなかった。狂気山脈に登り、彼らを見つけ出してその無念を晴らす。それは、命より大事なことだった。 【ミッション：第一次登山隊員全員を見つけ出す】

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