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　出雲彼方は暗殺者である。幼いころに両親を殺された彼はその殺した相手をいつか殺すことだけを願って生きてきた。通常の武術では人を殺すまでには至らない。そう考えた彼は平穏な道ではなく裏の世界で生きることに決めた。恵まれた肉体と容姿からなる安寧の世界を捨てて。両親を殺した相手は通常の手段では見つからない教団関係の人物であった。20歳前半の時に幸運にも復讐は果たしたが、その時に妙な拾い物をしてしまった。復讐ついでにつぶした研究所にいた少女である。 　名前も記憶も失っていた彼女を拾い、偽の戸籍を用意し、そして家族になった。彼女が大人になって自立するまではそばにいようと思えるくらいには共に暮らしていた二人であったが、裏の世界で一つの依頼が来る。 人が行方不明になり続けている町で何が起こっているのかの調査をしてこいというものである。 　1週間ほどで戻ってくると彼女に言い残して彼は調査に出かけた。 ◆■◆■◆■◆■秘匿されたレポート◆■◆■◆■◆■ 　失敗した。この依頼は無視するべきだった。気が付いた時にはもう遅い。頼むからこの街には来ないでほしい。自分はきっと自分でいられなくなる。僕のことを思うならそのまま安寧の道を歩んでほしい。まぁ自分がいえることではないんだけれども。 あぁきっと次に来るだろう適合者よ。どうか君は気づいてほしい。そして僕のようにはならないでほしい。消えゆく意識の中でできる限りのメモだけは残すから。あからさまなメモは残せない。残すことはできない。わかりにくいかもしれないが、気づける細い線だけは残すから。 　……本当に…お願いだ……来ないでくれ……　 ◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■ レポートはここで途切れている。

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