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父、母、5つ下の弟、祖母。 弟・京之介が生まれるまでは、ごく普通の平凡な家庭であった。 まだ幼かった自分が覚えているのは、ある日テレビを見ていたら、とても綺麗な女優さんの隣にいつも隣りにいる弟の姿が写ったことだ。 ─ある時、母が気まぐれに応募した子役オーディション。 弟はあっという間にスターダムを駆け上り、今では齢10にして「天才子役」の名を恣にテレビドラマ・映画などに引っ張りだこである。 来年公開予定のハリウッド映画にも日本人主人公の子役時代としてキャスティングが決まっている。 さて、その弟の頑張りのおかげで今我が家は今までと比べて裕福になったわけだが、 「国民的息子」となった弟は誰にでもちやほやされる為、性格は歪・・・むことなく、 10歳にして恐ろしいほど落ち着き払い、礼儀正しく、しかし適度に甘え、とても円満に成長している。 こういった話には、どこかに影差すのがお決まりのパターンだが、完璧と言えるほど弟は完成された人間であった。 さて、そろそろお気付きでしょうが、このプロフィールはその「国民的息子の姉」、つまり私のものです。 9歳の時、弟の撮影現場に見学がてら母に連れられていた時のこと、 事故的に母親となにやら偉い人の会話が耳に入ってしまったのです。 「そういえばお嬢さんはこういう世界には興味がないんですか？とても可愛らしい見た目ですし・・・？」 「いえ、昔あの子もね、京之介と一緒にオーディションを受けたんですよ、でも──」 自分も実は弟と一緒に子役としてのオーディションを受けていたらしい事、 しかしながら、私はぽっくり落選したこと、だからあの子には無理だろうと母は笑っていた。 弟にはとんでもない才能があり、それを見抜かれ開花させた。 しかし、私には生まれ持ったものは何一つないのだと、親に否定されたような気分だった。 その会話に私に対しての悪意は微塵もなかったと今は理解しているし、 実際に両親が、弟が、などと反抗期を助長するほどのエネルギーはその時受けたショックには内包されていなかった。 つまりは、私にはそういった負の感情を糧に何かを生む才能すらなかったということになるのですが、 確実に私という人格を形成する極ほんの一部、ありんこ程度の影響を与えているのでしょう。 自分では何も感じませんが、私をよく知る人間の中には私の事を時折不思議な目で見る者がいる。 どうやら私は普段の振る舞いでは「内向的で自分をあまり表に出さない人間」だと思われているらしい。 しかし、たまさか「空気を読むのをやめて爆発的に度胸のある人間」になることがあるらしく、周囲はどよめくのだ。 そんな一風変わった一面も持つ極平凡な私が、これから日常とはかけ離れた体験をすることになります。 ───────────────────────────────────────────────────── 馬場というのは、元々は昔住んでいたマンションの隣の部屋に一人で住んでいるおじいさんだった。 物知りで、話が楽しくて、とっても優しくて、何故か私達みたいな子供にも敬語で喋ってくれていた。 そんな馬場が大好きで私達はよく馬場の家に通っていたのだけど、 どうやら昔何かの事故で奥さんと娘さんを亡くされているらしくて、とても寂しい人だという噂を聞いた。 うちが裕福になって、大きなお屋敷に住む事になった時、 思い切って馬場に執事の話を振ってみたら、快く引き受けてくれた。 懐いてくれたお嬢様を全力でお守りする老紳士ファイター。 昔兵士だった風な事をちょいちょい出してくる。 最後の生きがいをお嬢様と見定めて、残りわずかの人生をお嬢様に注ぐ。 軍隊経験があり80歳を超えた今でもムッキムキ。 好物は牛肉のステーキとうなぎ丼。 ───────────────────────────────────────────────────── 両親は洋風の今風な建築を望んでいたが、 祖母の鶴の一声で和風の一軒家に住んでいる。 家族はとても仲がいいが、嫁である母が我慢強いおかげである。 それをわかっているので祖母は「よくできた嫁」と母をかなり慕っている。 今は父親はサラリーマン、母が弟の個人事務所を経営しながら、マネージャーをしている。 収入は母が父を圧倒しているので父の立場は大変粛々としたものである。 私が内向的な父と不敵な母の間に育ったのがよくわかるのである。 ───────────────────────────────────────────────────── 少し内向的なクソ美人。 幼い頃のトラウマ的な出来事にも特に動じないのは、 自分に何もないからではなく強靭な精神力で軽く乗り越えているということに気づいていないので、 時折、周りに逆に心配される。 自然と「空気を読む」を徹底しているので、害のない性格だが、 前述の謎の鋼メンタルと内向徹底主義がちぐはぐなキャラクターである。 幼い頃唯一自分から始めたいといった音楽教室も、 クラスの中心にいた女子がピアノ、ヴァイオリンといったメジャーどころをやっているのを見て、打楽器を始めた。 しかし、力が弱いという常にギャップを背負う悲しいSADAMEである。 本当は青瀬ちゃんにやってもらいたいキャラクターを作りました＼(^o^)／

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