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髪は肩にかかるくらいで前髪を片側にかけている 八坂という集合意識体の中から独立した存在。噂話から生まれた。「八坂って知ってる？」 元はお話だった。「八坂怪談」って知ってる？ 人づてに話が伝わって、誰も真実を知らず、オリジン八坂だけ残った。 八坂怪談の噂が広がってゆき、違う噂が膨れれば膨れるほど、自分の姿かたちが代わるのが嫌だった。人里に降りることもできず、かといって化け物になることもできず過ごしていた。 ある日、自分が子を産めることに気が付いた。（子を産んで自分を増やしているという噂がついたため、産めるようになった） 知らない自分になったらその子を産む。産む。産む。産む。そうして、存在のあやふやな妖怪のような八坂が大量に生まれた。 もう自身の名前も、生まれも、存在も、何もかも忘れて数百年。小さな寺にオリジン八坂は立ち寄った。そこにいた少年が、「物語の主人公にそっくりです」と言われ、ぼろぼろの本を広げられる。「あった！八坂さんにそっくりです」そう言われ、彼女は思い出す。自分は八坂だと。 だが、他に生まれたものたちは”八坂”ではない。 彼らを救うために、彼女は懇願した。どうしたら救えるのかと。 力を得るのですと、返答された。

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