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12歳。本名は西園寺ゆりね。 ユリの代表的な花言葉は、「純粋」「無垢」「威厳」。 キリスト教では白い百合(白百合)のことを マドンナリリーと呼ぶ。マドンナリリーは聖母マリアに捧げられた花であることから、"純粋"のシンボルとされている。 淑やかで芯の強い少女。HO2のことは面倒な男だと思いながらも仕事はしっかりこなすので信頼している。遺書に対して強い思い入れがあり、その中に込められた人の想いを届ける遺書屋の仕事を誇りに思っている。常に喪服を身にまとっているのは、彼女なりの「礼儀」らしい。 元々は孤児だったが、祖父に拾われ西園寺家の三女（長男、次男、長女、次女）として迎え入れられる。由緒ある西園寺家の人々は帰属意識も強く、血の繋がりがないゆりねに対する家族たちからの扱いは酷いものであった。しかし、祖父だけはゆりねに優しく接しており、本当の家族のような温もりを与えてくれていた。 祖父は元々高齢で持病も患っており、余命も残り少なかった。彼の死後、遺産相続のために集められた多くの人々に囲まれて祖父の遺書の内容が知らされた。誰しもが自分に莫大な遺産が入ってくると信じて疑わない場で、祖父の遺書を持つ執事は高らかにこう告げる。 「『私の全ての遺産は、西園寺ゆりねへと相続させる』」 静寂に包まれた部屋の中、驚きと共に一斉にゆりねへ視線が向けられる。一拍の間を置いて、やはり罵倒の嵐がゆりねを襲った。 「血も繋がってないくせに！」「お爺様を誑かしたのか、この悪女め」「さては遺書の捏造をしたな！」「こんなガキに全財産を譲るなんて納得できるか！」「あなたがお爺様を殺したんじゃないの？」 何も知らずに困惑したままのゆりねに今にも襲い掛かりそうな人々に執事は告げる。 「続きがあります」 その声にぴたりと動きを止めた者達は、まだ希望は捨ててないと一心に次の言葉を待ち侘びる。 「『今まで私は沢山の人々と出会い、家庭を持ち、輪を広げ、交友を深めていた。現に、今この場にいるのは狭い血縁関係の者だけではないのだろう。だが、私と繋がりを持った理由、その全ては西園寺家の遺産のためであった。違うか？違わないだろう。私はそれに辟易していた。誰も私の本質を見てはいないのだ。私の背後にあるちっぽけな紙束のみを見つめておったのだろう。 だが、ゆりねだけは違う。穢れを知らない無垢な少女は、私の汚れきった心を溶かした。欲に塗れ俗物と成り下がり、弱い者を虐げて生きるお前たちには失望した。……私の全ては西園寺家三女、西園寺ゆりねへ託す。そして命ずる。この家の呪縛から逃れ、自由となり、己の輪を広げてゆくのだ』」 その言葉を聞いて、ついに人々はゆりねへと襲いかかる。殺される、そう思い衝撃に耐えるため体を抱えたが、その衝撃は来ない。目を開ければ、執事が人々を立ち塞いでいた。 「逃げてください、お嬢様。私は貴方を護衛するよう命じられました。さあ早く、行って！」 こうして、莫大な遺産を得た少女は遠く遠くの地へと逃げた。 （血の繋がりのない孤児というのは祖父の嘘で、実は昔の愛人の孫である。ゆりねの両親が事故で死んだのを知った祖父が引き取った。なので西園寺の血は薄いとはいえ一応流れてます） （執事はゆりねのモンペなので遺書屋やってるのを陰からこっそり見守ってます。遺書には彼がゆりねを生涯護衛するよう命じた文も入っているとか）

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