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宝条 隆盛(ホウジョウ リュウセイ)
ID:3413399
MD:fbd4aaf0fc2bfbff11055d3d4759042a
宝条 隆盛(ホウジョウ リュウセイ)
タグ:
嗣雪
DF高経験点
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能力値・HP
肉体
感覚
精神
社会
HP
侵蝕
行動
移動
シンドローム:
エンジェルハィロゥ
バロール
ブラックドッグ
ブラム=ストーカー
キュマイラ
エグザイル
ハヌマーン
モルフェウス
ノイマン
オルクス
サラマンダー
ソラリス
ウロボロス
アザトース
シンドローム2:
エンジェルハィロゥ
バロール
ブラックドッグ
ブラム=ストーカー
キュマイラ
エグザイル
ハヌマーン
モルフェウス
ノイマン
オルクス
サラマンダー
ソラリス
ウロボロス
アザトース
オプショナル:
エンジェルハィロゥ
バロール
ブラックドッグ
ブラム=ストーカー
キュマイラ
エグザイル
ハヌマーン
モルフェウス
ノイマン
オルクス
サラマンダー
ソラリス
ウロボロス
アザトース
ワークス分→
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成長での修正
その他修正
能力値
肉体
感覚
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行動
移動
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ライフパス
ライフパス
名称
効果、解説
ワークス:
小学生
中学生
高校生
不良高校生
大学生
フリーター
教師
主婦・主夫
UGNチルドレンA
UGNチルドレンB
UGNチルドレンC
UGNエージェントA
UGNエージェントB
UGNエージェントC
UGNエージェントD
UGN支部長A
UGN支部長B
UGN支部長C
UGN支部長D
刑事
鑑識
弁護士
防衛隊員
傭兵
研究者
教授
看護師
医者
政治家
ビジネスマン
エグゼクティブ
水商売
商店主
宗教家
探偵
ボディガード
ドライバー
ヤクザ
マフィア
泥棒
ネゴシエーター
暗殺者
占い師
アーティスト
歌手
俳優
奇術師
アスリート
格闘家
記者
アナウンサー
プログラマー
ハッカー
何でも屋
情報屋
工作員
レネゲイドビーイングA
レネゲイドビーイングB
レネゲイドビーイングC
レネゲイドビーイングD
イヌ
ネコ
ネズミ
ウサギ
トリ
サル
ヘビ
シカ
ゾウ
イノシシ
カエル
トカゲ
その他A
その他B
その他C
その他D
幻想動物A
幻想動物B
幻想動物C
幻想動物D
オカルティスト
作家
探検家
動画配信者
超心理学者
考古学者
古物研究家
ディレッタント
詐欺師
古書店主
技術者
船乗り
ハンター
農家
地主
ホームレス
放浪者
入院患者
自営武装団
カヴァー:
覚醒:
死
憤怒
素体
感染
渇望
無知
犠牲
命令
忘却
探求
償い
生誕
衝動:
解放
吸血
飢餓
殺戮
破壊
加虐
嫌悪
闘争
妄想
自傷
恐怖
憎悪
出自:
経験:
邂逅:
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通常表示
エフェクト
エフェクト
SL
タイミング
判定
対象
射程
コスト
制限
効果など
クラスなど
ワーディング
★
オート
自動
シーン
視界
-
-
非オーヴァードのエキストラ化
初期
リザレクト
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2
3
気絶時
自動
自身
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[SL]d
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初期
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↑使用したEXPなどのメモにどうぞ
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技能
初期習得
技能名
SL
修正
判定値
参考
能力
技能
白兵
回避
運転
射撃
知覚
芸術
RC
意志
知識
交渉
調達
情報
運転
芸術
知識
情報
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簡易表示
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戦闘・武器・防具
武器・コンボ名
値段
命中値
G値
攻撃
力
射程
その他
技能
能力置換
補正
計
白兵
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交渉
置換なし
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感覚
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置換なし
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感覚
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その他
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所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
所持品合計
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武器・防具・装飾品の価格合計
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初期財産ポイント:
現在の財産ポイント:
価格総計
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ロイス
カテゴリ
対象/名称
好意
悪意
効果・備考など
-
D
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←自由選択
傾倒
好奇心
憧憬
尊敬
連帯感
慈愛
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友情
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同情
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親近感
誠意
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侮蔑
食傷
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悔悟
恐怖
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恥辱
憐憫
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純愛
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慕情
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幸福感
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純愛
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尊敬
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慈愛
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慕情
同情
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憐憫
偏愛
憎悪
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不信感
不快感
憤懣
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傾倒
好奇心
憧憬
尊敬
連帯感
慈愛
感服
純愛
友情
慕情
同情
遺志
庇護
幸福感
信頼
執着
親近感
誠意
好意
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侮蔑
食傷
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悔悟
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恥辱
憐憫
偏愛
憎悪
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感服
純愛
友情
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同情
遺志
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敵愾心
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傾倒
好奇心
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尊敬
連帯感
慈愛
感服
純愛
友情
慕情
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嫌気
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憤懣
敵愾心
無関心
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成長履歴
回
経験点 / 獲得総計
点
メモ(セッションの内容など)
達成経験
侵蝕ボーナス
ボーナス
獲得計
1
点
点
点
点
2
点
点
点
点
3
点
点
点
点
4
点
点
点
点
初期作成時の経験点は手入力可能。基本値より少ない場合は必ず入力すること
能力値
エフェクト
技能
合計
使用
点
点
点
点
初期作成時経験点
点
合計
点
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パーソナルデータ
キャラクター名
コードネーム
タグ
種族
年齢
性別
身長
体重
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
◆更新履歴 2020/07/12:データ更新 ・メモリー① 取得 ・群れの召喚 取得 ⇒ LV:3 ・思い出の一品のフレーバーテキスト変更 SS前章の追加 2020/07/18:SS1話の追加 2020/07/28:データ更新 ・夢の雫 取得 ⇒ LV:5 ・調達 LVUP ⇒ LV:4 ・知識:レネゲイド 取得 ⇒ LV:1 ・情報収集チーム 購入 2020/09/20:データ更新 ・不可視の領域 取得 ⇒ LV:1 ・夢の雫 取得 ⇒ LV:1 2020/09/21:データ更新 ・アクセル LVUP ⇒ LV:5 ・世界の敵 取得 ⇒ LV:1 ・力の法則 取得 ⇒ LV:3 2020/10/31:データ更新 ・リフレックス LVUP ⇒ LV:3 ・コンセントレイト 取得 ⇒ LV:2 ・王者の声 取得 ⇒ LV:1 ●略歴 現在N市支部の支部長を務めている高校生。 元々旧財閥系の家系に生まれで権力者たちの話を盗み聞きした話をきっかけにレネゲイドについて興味を持ち、それらを追っているうちに自身もオーヴァードに目覚めたという経歴の持ち主。 覚醒後は家の関係からUGNとの繋がりのある人物経由でN市にイリーガルとして訓練を受けにやってきた。しかし訓練途中でN市で多発的に起きた一連の事件を解決する者の一人として実戦を経験することになった。 ※① 多くの戦いを潜り抜けた結果、彼自身は一端のオーヴァードとして力をふるうに至るが、最後の事件をキッカケに仲間たちとはそれぞれの道を行くことになる。 多くの仲間がN市を離れる中、彼はバラバラになった支部所属者の代わりにN市をまとめる役割を担うために支部長の座につくことになった。 現状は主要メンバーが抜けた状態の支部を切り盛りすることになったため、ほぼ1からのスタートに近い状態となっている。しかも戦闘面での人員確保が順調ではないことに不安しか覚えないが、それを笑顔を交えながら日々の学業と業務をこなしている。 ●パーソナル補足 基本的には真面目で自身の行動に責任を持つのが当たり前という思いが強い。そのため筋が通らない、または多くの為にならない限りは相手の言い分を否定することもある。 色々なことに興味を持ちやすくて比較的アレコレと表立って頭を突っ込みやすいが、基本的には裏工作などが得意で相手に気付かれずに情報収集をするといった行為に走りがち。そういった側面があるためにオーヴァードに覚醒したといえる。 楽しいことが大好きでそれを多くと共有したいという考えがあり、そういう類の行事などでは自分から大事にするタイプ。なのでイベントごとに関しては一転して問題児扱いされることもしばしば。 オーヴァードとしての過去があるため他者との間に壁を作ることも多く、相手との関係性がダイレクトに一人称に現れるところがある。 最近感銘を受けた言葉は『面白いことが大好きだよ。でも悪いことは許せない』 ●詳細(セッション開始前までに至るキャンペーン外におけるPC設定のネタバレあり) 旧財閥系の家系である『宝条家』の跡取り。本人は落ちぶれた中流家庭だと思っているが、慎ましく暮らしているだけでその財力とコネクションは健在(自覚なし 昔から好奇心の強い方で、厨二病をこじらせるように親の会話を盗み聞いた際にレネゲイドについて知る。 その後、親がひた隠しにするレネゲイドについて自ら情報を集めているうちにいつの間にかレネゲイドが活性化。気づいた時にはオーヴァードとなっていた。 覚醒に気付いたことで親を脅迫まがいで脅して情報を聞き出そうとしたところで今の情勢や世界の真実に触れることになり、急遽N市送りが決定した。 余談ではあるが、覚醒に気付いたキッカケは自分の部屋掃除の際に片付けるのが面倒だと思ったために『掃除機が自動でやってくれないかな』と思ったら勝手に掃除を始めたため。 (EEの『機械の声』。親の話を盗み聞きできたのもEE『地獄耳』の発動が疑われる) 事態発覚後は覚醒による問題全般を解決するために親が伝手で霧谷雄吾に依頼し、オーヴァードとしての訓練を受ける目的でUGNに籍を置くことなる。 しかしながら基本的な訓練を一通り受けても戦う力も見出せず、一部を除いた者が彼に下した評価は『出来損ない』だった。 この時点で触れてしまった情勢から自身の持つ『力の意味』を考え始めていたが、このような事態となってしまったために自身の適性を知るまでに大きな悩みを抱えることとなった(家の方針から『持つべき者にはそれ相応の覚悟と理由、それらを証明する正しさが必要である』と教えられていたため、『興味心』と『オーヴァードの覚醒』に意味を見出そうとした) 結局訓練を受けても自身の適性を理解できぬまま、半ば厄介払いのように送り出された先がN市となる。 ※② N市支部では力の使い方がわからず悩んでいたところをフォローしてくれた支部員が多く、そのため当時の支部員に感謝の念を持つようになった。そんな頃に一連の事件が連続的に発生し、その解決のために実戦に投入されることになる。 ※① 自身が戦う能力がないことと他人を有利に戦わせる力を持つことが分かったのはこの時の初めの事件。自身のレネゲイド活性化による侵食値上昇の結果、初めて利用できた力が当時のメンバーを強化する力を持っていたことを知る。 (後に彼自身の攻撃特性は『恐怖の上書き・増幅』にあることが判明する。しかし当時の支部長に『彼の方向性を歪める』ということで知らされることはなかった) 以降は自身の力の使い方を『戦闘内外での支援』に絞り、その在り方を促すように力も成長していった。時にやり過ぎて予想外の結果を出すこともあったが、これに重なるように周囲とは概ねいい関係を気付けるようになった。 だが、そんな時間も終わりを迎えることになる。最後の事件においてUGN側の問題に大きくかかわることとなってしまったため、支部の主要メンバーが解散・別行動を余儀なくされた。 多くのものが支部を離れることになる中、メンバー内で唯一N市で学生として籍を残すことになっていた彼は自身の守るべき場所と定めたN市支部を切り盛りすることを選択。霧谷雄吾の後押しで現在のポジションにつくこととなった。 ※② 支部の運営において主要メンバーを欠くことになったものの、現在の状況としては以前から行ってきた『戦闘内外での支援』が功を奏して何とか回っている。 戦闘においては補充される要員に『問題を持つ者 or 監視要員(爆弾)』を抱えないか少々胃の痛い思いをしているが、自身がこの支部で受けた恩を彼らにも還元できればと考えている。 UGNとしての行動理念や自身の理想などには支部のメンバーからの受け売りなどが多く、その時々の言葉ややり取りから自身にフィードバックしたものが多い。 そもそもが今所属している支部が大好きな人間なので、彼らの影響をもろに受けているのは仕方のないことかもしれないが...... ※③ ●裏話 ①N市で巻き込まれた事件は未定(GMと相談中)で、本キャンペーンが『すでにキャンペーン1回分を通過済み』というGM発言によるもの ⇒主要メンバーがいなくなった等の設定はそれに付随する。恐らくDロイス付きでサンプルシナリオをいくつか通過したものを想定している ②初期に戦う力がないと思っていたのは最初に決まっていたデータコンセプトが『回避系』の名残を残そうとしたときに思い付いた後付け設定 ⇒上記の条件を満たす形として、回避用エフェクト+対象拡大エフェクト+『狂戦士』&EE5つで130点となる ⇒それに付随してライフパスの『経験:心の壁』と『邂逅:借り』による『霧谷雄吾』の感情の内容もさりげなく変更していたりもする ③例を挙げると感銘を受けたというの『面白いことが大好きだよ。でも悪いことは許せない』は前支部長の言葉そのもの。その言い分が自分の心情に近かったために自身の座右の銘のように挙げている ⇒そもそもの元ネタは某特撮ものから抜粋 SS前章@グランドオープニングの数週間前に起きた一幕(2020/07/12追加) ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ -----N市支部 ここは以前大きな事件を抱え、つい先日までその対応に追われていたUGN支部の一つだった。 度重なる事件による傷跡も癒えることなく、この度の事件の折には主要たるメンバーに対する解散命令が下ったばかり。 そんな支部の再建を担うことになったのは、主要メンバーの中においてUGNの所属になかったひとりの高校生だった...... 「・・・・・なんてモノローグ入れたら、カッコよく聞こえたりしませんかねぇ?」 「・・・・・しませんね」 そんなくだらない戯言にしっかりと言葉を返してくれる霧谷さん。 恩義のある相手に対する黄体としては最悪なのにもかかわらず、優しく対応されてしまうと涙が出てしまいそうだ。 ここはN市支部の支部長室。 これまでこの街を守ってきた歴戦のメンバーたちはすでにこの地を去り、残ったのは学生の身分から町を離れる必要性が少なかった俺だけ。そんな俺の心配と支部の補填のために請求していた要望書の回答のためにわざわざ日本支部長の霧谷さん自ら連絡をしてくれていた。 少し前の事件解決に至るまでこの支部は人も物も限界まで酷使されていたこともあり、支部(タテモノ)の完全修復が完了したのすら一週間ほど前。バックヤードのメンバー補充についてはめどが立ったものの、主力となるオーヴァードたちの選定が難航しているせいで事実上の機能停止状態に見舞われていた。 そんな修復されて間もない建物の一室。とりわけ重要な案件が回される我が支部長室には、現在大型デスクトップPCが2台にそれをつなぐ大型モニタが3つと過去の備品だったラップトップPCが4台。一人しかいないこの部屋でついさっきまで全力稼働で頑張っていた。支部の詳細データが記録されていたPCのデータ移管のために『機械の声』による自動操作で全集中を注いでいたので、通信を受け取って見知った顔が表示されて安心してしまったのだ。 実をいうとこの一週間で睡眠時間もだいぶ削られてしまっていたために、目の周りのクマがすごいことになっていると指摘されていたりもする。ある支部員(新人)には『若いメンバーにゾンビみたいな目をしたヤヴェのがいる』と噂されたらしく、支部に残ってくれた数少ない古参のメンバーにちょっとばかり説教されて久しいのだ。それでもこの移管作業に関しては新人に任せるわけにいかない県が多く、泣きの一声で現在の無茶をゴリ押しさせてもらっていた。そして、その終了を目前にした段階で霧谷さんの顔を見てしまった俺は最低限の能力維持を除いて緊張の糸がほどけてしまったところなのだ。 ......連絡をくれたタイミングまではオーヴァードとしての能力をフルに利用していたため、霧谷さんの顔を見て崩れ去った俺は悪くない(現実逃避 でも戯言につき合わせたのは悪かったと思っている。正直スマンかった。 「・・・・・さて、本題に入ってもよろしいですか?」 「・・・・・お願いします」 そんな状態の俺と雑談に応じてくれた霧谷さんは、フッと姿勢を正すとそう言った。それに合わせて俺も姿勢を正す。 了承の意を返した俺の目の前のモニタに広がったのは現在のN市のタウンマップや市内のオーヴァード情報、別のモニタには最近支部に配属された新入りのパーソナルや一部のUGNチルドレンに関する資料が映し出せされた。 「現在N市の支部機能復旧状況はおおよそ六割。有事の際における周辺支部からの所属オーヴァードの貸し出し許可申請の受理に数日。 申し訳ありませんが、来週以降は支部の運航を通常シフトに変更して頂くことになりそうです」 「・・・・・他支部からの人員貸し出しの件は了承しますけど、通常シフトに移行するのは早すぎませんか? 正直に言って、新入りの順応状況や機器のメンテナンスの精度から見るなら万全を期すのに3週間は掛かります」 「ご指摘はごもっともです。しかし、上層部の一部から『N市の通常運行を早めるように』との苦言と正式な『嫌がらせ(業務命令)』が受理されてしまいました。 私の方でも限界まで期間を延ばそうとはしていますが、正直この期間がぎりぎりになりそうなのが現状です」 「だったらUGN外部からの人員増加を申請していたのはどうなりましたか? うちの家の伝手を借りて、とりわけ内勤のメンバーと同等の力量を持った人間を追加配備したいとお伝えしたはずです」 「それは全て却下されました『外部からの参入は情報漏洩の危険を考慮して認めるわけにいかない』とのことです」 「・・・・・チッ、どこまでも隠ぺいと妨害に注力してきてるわけですか」 目の前に広がるデータから現状との照らし合わせを行ったうえでの会話がこれである。 これまでの事件解決のプロセスにおいて、N市支部はUGN上層部にとって目の上のタンコブのような扱いを受けるに至っている。というのもこのN支部、解決してきた事件において組織内でも問題になりそうな案件を手掛けた数がここ数か月でずば抜けて多かったのだ。 事の始まりこそFHの化学兵器作戦に端を発していたが、結果を見ればUGNエージェントの裏切りによる事件が4件、レネゲイドビーイングが関わる事件が3件。メンバーによってはレネゲイドビーイングホイホイといわれるような先輩(♂)に女性吸引機といわんがばかりの男装チルドレン(こっちも先輩)、書類仕事が苦手なチョイ悪オヤジ風支部長といつの間にその補佐に収まった私、『ウロボロスシンドローム』に目覚めたばかりに『プランナー』から目をつけられた高校の先輩(イリーガル)というバラエティに富んだ凸凹編成。 UGNの後ろ暗い事情は山ほど握られるわいまだ謎が多いレネゲイドビーイングを引き寄せるような因果を持つ存在の巣窟だわで、この前の事件をきっかけにこの特異点にニトロでも突っ込んだかのような支部はテコ入れを受ける運びとなったのだ。 最初に支部を追いやられることになったのは支部長とチルドレンの先輩。組織からの命令といわれれば従うほかなく、それぞれが違う場所(それも国外)に飛ばされる羽目になった。辛うじて激戦区への出向は免れたものの、完全に降雪を断たれた形となってしまった。 そしてつい最近になって、残り二人の先輩も学校の卒業と共に市街の大学に入学されてしまった。こちらに関しては各々の進路の関係でわかりきっていたこととはいえ、5人が揃うことなく卒業を迎えることになってしまったことを全員が悲しむ羽目となってしまっている。 そしてこの支部の支部長が空席となり、情報の隠ぺいを行おうと画策していた一部の上層部の動きに先んじて霧谷さんに交渉を持ちかけた結果が今の俺の立ち位置となっている。 現在の俺の立ち位置は『N市支部長代理』となっている。狙い目として『これまでの実績でいえば官職につけるような実績がないと思われていたただの高校生に支部の復興を丸投げする』と見せかけることで、俺を育て守ってくれたこの支部を上層部の思惑から守る』という方向で霧谷さんに無理をお願いして押し通したのだ。 これには霧谷さんたち側の『反対勢力の強行の阻止』と俺の『支部を守る』という思惑がうまく重なったところがあったので、他のメンバーを身の安全と引き換えに重責を丸投げしてもらった形だ。そもそもが支部の業務がちゃらんぽらんだったと言える先代に代わって大体の書類を作成、提出してきたのは俺だった。折衷などのフェイストゥフェイスは本人にやらせていたが、それ以外はいつもの作業の延長でしかなかった。 大きく問題になったのはこれまでに解決した事件のデータ改ざんを行っていった上層部の眼を盗みながらのデータバックアップ復旧作業だったわけだが、これももうすぐ終わる.....この連絡が終わったら最後の仕上げに入る......終わらせて寝てやる......! 「どうやら私に提出されたデータから推測して、この支部にはまだマスターデータなどが残っていると思っているようですよ?」 「・・・・・ええ、勿論。態々切り札を相手にくれてやるほど甘ちゃんではないつもりですから」 「・・・・・でしょうね。こちらにもバックアップはありますが、やはり貴方がマスターを管理していらっしゃいましたか」 「(・・・・・ヤヴェ)ッ、まぁそんなところです」 .....実はカッコイイことを言ってますが偶然の産物です。 先代のズボラに付け込んで、自分の私用ラップトップで全データの作業をしてたのが丸残りだっただけです(ぉ 今も上で説明したラップトップから完コピの複製品を1つずつに、改ざんされたデータとの差分チェック等を目的としたものをもう1つずつスタンドアローンでバックアップを作成してるだけです。 「申し訳ありませんが、そちらのデータを引き取らせて頂いてもよろしいですか?」 「・・・・・そういうと思ってデータを再生した機材を用意中なんで、次に来た時にでもお渡しします」 .....騙されて、通して、許して! 内心でビクビクしながら霧谷さんの返事を待つ。 ほんの数秒かもしれない、けれど俺にとって何分にも感じられる沈黙の後に霧谷さんが口を開く。 「・・・・・わかりました。通常シフトに戻った際に視察という形でお伺いしますので、その時にお願いします」 「はい、承知しました」 おっしゃ、通った! 案外こっちの思惑はバレバレな気がしなくもないけれど、日本支部トップの素通し頂きました。 内心で渾身のガッツポーズをとりながら大喜びする俺氏、勝ったな( 「それにしても......」 「・・・・・?」 「まだ支部の新メンバーとは打ち解けられていないようですね? あなたの先輩方から報告が上がってますよ」 「えっ、あっ、あぁぁぁ~」 ......油断した。もしかしてこっちが本命だったのかもしれない。 ここで重ねるように触れるのもおかしいが、実は俺の一人称は応対する相手のよって大きく変化するらしい。 通常の応対、フラットな感情での会話においては自分のことを『僕』という癖がある。これは元々もの癖として意識があり、言い換えれば自分の世あたりにおけるツールの一つでしかない。 逆に打ち解けたり、親しくなった相手、もしくは自分の感情が強く出ているときの会話では自分のことを『俺』と言っている。これは子供ながらに『俺』という使い方が多かったことから周りに合わせて使うようになった本当の俺が表に出ている状態であることを意味している。 そして、最後に最近指摘されるようになった一人称に『私』が存在している。これはUGNで活動するようになってから相手との壁として『拒絶の壁(防衛本能)』として無意識に使ってしまうようになった『正しい意味で戦う時の宝条 隆盛』が使う自分の表現だ。 おそらく今回についてのこの指摘は...... 「こちらに何回か上がってきてますよ。 自分たちしかいないとき以外は『俺』とは言わなくなっているそうじゃないですか」 「・・・・・まあ、対外的には支部のトップですから。人の上に立つ立場では『俺』なんて簡単に使っちゃまずいですよ」 「じゃあ、どうして一部を除いては『私』で通しているんですか?」 .....鋭い。実はこの話についての自覚は結構しっかりとあったりもするのだ。 現時点で入ってきたばかりのメンバーに心を許す気にはなれない。霧谷さんには悪いが、今の支部では誰が上層部の意向を受けていてもおかしくないと強く感じている。 新参者は原則として霧谷さんの精査を通ったメンバーのみが配属されている。これについては霧谷さんにお願いしたことの延長線で善意の選出による配属ではあるが、霧谷さんにすべてを任せて安易に気を許すのは危ないと心のどこかで警鐘が鳴っているように感じるのだ。 それもあって古参のメンバーには他のメンバーとの交友関係などを聞いては自分の警戒対象を選別していたところだったんだが.....裏めったな。 「・・・・・いや、どうしてって言われると難しいんですが。 元々この支部の外ではひどい言われようでしたし、やっぱり入ってきたばかりの人たちが同じ風に考えてるんじゃないかってどこかで思ってるのかもしれませんね」 「それも含めてしっかりと人選を行っているつもりですが・・・・・確かに急にその気持ちに見切りをつけてくださいとも言えませんか」 「・・・・・すみません」 .....これも嘘じゃない。この支部に来る前の俺にとってUGNは息苦しい場所であったことは事実だ。その件は霧谷さんも把握済みだし、それもあって特別俺のことを心配してくれているようなそぶりすらある。それでもUGN絡みから始まった人間関係に対してはどうしても斜に構えてしまうし、オーヴァードといわれるとどうしてもまっすぐに受け止められないのだ。 支部長の椅子に座ると直談判した時も霧谷さんはその点に気を使ってくれていた。それもあって霧谷さんからの言葉で外部からの人員補充を申請させてもらいもした。それでも結果的に実を結ぶことが少なかったことを考えると、上層部がオレのそういうメンタル部分を狙いすましているように思えてなおのこと素直に受け入れられない。 「・・・・・まあ、大丈夫ですって。これでも先代が作った支部を守りたいって思ってますから。 『支部はお前のもう一つの家族だ』って言葉は俺の救いの一つです。『支部の仲間は家族だと思え』って考え方は俺がこの椅子に座り続ける限り貫いて見せますから」 「・・・・・わかりました。でも、無理はなさらないように」 「・・・・・いや、それはアンタだけには言われたくないです」 その後数分に渡り雑談交じりのN市支部方針決定会議を行って、そのあとは町を出て行った前メンバーの近況に話は移り変わっていくのだった。 「ふぅ~、今日の仕事終わり~!」 あれから二時間後。霧谷さんとの連絡も終わってしばらくの間をおいて、ようやくデータのバックアップ作成が完了した。それと同時に現在の支部長用ラップトップPCも本日の業務報告書の入力が完了し、めでたく一般企業の定時までに今日の仕事を終わらせることができたのだった......休日だけど。 ......自分で言ってて恥ずかしくなってきたので、部屋の片付けを始める。ラップトップはバックアップ用2台をそれぞれデスクの隠し収納部分に。支部長用のものをデスクの最底部の広めのスペースに。バックアップ用のデスクトップPCもそれぞれを支部長室内のキャビネットの隠し部分に個別に収納する。元々のラップトップは自分の家に持ち帰るので学校用のカバンにしまい込んだ。 そしてこの部屋の施錠用のカードキーを手に取るときに、いつも見えるように置いている一枚の写真へと目を向ける。 「・・・・・今日も一日、お疲れ様でした」 そこにはオレを含めた主要メンバーを中心とした、この前の事件解決直後に取った支部員全員の集合写真がある。 有事の際にはお守りとして持ち歩いているが、大切なこの写真をしごとの開始と終了の時に見ることで自分の目標の再確認をすることにしている。だから、この写真を見て一度目を閉じると気持ちを新たにこの部屋の施錠をして出ていく。 .....俺はこのメンバーがいたN市支部が大好きだ。 この支部にこれたから、俺は自分を見失わずに済んだ。この支部のみんなと一緒だったからこの前までの事件を無事にみんなで解決することができた。 だから、俺が大好きなこの場所を守るために作って見せよう。この支部を愛してくれるメンバーを集めて。この街を大切だ、かけがえのないものだと思ってくれる奴らを探して。そして、『俺がオレらしくいられる居場所』をもう一度取り戻して見せる。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ ということで後出しの前章でございます。 グランドオープニングありきだったので時系列を調整したり、N市支部が結構ヤバいとこでしたと印象付けるための無許可な設定を放り込んでみたりと散々な内容になっております。 都合上古参を含めた支部のメンバーを描写できなかったので、個人的には設定を用意しつつ霧谷さんとの会話をメインに支部が復興するまでを描かせて頂きました。 掘り下げたところは新旧の支部メンバーに対する接し方に違いがあることや後に補足で記載予定の前主要メンバーの設定、PCがセッション中に描写できなかった一人称の違いなどについてです(細かな設定が保存漏れしてました これによって察して頂けると思いますが、実はPCに対してまだ宝条君は心を開いておりません。理由などもSS内で記載していますが、基本的にはただのオーヴァード仲間で止まっていると解釈すると分かりやすいかと。でも、PC①とPC⑤はこの壁を物ともしてない節があるんで案外この二人には簡単に突破されるのではと期待してもいます。 また、セッション中に自爆した支部への思い入れについてと前支部長からのパクリ名言の一部を追加。今後はこういった恥ずかしめな台詞は文章の方に記載するにとどめたいのが本音です(どっちにしても恥ずか死ぬ 正直セッション中にどこまで触れるかもわからない内容はこういう風に捕捉にとどめてセッション時間を短縮したい派なので、興味のある方だけのぞき込んで拾いたければつついてくれるだけでいいかなという話がSSのメインになると思われるのであまり深く考えないことを強く推奨します(私的に『いつもの』といわれる奴です 霧谷さんとのやり取りについては基本的に霧谷さんは『宝条君の内心は見抜いているけれど見て見ぬふりをしてくれた』スタンスです。うぅ~ん、大人(ぉ 後に影響しそうなこととかがあればGM指摘を待って修正していきたいと思います。 あえて言うならばですが、GMさん。後ろ暗いUGNの裏話を投げ込んだ代わりに支部のセキュリティに穴があることを示唆したので許しておくれ(ぉ 補足①:宝条君の通過済みセッション上のPC番号 ⇒1話のセッション中に皆様に提示させて頂いておりますが、通過済みのサンプルシナリオとその時の宝条君のPC番号は以下の通りです ①Silhouette in Fog :PC④ (LM) ②Dual Calamity :PC⑤ (上級 シナリオ2) ③Storming Fairy :PC④ (EA シナリオ1) ④Venomous Hate :PC④ (IC シナリオ1) ⑤Truth or Fiction :PC④ (基本2 シナリオ2) ⑥World End Juvenile :PC④ (基本2 シナリオ1) 補足②:前支部メンバーの簡単な概略について ⇒GMさんと相談して、一部メンバーの設定を考えてお伝えしました。その後想像が働いた結果、以下のPC構成でセッションが進んでいったのではと予想しております。 PC①:レネゲイドビーイングホイホイ兼高校の先輩@賢者の石持ち白兵アタッカー(エグザイル×ハヌマーン) PC②:男装の麗人型PC①の相棒チルドレン@射撃アタッカー(モルフェウス×ノイマン) PC③:前UGN支部長@光使い型白兵アタッカー(エンジェルハイロゥ×サラマンダー) PC④:宝条 隆盛 PC⑤:プランナーに標的にされた高校生イリーガル@奇妙な隣人持ちRCアタッカー(ウロピュア) SS①セッション1終了後の一幕(2020/07/18追加) ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ この前の事件解決から二週間。支部内にあった事件の傷跡も癒え始めた今日この頃..... 「しっ、仕事が・・・・・終わらないっ!?」 俺はまだ新しく投げ込まれた事後処理の資料対応に追われていた。というのも、どうやらUGN上層部で嫌がらせをしてきていた一部の存在に俺が支部の運用について虚偽(というなの前支部長のフォロー業務の一部)がバレたらしい。『仕事ができるのを隠していたのだから』という理由で報告以外の事務処理についても追加で仕上げるようにぶん投げを起こしてきやがったのだ。お陰様で、三日前までは何の問題もなかった業務内容が、まるで現在の主要メンバー決定前の頃のようにPC三台体制によるフル稼働を余儀なくされている。 「こっちの資料は霧谷さんから届いてる事件の事後報告書の問い合わせ。あっちはこの前提出した支部情報の更新データの反映結果レポート。 あれ、支部員のメンバー名簿に不備・・・・・ちょ、漢字の誤変換じゃなくて、旧漢字の対応修正ぐらい自分たちでやってくれても・・・・・って、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」 同時並行で開いているPCのモニタ上には支部の再開以前と同じレベルの資料が多数届いており、前回の事件における事後作業のみならず事件のせいで遅れてしまった支部の管理に必要な情報の登録作業もたくさんある。事件前後で正式登録された主要メンバーについては特に厳しい資料申請が求められていることもあって、対応しなければいけないと納得できる書類がまだいいのだが..... 「おかしい、なんで市街の修繕費の再計算が混ざってるの!? こっちのデータなんて、杉山さん救出時の作戦行動時に取ってた予算の不備がどうとか、支部の運用費差し押さえでもしたいのかよ!? あ゛ん、事件関係者に対する研究協力要請』だぁ!? バイタルデータも含めて提出済み・・・・・って過激派からの人体実験以来じゃねぇか、なんでここまで資料が通ってんだよ!?」 便宜上は『もっと有用な使い方もできただろうに、能力を偽って多額の予算を接収した』とかが触れ込みになってるけど、明らかにうちの支部が持ってる予算から切り取りをする目的の金額設定にされてるし! 一部に至っては『正式に支部長になったんだから、甘やかしてた部分はカットしますね』とか言いながら追加予算の二割カットとか馬鹿じゃないの!? それに混じって『"アイシクルランス"の独断専行の詳細を問う』とか、仕事してないの!? 先に出したレポート読めや! こっちは『自立型レネゲイドビーイングに寄生されて正常に戻ったチルドレンのサンプルが欲しい』とか『賢者の石を持つレネゲイドビーイングの検体収集』って実験体扱いか!? しかもこれRラボの一部過激派とか言われてる部署じゃないの、うちの奴に手ぇ出そうとか死にたいの!? こうなったら徹底的に粗探しして、逆にケンカ売ってきたヤツらから金むしり取ってやるわ! そんなことを考えてPCに向かっていた時...... コンコンコンッ! 「・・・・・支部長、今よろしいですか?」 「散らかってるから片付くまで待ってくれます~!?」 「・・・・・失礼します」 入口から聞きなれ始めた声が響いたので、咄嗟に拒否を返す。しかしながら、相手はその発言を無視して静かに入ってきた。 そちらをチラ見すれば、さっき話題の中心にいた"アイシクルランス"こと立科 沙紀さん。こっちの言葉に逆らって入ってきた割にはオドオドしながら入ってきてますけど、なんで!? 「あの、古参の先輩方が『片付くまで待って』は延々と終わらないから無視して突っ込めとおっしゃったのですが・・・・・ご迷惑でしたか?」 「・・・・・とりあえず、あとでその人の名前は教えてもらいます。 ていうかやっぱり僕のことなめてますよね、この支部のバックヤード全般」 「えっ?いや、あの。どちらかというと心配なされてるから『こういう場合はどのように対処しろ』みたいな忠告だった気がするのですが・・・・・」 「・・・・・いやいや。それでもいかんでしょう、普通」 「申し訳ありません。普通といわれましても、その・・・・・」 「・・・・・なんかゴメンナサイ」 『現在修羅場中です、お帰り下さい』とかそういう意図で言った発言だったのですが、先達様たちは無視ですか。ソウデスカ(汗 ていうか、こういう場合に立科さんなら怒られないだろって魂胆が見えるのは穿ち過ぎか? いや、大蜘蛛くんとかに来られた場合を想像するよりかはましって考えるとむしろ温情アリ? でもやり口が辛辣なあたり、支部長当たりの口添えもあったんじゃ..... 「(ブツブツブツブツ)」 「・・・・・あの、支部長?戻ってきてもらえませんか」 立科さんが何か言ってるような気がするけど、一旦横置きする。 正直に言うと前回の事件後に開いた支部全体を巻き込んだ歓迎会(という名だったはずだった公開黒歴史)の所為か支部の新参メンバーになめられるようになったというか、やたら生暖かい目で見られるようになってしまい、支部再開後に築き上げてきた支部長としての威厳がすべて消し飛んでしまった。 端的に言えば身から出た錆というほかないのだが、『純粋』と『世間知らず』が悪魔合体して起こった『天然の善意(混ざりっけなしの伝言ゲーム)』が私的に支部に生まれてほしくなかったダークマターを生み出したというかべきか。どうせならば合体事故でも起きればよかったのに正規合体に成功してしまって生まれんでもいい混沌空間を呼び出したというべきか。 今でも思い出すと頭が痛くなってくる、地獄を煮詰めたような悪魔の会合があの日、あの数時間で生まれてしまっていたのだ。 「会議室のみんな、グラスは持ちました~?」 マイクを片手に俺が声をかけると、部屋の要所要所で手が上がったり返事が返ってきたりしていた。 集まった人数は20~30人ほど。主要メンバーに古参が数名、新規メンバーが半数ずつといった形で支部に用意してもらった大会議室で開会の言葉を待っている状態だった。 本来マイクは必要ないそれほど広くもない会議室なのだが、開会の言葉.....とりわけ支部のトップの挨拶ということで俺の言葉だけ支部内に放送されるように手はずが整えられていた。 「・・・・・はい、じゃあいきますか。 支部全体で運航を停止するわけにいかないせいでバックヤードはシフトを分けての参加になりますが、今回の事件を以って正式運用になったN市支部の歓迎会を始めます。 学校で上の人間の人間の長話には辟易してるので、伝えるべきことは3つだけ。後日支部員のリストは共有できるようにしますので、詳細はそちらを見てください」 前支部長だったらこうやりそうかなというスタートから第一声を口にする。 正直言って後ろに下がってフォローがメインだったので、こういう場には全く慣れていない。そのためあの支部長だったらいいそうなことを持ってきたけれど、それがわかっているだろう古参の何人かが『オッサンくせえぞ!』とか『似合ってねぇぞ!』とか好き放題野次を飛ばしてくる。 マイクに入らない程度で茶化すように声を上げるので最初は無視して話を進めていくのだが、支部の置かれた状況(仮想敵部隊の話など)や主要メンバーの紹介をしているうちに楽しくなってきたのか『もっとガキらしくしろ!』だの『なんかのプレゼンか?』だの言いだしたメンバーも出てきたのでさすがにイライラしてくる。 結果的に話し始めて5分くらいで収拾がつかなくなりそうだったので、我慢ができず..... 「・・・・・じゃかぁしぃ! 古参のオッサン共、いい酒が飲みたきゃシャラップ! 持ち帰りにいいヤツ頼んどいたけど、これ以上邪魔すると没収するよ!?」 .....などと本来のノリでツッコミを入れてしまったりもあって、威厳の一部が欠落したように感じるその上グダってしまったためにその後に伝える予定だったことも言わずに乾杯に突入してしまった。 本当ならば『主要メンバーに爆弾を抱えてるものがいるので行動には注意を』とか一部の注意喚起を行う予定だったのだが、このタイミングで言い逃したせいで地獄を見ることになる。 乾杯の音頭の後にバックヤードのメンバーと軽く会話をして少し経った頃。一通りのあいさつ回りみたいなものが終わって周囲を見渡すと、主要メンバーたちもそれぞれが楽しそうに.....楽しそうでいいのかわからないのも含めてパーティー会場で花を咲かせているようだった。 大蜘蛛くんは立科さんと何やら楽しそうに話をしているし、月影さんと九曜くんは料理をおいしそうに食べている。樹さんはいないのかとキョロキョロしてみたら、さっきから部屋を行き来しながら新しい料理の配膳と空いた皿などの回収などで目まぐるしく動き回っていた。 そう。今回の歓迎会。せっかくだからと実家のコネでそれなりにいいところのデリバリーでパーティー用の飲み物や料理を手配したのだがそれを広げた直後に樹さんの琴線に触れたらしく、支部に備え付けられた調理場(といっても台所ほどの設備もない小部屋)に入って早急に料理を用意し始めたのだ。 ガスコンロなどの最低限の設備しかなかったはずなのに、いつの間にやら用意されていたまな板などの道具に品質のよさそうな食材が並べられ、2時間ほどであらかじめ用意してもらっていた量と同じだけの料理が立ち並んでいた。しかもパーティーにふさわしいというべきバラエティーディッシュには頼んだものよりおいしそうな唐揚げやフライドポテトなどが並んでおり、それが好評でお代わりが発生しているようだった。鷺ノ宮のメイドさん、恐るべし。 そんなことを考えていると、大蜘蛛くんが料理片手に立科さんを引っ張って俺のところに駆けてきた。 「支部長、支部長! これ、沙紀が作ったんだって! おいしいよ!」 「ちょっと、縛! 恥ずかしいからやめろ!」 そういって見せてきたのは赤身の牛肉.....正確に言うと彼女に課した罰である『パーティーに合わせて用意させた手料理』ことローストビーフだった。 ここで補足をしておく。今回の事件で独断専行や命令違反などを起こしてしまった立科さんに対する罰として用意したものは4つあった。 1つ目は『UGN上層部へ提出する報告書の作成』。これは当たり前の話なのだが、内容を濃く・長く・時系列を事細かくしっかり記載することを言明したうえで命じた。結果2日をかけて紙媒体で30枚近くのデータを提出してきた。勿論これには裏があって、事前に概略にあたるレベルでの報告を霧谷さんとの連絡前に作成させておいて上層部に提出する際に嫌がらせが来る前提で長々とした資料を用意させた。提出前に内容確認を俺自身が行わなければならないという点は大変手間だが、前支部長の作っていたふざけた報告書の添削にかける時間よりは圧倒的に楽だ。そもそも小学生レベルの感想文みたいな資料は報告書だなんて認め(ry 2つ目は『俺を除く主要メンバーとのタイマンでの乱取り模擬戦』。こちらは連続で各メンバーと戦闘をこなすことでお互いの技量を再確認してもらおうと思っていたし、立科さんも多少は絞られるべきだと考えたので、肉体的に罰を与える名目で3日の訓練期間中に全員と1日1戦ずつやることを命じた。今日が初日だったのだが、結構痛い目を見たようだった。 大蜘蛛くんはお互いの関係上強く出れないところがあったが、この罰を通じて前のような関係に戻りやすくなればいいのだけれど.....月影さんと樹さんは完全に彼女を封殺していた。アレはしょうがない点もあるけれど、ちょっと勝ち目が低すぎたかもしれない。ついでに言っておくと九曜くん、君はダメだ。『気が進まない』とか言ってたから『お互いの力量を見せ合う場だ』とはいったよ?でもね、綺麗に一発もらった後に、何もなかったようにとんでもない一撃を返すのはないわ。あれ、普通に怖いし死ぬって。 .....コホン。3つ目は『大蜘蛛 縛の監視と教育の強化』。大蜘蛛くんは立科さんに心を開いているし彼の危険性は彼女自身がよく理解しているようだったから、この際に言明すると同時に自身にも常識を学ぶように命じた。正直チルドレンに常識を教えろというのは無理なので、古参のメンバーと相談して物事の良しあしを間接的に伝える役割も与えている。強いてこの罰に問題を呈するならば『古参メンバーがはっちゃけないか不安』ということだが、そこは彼らの良心を信じるしかない。 そして最後がこの歓迎会に一品彩を添えることだ。せっかくだから少し恥ずかしい目に合わせてやろうという悪戯心が6割。残りがチルドレンだということに諦めず、甘えず、そして他のことに興味を示してほしいと思っての行動だったのだが..... 「(・・・・・あれ、意外に食べられる?) 初めてにして上出来じゃないかな?」 「あっ、ありがとうございます・・・・・」 「アレ?沙紀、赤くなってる?」 正直に言って意外だった。まずローストビーフを選択するあたりで結構悩んだのではないかと思うが、そもそもそこにたどり着くだけの時間があったのかという点。そして、ローストビーフを作るだけの期間が彼女の仕事量から想像できなかったのだ。ローストビーフって確かブロック肉を何時間も似たりしないと味が染みないはずじゃあ..... あと、大蜘蛛くん。そこは立科さんのために触れないで上げるところです。 「パーティーというものがよくわからなかったので支部の端末で調べたところ、『パーティー料理の簡単レシピ』というものがあったのでそれをそのまま・・・・・」 「なるほどね。自分で調べただけでここまでできるなら、もしかしたら才能があるのかもしれないね」 「いえ、そんなことは。 能力のコントロールも出来て、いい勉強になりました」 「ねぇねぇ、なんで赤くなってるの?」 .....いや、能力の勉強って(汗 確か君、サラマンダーとハヌマーンだよね。サラマンダーの能力で火力調整しながらハヌマーンの能力で圧力鍋みたいなことしたの? ていうか初めての料理なの能力使いながらしちゃったの? むしろ自分の能力使いながらうまいこと料理するってマジで才能あるんじゃないの? そもそも能力ありきで料理するのって、だからチルドレンって奴は......orz 「なあ、支部長。なんで先は赤くなってたんだ?」 「・・・・・大蜘蛛くん。初めて挑戦したことを他人に評価されるのって、結構恥ずかしかったりするんだよ?それを褒められるのだって結構照れるもんなんだよ?」 「そうなの?」 「・・・・・支部長、もう許してください」 予定とは違った形で立科さん、撃沈。 敗因は大蜘蛛くんの純真さに耐えられなかったこと。リッパー撃退後のあの状況を考えるにあり得る事態だったけど、俺のアレを見て同じ轍を踏むなんてまだまだだね(フラグ 撃沈した立科さんの介抱(を真似た質問攻め?)が始まったあたりでその場から退散しつつシフトの交換で入れ替わったメンバーと話をしているうちに、結構いい時間になっていた。 3交代目が起きた撃沈していた彼女も立ち直ったようで、樹さんの動きに驚きつつ手伝おうとして断られて困惑する姿。それを傍目に見たことがない料理があったのか、周りにあれこれと聞いて回る大蜘蛛くん。いつの間にか姿が確認できなくなっている月影さん。やはりガタイがいいだけあってかなりの量を食べているのを見て周りの大人に声を掛けられ始めた九曜くん。思っていたよりかは交流が深められている主要メンバーとバックヤードの姿に『この調子なら大丈夫かな』と思いつつも終わりを切り出そうとした頃だった。 マイクを探してうろうろし始めたのに気付いたのか大蜘蛛くんが近づいてきてこう言いだした。 「支部長、ここのみんないい人だな」 「そうだね、そのようで良かったよ」 少し笑いながら見た彼の後ろのテーブルにマイクを見つけ、そういいながら手に取った直後だった。 「みんな家族なんだな。僕、嬉しい!」 取ったマイクが手から飛んでいった。それは落とした拍子に床を跳ねまわり、俺と大蜘蛛くんの間に転がった。 「おっ、大蜘蛛くん。その話はここでは・・・・・」 「『みんな家族みたいに思え』って、家族が増えてホント嬉しい! これからもよろしくな、支部長!」 「・・・・・おっ、oh?」 大蜘蛛爆弾、炸裂。立科さんのことを言えなくなった。 会議室に残っていたバックヤードがそんな俺たちに気付き、何事かと反応していた。それに対して大蜘蛛くんは俺にとっての黒歴史を本当にうれしそうに話し始めた。止めようとした俺は古参のバックヤード組に羽交い絞めにされてあーだこーだといじられ始め、その間に話の詳細を聞いた他のメンバーも『その時その場で聞いてました!』とか『あの支部長が?意外・・・・・』とか『前の支部長の受け売りなんだぜ、あれ』とか好き勝手に言い始めた。 咄嗟に周りを見渡すと、こっちに両手を合わせて頭を下げる九曜くんにスカートをつまんでこっちに会釈する樹さん。いや、『南無』ってか!? そんなことするなら助けてください! チョンチョン 薄情にもお祈り状態の二人に懇願しようと手を伸ばしたと同じタイミングで、羽交い絞めにされていた俺の肩を叩く誰か。 助けかと、藁にも縋る思いで見た先にいたのは月影さん。 「支部長、諦めた方が良い」 そういった月影さんの眼には、明らかな同情の視線が含まれていた。 その後の顛末だが、月影さんの一言がとどめとなり俺は絶叫と共に問答無用で閉会を宣言。その後顔を真っ赤にしながら支部長室に逃げ帰るといった始末だった。その所為で支部メンバーから前日は違った目線を向けられるようになったほか古参によって『前支部長の方針&語録』が広められ、本紙部の大体の方向性と俺の支部長としてのスタンスがモロバレとなってしまった。 なお、質の悪いことに落としたマイクがあのタイミングで見事にOFFだった電源が切り替わっていた。おかげであの場での会話が支部全体に伝わってしまい、針の狢といった状態だった俺は一昨日まで支部長室にこもって一人で仕事を進めていたのだ。 余談だが歓迎会の後でみんなに渡そうとした手土産は幸いにも樹さんの手腕で帰宅前のメンバー全員の手に渡り、大人組はそれなりの品質のワインボトルが、未成年組には親御さんに渡す用の缶詰セットが家に届けられることとなった。 結果として、あの歓迎会は俺にとっての黒歴史の一部となり、支部内の結束と友好、鷺ノ宮家のメイドの恐ろしさの一端を広げることになった。 そんな俺に贈られた仕打ちが現状であるのだから文句の一つも言ってないとやってられないのである。そしてそんな姿を支部員に見せるわけにいかないんだから、俺が一人で部屋にこもっていたって問題はない。だから俺は悪くない! 「・・・・・支部長、重ねて失礼します」 ズビシッ! 「あだッ!?」 そんな自己完結と論理武装を行っているとおでこに鋭い痛み。そこで意識を外に戻すと、綺麗なチョップを繰り出した後の立科さんの姿があった。 どういう理屈でそうなるのかはわからないが反応がなかった俺に対して彼女が起こしたアクションだったようで、何とも言えない表情で彼女は進める。 「古参の肩からお伺いしておりまして、『話を聞かずにブツブツ言いだしたら、額に斜め45度からチョップを叩き付けろ。そうすれば直る』と・・・・・」 「俺は『ブラウン管のテレビ』か!?」 「えっ、ぶらうんかん?」 咄嗟に突っ込む俺。ただ、扱いはひどいがこの対応は実は支部内における正解でもあり..... 思考が内側に入り込んでしまうと周りが見えずらくなる傾向があるらしく、前支部長の補佐をしているときもこのような対応がよくとられていたりするのだ。そんなものだから古参のオッサン連中が面白がって彼女に伝えていたのを律義に実行したのだろう。 恐縮しながら行動理由を話した彼女を見るに出汁にされたことを憐れに思うべきか、そこまで古参に読まれている自分を憐れに思うべきか..... ついでにツッコミについてきょとんと視されておりますが、いった本人は『ブラウン管のテレビ』など直接見たことがなくテレビ越しの知識による勢い任せのツッコミでしかないで悪しからず。 「・・・・・コホン、気にしないでください。本題をどうぞ」 場を立ち直らせるつもりで咳払いをして、彼女のきた要件について話を聞いてみた。 内容は大蜘蛛くんに関する報告書だった。どうやら命じてはおいたもののことの優先順位がわからなかったために、古参の『だったら四の五の言わずに部屋に突撃しろ』というアドバイスを真に受けてきたらしい。ついでに『引きこもりの様子を見てきてくれ』と付け加えられたというあたり、歓迎会でのことに思うところでもあったのだろうか。 そんなこんなで言われたとおりにやってきた彼女の資料にその場で確認してみると、大蜘蛛くんの日常は特筆して問題になるような部分もなさそうだった。 良く言えば『純粋』、悪く言えば『無知』ともいえる彼の行動は天真爛漫という表現がよく似合う。俺が出会ってきたレネゲイドビーイングにもそういった傾向の者がいたから理解はできるものの、彼の経歴を考えると未成熟が過ぎるきらいがある。そういう部分が見えなくて『監視』という名目で行動を追うように指示していたが、どうやら意図は正しく伝わっているような内容だった。 記述によると二人の関係も元のあり方を取り戻してきているようで、大蜘蛛くんの猛攻にタジタジになっている姿が目に浮かぶ。 「ありがと、立科さん。君も大蜘蛛くんと元の関係に戻れたようで、何よりだよ」 「いえ、こちらこそ助かりました。正直どう接してよいかわからなかったところが大きかったので、寛大な措置のおかげで何とかやっていけそうです」 「その言葉はちゃんと霧谷さんに伝えておくよ」 そう返すと、苦笑された。 俺の目から見ても、事件前にあった彼女の焦りなどはまるで抜け落ちたかのようになくなっている。むしろチルドレンとして張りつめていたものがだいぶ落ち着いたようにも感じる。 「本当に感謝しています。 本来だったら私はこの支部に残れないと思っていました。でも、この支部は私に居場所を残してくれました」 「それが以前から続く支部の方針だからね。気にする必要はないよ」 「いえ、それでもです」 当たり前のことを返されて軽く流すつもりだったのだが、彼女は真面目な顔で続けた。 「歓迎会といわれて、きっと陰口を言われるものだと思っていました。でも誰もそんなことをしませんでした。 それどころか、みんな私に笑いかけてくれました。私の作ったものを『おいしい』といってくれました」 「君の知らないところで陰口はあるかもしれない。回の雰囲気で言えなかっただけかもしれない。 ついでに君の料理は失敗前提で、少しぐらい恥ずかしい目に遭えばいいと思っただけだよ?」 彼女の言葉に否定を連ねる。真剣なまなざしに正直に答えるけれど、彼女は少し笑って返す。 「それは私が向き合うべき問題です。 失敗すれば・・・・・力がなければ自分の価値観が失われるかもしれないと思っていました。でもそんな私を誰もが労わってくれる。 恵まれた立場にいるんだと、そう思っています」 そういう彼女の顔を見ているうちに、もう何を言うのもあれだなと感じだ。 なんとなくだけど、自分が初めてこの支部長室で前支部長に話した時もこんな感じだったのかもしれない。 「・・・・・そう。じゃあ、それはこれからの支部での活躍で返してもらうね?」 「勿論です。これからもよろしくお願いします」 そういって彼女は彼女は退出しようと俺から背を向ける。その姿を傍目に残った仕事にとりかかろうとしたのだが、立科さんはドアノブを掴んだところで何やら逡巡しているようだった。 少々不思議に思いながら仕事を進め始めると、彼女はそのままの姿でこんなことを言い出した。 「・・・・・その。先程『恥ずかしい目に遭えば』とおっしゃられましたが」 「・・・・・うん?」 そういう彼女の姿に手を止めてみると、うっすらと見える彼女の耳あたりが赤くなっていることに気付く。 「・・・・・あの、それで。縛に『とてもおいしい』といってもらえました」 「・・・・・うん」 これって、いわゆる『アレ』なのではなかろうか? こういう場合って止めてあげるべき? 一歩間違うと黒歴史の量産が進んじゃう奴だよね、これ。 でも『えっと』とか『あの、その』とか言って頑張ってるの見ると止められないんだけど、どうすればいいの? 「・・・・・とても嬉しかったです。支部長のおかげです」 そういうと彼女は飛び出して行ってしまった。 残された俺は一瞬呆気にとられてしまったが、気付けば頬杖をついて笑っていた。なんとなく、前支部長がこの椅子に座っているときに嬉しそうにしていた秘密を理解できた気がしたのだ。 立科さんが何を想って嬉しかったのか、それを知るすべはないだろう。そもそもそれを知るべき人間ではないし、それをするほど出刃亀ではないつもりだ。 強いて言えば、以前助けてもらえた相手(理想)への感謝を伝えられた嬉しさなのか、それとも自分に寄り添ってくれる相手(今)に向けた別も感情なのか。そういうことを考えると、この席に着く前の支部のことを思い出して、集合写真の入っているデスクの棚を引っ張り出した。 そこには以前からある前メンバーとの集合写真とは別に、歓迎会で黒歴史生産前に取った今のメンバーとの集合写真が並ぶように置いてある。構図もバラバラ、笑ってたり、無表情だったり、仏頂面だったり。でもそこにあるどちらも何故か輝いて見えた。 まだまだ始まったばかりで、前のみんなとは全然違う俺たちだけれど。きっと頑張れば同じような関係を築いていけるかもしれない。そんなことを考えて、誰もいない部屋でどこかやさしそうに微笑む自分の姿がモニター越しに移っているのが見えた。 「・・・・・さて、あともうひと頑張り!」 そんな自分を客観視してみたところで恥ずかしくなり、わざと大声でだす独り言。 早く終わらせて支部のみんなにもちゃんと顔を出しとかないと、本当に威厳もへったくれもなくなっちまいかねないもんね! ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ ということで、自分で黒歴史を量産するの巻でした(ぉ まだ他のPCの特徴がつかみ切れていないところが多かったので、1話でスポットライトが当たっていた縛くんと沙紀ちゃんをメインに話を持っていきました.....が、ゴメンなさい。 縛くんこんな感じでいいのか正直めっちゃ不安です。PL様、これ読んでたらマジで指摘してプリーズ!(書けば書くほど違和感がすごくなっていく罠にはまる 沙紀ちゃんの隆盛君に対する言葉遣いは『支部長(役職者)』向けに直しているだけだと想定。高校とか出会うと普段の口調とかで話をするんじゃないかと。 各PCの行動はセッション後のPL様に振った話を基にしたものやパーソナルに記載されたものをベースに想像したのですが、一度書いたものを読み返して『やり過ぎた』と思ったところを削ったら縛くんと沙紀ちゃんとしか会話が続かなかったというオチまでつけて、結果『何を書きたかったんだっけ?』となったのが最終的な結論。FSD7陣後に加筆修正してたりするんで、そっちのと混ざってマジで収拾がつかなくなってます(あっちもSS書き始めてパンクした系 さすがに模擬戦で一瞬で首筋に刃を突き付ける月影さんとか、実は歓迎会で主に食べてる料理が樹さんが調理したものだったりする九曜くんとか、さりげなく自分の料理を食べるように配置を誘導している樹さんとか。ネタ半分で口にしたことをそのまま載せるのは何か違う気がして、総じてカットと相成りました。(それでも1万字オーバー) 個人的な肝としていたと思われるのが『隆盛君は支部員に猫をかぶってる』という部分と『古参が支部長を子供として扱っている』という部分を強調したかったのかと。読み返して気付いたのが『古参の自己主張激しいな』と『大人ぶる隆盛君に対してあたりが強いな』と感じたので。多分『支部長として・・・』みたいな思考と『前の支部だったら・・・・・』みたいな思考を事情を知ってる古参組が『自分らしさを捨てるな』みたいな感じでぶち壊しにかかっているつもりだったんじゃないかと思ってみてます(さすがに自キャラへの辛みがめんどくさすぎるので..... 後半の沙紀ちゃんとの会話は縛くんとどうつながっていくのかわからなかったので、とりあえず『縛くんに料理食べさせた』と『料理がおいしいといってもらえた』だけでとどめております。まだSSを書くようだったらシナリオに合わせて頑張って書くのもやぶさか(ry 強気な女の子のしおらしい姿とか、みんな好きやろ(ゲス ←書けてるつもりかよと問いたい ※余談 歓迎会の料理についてはダイスの女神さまにご相談させて頂きました。結果的にキャライメージがすごいことになったんですが、あの女神すげえな(ぉ 沙紀ちゃんのデータはうろ覚えだったので、シンドロームと想定ワークスに各能力値を+3として計算。レナちゃんは7/13時点でのデータを借りて試し振りしたら荒ぶったという(マテ レナちゃんの料理判定(全判定のの成功基準値:8) 知識:料理: 9 (庶民のパーティー料理知識判定 :2D) 芸術:料理:24 (料理技能判定 :2D+1) 沙紀ちゃんの料理判定(全判定のの成功基準値:8) 知識:料理:14 (料理知識判定 :5D) 芸術:料理: 7 (料理技能判定 :4D) ※今回のNGシーン(終盤の会話終わりから) ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ そういうと彼女は飛び出して行ってしまった。 残された俺は一瞬呆気にとられてしまったが、気付けば頬杖をついて笑っていた。なんとなく、前支部長がこの椅子に座っているときに嬉しそうにしていた秘密を理解できた気がしたのだ。 ガヤガヤ、ガヤガヤ ・・・・・ん?なんか廊下が騒がしくないか? そう思って扉越しに外の声を聴いてみると・・・・・ 「(ねぇ、今の見た!?)」 「(沙紀ちゃん、顔真っ赤にして走り去ったわよね?)」 「(まさか、支部長が権力に物を言わせて!?)」 「(うそでしょ!? 若いからってそっちの方に暴走しちゃ《自主規制》)」 「(みんな家族って、そういう意味だったりするの!?)」 「ぎぃやぁぁぁぁぁっ!? 立科さん、誤解させるような退室の仕方止めれでぇぇぇぇぇ!(泣」 これから三日間。立科さんと一緒に女性陣からの誤解を解くのに走り回ることになったのは語るまでもない.....
※
歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました
(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
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