タグ： とつん探索者

きっかけは、お店の前でお腹が空いて行き倒れていたところを、オーナーに助けられたこと。なんてことない理由だったかもしれない。お店の前にいたから邪魔だったとか、そんな理由だったかもしれない。それでも、伊織にとっては彼が神様に見えたし、それだけで、恋をする十分すぎる理由になった。 それから、離れたところでずっと見ていた。ずっと。彼のことをすべて知るために、ずっと見ていた。 そしたら、バイト募集の張り紙を見つけて、これならもっと近くにいられる、もっと近くで見ていられる。そう思って即応募。晴れてバイト定員になった。 両親は放任主義で、現在は海外にいる。無事に伊織が生きていればそれでいいよ～のスタンスなので、伊織もストーカー活動（）に専念できている。 大学は工学系で、コンピュータに強い。ストーカーとして、オーナーの周りをついて回るなら演技力も必要だろうと、演劇サークルに入っていたこともあったが、ヘタクソだったためにわりとすぐやめた。 天真爛漫で人懐こい性格。わんこみたいな人物。オーナーが作ったものを食べることにめちゃくちゃ幸せを感じるため、「岳さんが作ったもの、全部美味しいです！毎日ご飯作ってほしい！」と言っている。 たびたびドジを踏んでは怪我をして、「あ、またやっちゃいました！」なんて笑っている。……まぁ、オーナーに手当てしてほしくてわざとやってるんですけどね。 本性は、食べ物とオーナーに関すること以外に無関心で、冷徹な人間。「あっそ。」「で？」なんて、人の話を冷たくあしらう感じ。 お店にくる人間にも、笑顔で対応してはいるけど、オーナーに色目使う客には無表情で対応してるかもしれない。もちろん、オーナーが見ていないところで。 プロポーズ用に、ロッカーの中にお揃いのチョーカーを用意してある。 手元には、拳銃型のクラッカーがある。(中から真っ赤なバラの花束が出る) 自分の頭に向けて発砲して、オーナーが驚く可愛い姿を見たい。 オーナーが本当に大好き。食べてしまいたい。大好き。愛してる。食べたい。…けれど、食べたらいなくなってしまうから、我慢。 でも、どんな味がするんだろう、1度でいいから味わってみたい。全部、全部味わいたい。ちょっとくらいならいいかな、その唇に口付けて、味わうのはダメかな。 オーナーのいろんな表情が見たい。俺には見せてくれないのかな、ああ、なら引き出せばいい！ こんなに愛してるんですよ、岳さん。だから、閉じ込めるくらい許してくれますよね？

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