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◆陽 四恩（はる しおん）　男 app:12/siz:10 職業:小説家（作家/クトゥルフ2010） 「僕（やつがれ）にできることがあるとすれば、君を玄関まで見送ることくらいだ」 1人称:僕（やつがれ） 2人称:君 ◆ 大切なものは、この家とあの人との記憶。 誘拐された以前の過去は、洗脳や自身の強い暗示によって黒く塗りつぶされている。 本を書くのは別に好きじゃない。 気が向いたときに夢でみたことを書いていたら、それがウケただけ。 あの人が歌ってくれていた歌を、もう一度自分でも…と、毎日ギターで練習している。 物置にあった弦が錆びたギター。 あの人の物かは知らないけど、手入れして使っている。 料理は勉強中。 得意料理は魚の煮付け。 ◆ 眠剤のハルシオンから。 ◆ 幼少より幸せな家族で生まれ育つも、〈寄せ餌〉のせいで全て台無しにされる。 ある日、其れは居間にいた。 いたずらに居間のテーブルの上にいた。 人間の理解を超えるものだった。 最初に気付いたのは母だった。途端、金切り声の発作を起こし、父が駆けつけた。 父は殺人衝動を起こした。最も手近で抵抗ない母の腸を引きずり出した。 赤ん坊の弟が泣きだした。 弟のほうへ行こうとしたとき、テーブルの上の何かが自分のほうへ手を伸ばして、意識は暗転した。 目が覚めたら、隣の県の良く知らない民家の前だった。保護されて、ニュースを見てたら、自分の家が報道されてた。 父親が殺人の容疑で逮捕、母親と弟は死んだ。 その後、養護施設に送られてもそういったことが起きた。 大抵は自分が誘拐されるだけで済んだ。 時折、退職する先生が目立った。理由は聞かなかったが、気が違ったのだと風のうわさで聞いた。 笑えなくなった。 施設を出て、あの日から書き留めていた物を、なんの気なしにネットに上げてみた。 意外と受けて、出版までトントン拍子で進んだ。 別に文才はなかったが、それでも本はそこそこ売れた。しばらく生活していけた。 やはり死のうと思ったのは、良くしてくれた担当編集者が発狂して自殺した時だ。 よくある高架に佇んで無意味に傘を忘れてぼうっとしていた。 “あの人”に出会った。 自分を誘拐するのに、あの人は人間だったから、なんとなく縋りたくてついていった。

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