タグ： シルドームの魔石

『シェン・ウー』 猫背気味でひょろっとしたやせぎすな体躯、色白でほっそりした顔つきにハの字眉、おとなしい、というか気弱な雰囲気の少年。多くの人の第一印象は「もやしっこ」。 出身地は雪深い山村で、この農作物も満足に育たない過酷な環境の村においての主要産業は「傭兵の派遣」。この村に生まれた子供たちの多くは、幼い頃から戦士として生きていく為の訓練を受けさせられ、その一環として狩人としての技術も教え込まれる。 そんな村の中で、同世代の同胞たちと比較して戦闘技術の才に劣り、また積極的に戦士として生きる意志に乏しいシェンは、村の中での戦士としての能力はいつまでも低いままであった(それがこの村で生きるシェンの一番のコンプレックスでもある)。 狩人としては一応人並みの腕があった為、傭兵としての道ではなく狩人として村で過ごしていく事を望んでいたシェン。彼には一人の兄がいた。兄の名は『レイト・ウー』。村随一の斧槍使いで、隊商の護衛から過酷な戦場まで様々な仕事を幾度もこなし村に報酬を持ち帰る彼は、まさに村の英雄だった。 シェンの性格を見定め、早い段階で狩人の道を勧めたのもレイで、様々な場面で弟を気にかけ、面倒を見てくれる兄をシェンは人一倍尊敬していた。 シェンが17歳のある日、レイが同行した他の村人に後から追いかけると言い残したまま、「出稼ぎ」から戻らない事が村で騒ぎになりつつあった。 村ではレイを捜索する必要を感じながらも、戦士たちは村の貴重な収入源のためそこから人員は割きたくない。それで白羽の矢が立ったのが実の弟であり、未だ戦士ではないシェンである。気弱なシェンは兄は心配ではあるがそれ以上に恐怖が勝り、捜索の旅に出ることを渋っていたが、レイの許嫁でシェンの初恋の相手である『アーリィ』からの懇願を受け、兄の捜索を決意する。 そして下山する戦士達と一緒に村を旅立ち、一人グレアシュの町へと降り立ったのだが……。

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