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弱冠17歳にして霜月グループ傘下の広告代理店の経営管理担当をになう青年。 柔和な笑みに優しい声色は一見すると、物腰柔らかく人当たりの良い人物に見えるだろう。 しかし実態は正反対で、再婚によりできた義姉以外の人間に対しては極端に興味が薄い。より正確に表現するならば義姉以外には敵意心を抱いている。 柔和な笑みも優しい声色も、全ては愛する義姉に危害を加えられないようにするため。仮に危害を加える者が現れた場合は殺意を持って文字通り相手の排除を試みる。事実、これまで葬った人の数は片手の指では足りない。 義姉に対しては言葉では形容しがたいほどの重く粘ついた愛情を抱く。将来は婚約し二人で静かに暮らすことを目標にしている。 アルコール耐性：12 女子力：10 歌唱力：11 ゲーム力：11 ----- 元々は明治期に巨万の利益を上げて出来た雨月（うげつ）グループ当主の長子。 雨月グループは霜月グループと創業時期こそ異なる（霜月は江戸期創業）が、会社規模、展開する事業が似通っていたことから、同業他社として長年にわたり競い合う関係にあった。ただし、表向きは互いに高めあうように見せかけ、裏では激しい睨み合いを続けていたのが実態。 風向きが変わったのは凪沙が生まれた17年前。 対立する霜月グループと比べ雨月グループの業績が明らかに落ち始めた。原因は霜月グループとの単純な実力差が顕著になり始めたとも、雨月内部に霜月のスパイがいたともされるが真相は不明。 凪沙の父は業績悪化と周囲からの重圧により、この頃から余裕がなくなり始める。凪沙の母が凪沙を生んだ直後に亡くなり（持病により元々伏しがちであった）心の支えを失ったことも、余裕の無さに拍車を掛けた。 唯一残された凪沙に対しても父は強く当たるだけで愛情をまともに与えることはなく、凪沙も家族からの愛情を知らぬまま、時間だけが経過。この間に父は再婚をするものの、再婚後の母も凪沙を快く思わなかったために苛烈な体罰、虐待を加えており、結果として凪沙は強烈な人間不信に陥る。 そして凪沙が16歳の時、父が自ら命を絶ったことで事態が大きく動く。 好機とみた霜月グループの当主が雨月グループに対し婚約込み（霜月当主もこの直前に妻を亡くしていたため）の買収を提案し、経営体力が少なく当主も失った雨月グループは、やむなくこれを了承。 嘗て一世を風靡した2グループの合併、および新たに誕生する世界屈指の巨大グループの誕生に世論は大いに盛り上がった。 しかし盛り上がったのは世論のみ。 再婚後の父母の間柄はグループ間の関係を投射するように最悪そのもの。当然、凪沙に対して向けられる愛情も改善されることはなく。 全てを諦め、生きる意味を失いかけていた凪沙の前に一人の人物が現れる。 ───霜月 京香。2歳年上の義姉。 彼女もまた、幼い頃から良家の娘として厳しい淑女教育を受けながらも、彼女の可憐な容姿に嫉妬した実母に虐げられ育ってきた。 実母が亡くなったあとも使用人同様の厳しい扱いを受けていた故に、彼女も自身に希望を持っていなかったが、義弟となった凪沙には献身的に接し続けた。 凪沙は極度の不信感と警戒のあまり当初は彼女を拒絶したが、構わず親身に寄り添い、姉弟として、家族としての愛情を注ぎ続けた。 何をしても温もりを与えられたことから、凪沙も徐々に心を開き、時をおかず義姉に傾倒するようになる。 いつしか傾倒は愛情になり、深愛になり、崇拝になり、信奉になり。 そうして、彼女以外の全てを不要と思うようになった。 初めて家族としての愛情をくれたあの人を傷つける者は、なんであろうと許さない。 悪魔であろうと神であろうと退けてやる。

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