タグ： 獣も斯くや 裏路地六面体

「そう、これは夢。夢なんでしょう」 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 「白川　夜舟(しらかわ　よふね)」は出版時の名義であり、本名は「杉山　 善久(すぎやま　よしひさ)」。 サイン会などは「作家が前に出るもんじゃないですよぉ」と言って極力断るが、関係者やファンからは本名ではなく「白川さん」「夜舟さん」と呼ばれるのが気に入っている様子。 手掛けるジャンルはオカルトともSFとも呼べるものであり、ハッキリ言って怪文書の類である。 「僕は夢で見た事をちょっと脚色して書いているだけですから、執筆してると言えるかどうかは……まぁでも、それを楽しんでる人が居るならそれで良いですよねぇ」という言葉通り、超ロングスリーパーであり、その作品内容は夢の様な支離滅裂に近い。 普段はほぼ寝ているか書いているかのどちらかであり、たまにふらっと散歩に出るのも変な時間。 何かと夢に縁のある人物であり、明晰夢や白昼夢を経験する事が多い。 その反面、夢と現実の区別が曖昧(あるいは意図的に区別しようとしない)節があり、何か不都合な事があっても「これは夢に違いありませんね」と片付ける事がままある。現実逃避の天才。 夢と現実の区別をしないという事は、夢で出会う人物(もしくは存在)を、現実で出会った時と同じように接するという意味でもある。 昔に一度だけそこそこの大きさの賞を受賞してからは無事出版社所属となったが、今でも発行部数は少ない。 が、そのブッ飛んだ内容故に一部の熱狂的なファンからカルト的人気を博しており、それでどうにか食い繋いでいるのが現状である。 ボロ家の小さい日本家屋に一人暮らしをしており、時折担当編集である「タカハシ君」が原稿を取りにやって来る。 「タカハシ君は本当に僕の本が好きですねぇ。熱心な編集者で嬉しいですよぉ。はい、今回の分」 近所の人に聞けば「あのボロ……失礼、古いお家に例の作家先生以外が出入りする所なんて見た事ありませんよ」という回答が返って来るだろう。 津島とは腹違いの兄弟であり、婚外子。 津島は白河の事を「そういえばそんな人が、居た様な、居なかった様な……」という程度の認識だが、白河はガッツリ覚えている。 「ああ、ええ、覚えてますよぉ。うん、こんなになっても歩幅は変わらないものですねぇ。煙草は……少し趣味が変わりましたか、津島の兄さん」 というのも津島の記憶力の問題ではなく、その出自故に白河がほぼ幽閉状態で育った為である。文字通り箸より重い物が持てない貧弱さもそのせい。 長じては家を出るのが許されたが(津島直系の兄弟が健康に育った為である)、幼い時期を座敷牢の様な所で過ごした影響もあり、情操教育がやや不完全な面が垣間見られる。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 【白河夜舟(しらかわよふね)】 何も気がつかないほど、ぐっすり寝入っている様子のこと。 または、本当は知らないのに、知っているかのように振舞うこと。 「白河」は京都の地名。 京都に行ってきたと嘘をついた男が、「白河」はどうだったかと尋ねられたときに、男は白河を川の名前だと勘違いし「夜の船で、眠っている間に通り過ぎたからよくわからない」と答えたため、男の嘘がばれてしまったという故事から。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 〇後遺症：自失感 あなたは自分の経験や言動をどこか他人の物のように感じてしまう。 言動の端々にそれはにじみ出て、他者に不安感を与えることだろう。 全ての＜交渉技能＞に マイナス 10 。

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