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｢シュヴァリエってくそ長くねえか？｣ ｢先輩でいいよ、先輩で……｣ 2-6 アウトドア派 2-4 愛書家 どこにでもいる一般人。おれはそういうのにしかなれねえよ。 *☼*―――――*☼*――――― 父親は有名なヴァイオリニストだった。 幼い頃から稽古やらレッスンやらで色々と自由を制限されてきた。コンクールやらでそれなりに良い点数を取る こともできたし、将来は父親と同じくヴァイオリニストになるのだと思っていた。 歯車が狂いだしたのは弟が""天才""であったからだ。最年少で自分が2位やら3位止まりだったコンクールで優勝を叩き出し、両親の期待は彼に向けられた。将来はヴァイオリニストになるんだもんなと父親から笑顔を向けられるのは自分ではなく、弟。そんな彼は別にソレが当然であるかのように振舞ったし、仕舞いには練習しなくても出来るだなんて宣う始末だ。 別に家族仲は悪くない。勉強も運動もそれなりにできる方だったし、たかだかヴァイオリンひとつで人生が決まるものでもない。弟より劣っている所があったとて、それはそれで仕方ないのだ。才能とは、そういう物だから。 だけども……自分にはそれが少しばかりのストレスになって、ヴァイオリンを握ると胸がチクリと痛むようになって。いつの間にか、弦を持つことを辞めてしまった。まるで代わりのように木管楽器を手にするようになって、父や弟とは違う道を進むようになって、ようやく胸のつかえが取れたような気がした。 何も悪くない。 誰も悪くない。 でも、弟に向けられた｢さすがパパの息子だ｣という言葉がちょっとだけ羨ましくて、ずるいな、と思う。 自分には才能がない。ただ、それが悔しい。 *☼*―――――*☼*――――― トランペットの音に惹かれて扉を開く。 『突然ですが質問です』 『空を飛ぶのと、風になるのと、どっちがいいと思いますか？』 常に雲がかかったような頭の中は、あの変人を乗せて走るバイクの上だけではスッキリしているような気がしたんだ。 *☼*―――――*☼*――――― 特徴表でアウトドアが出たので大学生活中は山に籠ってキャンプしてた！その影響でカッコイイナイフを使うのがちょっと得意。クラリネットよりも得意。 音楽向いてないんじゃね？ってなるんだけど、切っては切れない縁で…… 今は事務の仕事をしながら、社会人サークルに入ってクラリネットを嗜んでいる。 音大時代の変な後輩は、変なあだ名を決め合ってからは｢フェーちゃん｣と呼んでいる。シュヴァリエと呼ばれるのだけは避けた。あぶねえあぶねえ。 *☼*―――――*☼*――――― 【クトゥルフオブザマスカレード】(2021-9-12) どうだい、俺も結構やるだろう？ なあ後輩、俺と一緒に風になりに行こうぜ！

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