タグ： 永すぎた前奏

19歳の大阪の地下アイドル。 5才の頃に実の両親を亡くしている。 その後、小さな島で漁師をしている遠縁の『泡島 誠』に養子として引き取られた。 島に来た当初、夏帆は大人に強い不信感を抱いており、最初は口も聞かず無表情だった。 しかし誠の優しさに触れ、次第に心を開いてゆき 「誠おじちゃん」と呼ぶようになり、時折笑顔も見せるようになった。　 今でこそ明るい性格の様に見えるが、 元々は泣き虫で人見知りが激しく、いつも誠の後ろに隠れているような恥ずかしがり屋な女の子だった。 養父に歌声を褒めてもらえたことから、歌うことが大好きになった。 歌は自分の唯一の存在意義だと思っている。 夏帆が17歳の頃のある日、誠と些細なことで口論になり、夏帆は「私の本当のお父さんでも何でもないくせに！」と心にも無いことを口走ってしまい、そのまま家を飛び出してしまった。 その次の日の早朝、突如発生した渦潮により誠を乗せた漁船ごと呑み込まれ、そのまま溺れて亡くなってしまう。(しかしこの事故には不可解な点が多い) 誠を亡くした後、夏帆は自分のせいだ、自分があんなことを言わなけば、また自分の存在が家族を不幸にさせてしまったと自身を追い込んだ。 そして、初めて島に来た時と同じ様な無気力状態になり不登校になりかけたが、カウンセリングを受けさせられたことで何とか高校に通い続けた。 高校を卒業後、夏帆は島を出た。 行くあても無く彷徨っていると、音楽プロデューサーらしき人物から声をかけられ、突然スカウトをされる。 何もかも忘れて違う自分に生まれ変われるのではないかと思い、地下アイドルになることを決める。 大阪で働く以上、関西弁を喋れる様にならなければと思い、関西弁を習得した、と本人は思い込んでいるが実はまだまだぎこちなく、他人からはエセ関西弁に聞こえてしまうこともある。 地下アイドルをしつつ生活費を稼ぐ為に、日中は たこ焼き屋でアルバイトをしている。 ボロアパートで一人暮らしをしていて、孤独な日々を過ごしている。 毎日忙しなく働いているのは生活費を稼ぐためでもあるが、働いている間は余計な事を考えないで済むから、という理由が一番大きい。 何かをしていないと過去の出来事を反芻してしまう。 そのため、夜はほとんど眠れず、睡眠薬を服用して眠っている。 全く違う他の誰かになりたいという思いが強く、 いつもニコニコ笑っていて愛想の良い 『泡島夏帆』という偶像を作り出した。 ＊将来の夢は、 『青空の下で大きな野外ライブを開くこと』 いつかこの地下から外の世界へ出て、多くの人々に、そして故郷のあの島へ、亡き養父が眠るあの海へ、自分の歌声を届けたいと思っている。 －夏は特別な季節 私が生まれた季節 大切なあの人と初めて出会った季節 熟れた熱気 船の汽笛 潮風の匂い 満開のひまわり畑 あの日々はもう二度と来ないのに あの人にはもう二度と会えないのに 永遠に巡り続ける季節 陰がこわくて太陽を見上げた きっと私は 夏に生まれ、夏に死ぬのだ

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