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白麦 アサヒ
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白麦 アサヒ
タグ:
佐倉!
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生まれ・能力値
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その他増加分
一時的増減
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初期
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デア
幸運
知識
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SAN
現在SAN値
/
(不定領域:
)
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技能
職業P
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(うち追加分:
)
興味P
/
(うち追加分:
)
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初期値の技能を隠す
複数回成長モード
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<戦闘技能>
成長
戦闘技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
回避
キック
組み付き
こぶし(パンチ)
頭突き
投擲
マーシャルアーツ
拳銃
サブマシンガン
ショットガン
マシンガン
ライフル
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<探索技能>
成長
探索技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
応急手当
鍵開け
隠す
隠れる
聞き耳
忍び歩き
写真術
精神分析
追跡
登攀
図書館
目星
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<行動技能>
成長
行動技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
運転(
)
機械修理
重機械操作
乗馬
水泳
製作(
)
操縦(
)
跳躍
電気修理
ナビゲート
変装
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通常表示
<交渉技能>
成長
交渉技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
言いくるめ
信用
説得
値切り
母国語(
)
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<知識技能>
成長
知識技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
医学
オカルト
化学
クトゥルフ神話
芸術(
)
経理
考古学
コンピューター
心理学
人類学
生物学
地質学
電子工学
天文学
博物学
物理学
法律
薬学
歴史
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戦闘・武器・防具
ダメージボーナス:
名前
成功率
ダメージ
射程
攻撃回数
装弾数
耐久力
その他
%
%
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所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
価格総計
現在の所持金:
、 預金・借金:
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パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
職業
年齢
性別
身長
体重
出身
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
◆基本情報 名前:白麦 アサヒ 年齢:18歳 身長:171cm 一人称:俺 二人称:君、貴方、名前+さん 誕生日:10月13日 誕生花:シモツケ「はかなさ」「無駄」「無益」 好きな物:弟妹、平穏 苦手なもの:感情的な人、喧騒、大人 ◆参考職業技能 看護師【化学、生物学、応急手当、言いくるめ or 説得、薬学、心理学、聞き耳、目星】 ◆特徴表 ・5-09「ド根性」 根性がある。あらゆる抵抗表を使用したロールで、成功する範囲に+5%。 ・2-04「愛書家」 あらゆるジャンルの蔵書を持っている。<図書館>に+20%。 さらに図書館へ出掛けなくても、自宅の書庫で<図書館>ロールが可能になる。 ╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴╴ 白麦家の長男。常に柔和な雰囲気をまとっており、いつも穏やかな笑みを浮かべている。 声を荒らげることは滅多になく、感情の起伏といったものはあまり見られない。 その姿勢から困っている人を助けたり人の話を聞くことが多いが、自分から助けを求めたり個人的な話をすることはない。 家計を支えるために高校には通わず、近所の花屋でアルバイトをしながら、弟妹の親代わりとして家事全般をこなしている。 弟妹のことが何よりも大切であり自分のことは二の次なので、常に「ふたりが楽しく過ごせること」を最優先に動いている。 料理や家事などなにごともテキパキとこなすがマフラーはなぜかうまく巻けずハチャメチャになっていた時がある。もっとも、それも最初だけだったので現在は普通に巻ける。 「ふたりとも、おかえり。今日も頑張ったね。お腹、空いてない? すぐに温かいものを用意するから、先に手を洗っておいで」 「これ、欲しがってたよね。ちょうどお店で見つけたから買ってきたよ。……ふふ、喜んでくれてよかった。俺も嬉しいよ」 「大丈夫だよ。怖いことなんて、何ひとつない。約束するよ。何があっても、俺が二人から離れることはないから。だから、今は安心して眠っていいんだよ」 ⚠️以外 シャンゼリゼHO1 秘匿バレあり⚠️ ◆経歴 白麦アサヒの記憶の断層を掘り起こせば、そこには必ず、冬の朝の澄み切った空気と、食卓に反射する眩い光の破片が落ちている。 幼い頃の父と母は、確かにアサヒを愛していた。もちろん、その愛はひどく不安定で、一度火がつけば家の中を焼き尽くすほど荒れ狂う嵐のような危うさを孕んでいたけれど、凪のような時間に見せる彼らの笑顔は、幼いアサヒにとって絶対的な世界の中心だった。 「アサヒは私たちの誇りでしょう? だから、完璧でいなさい。それが、私たちの喜びなのよ。」 母は優しく微笑みながら、アサヒのテストのわずかなミスを、あるいは食事中の些細な行儀の乱れを、静かな、しかし逃げ場のない言葉で責め立てた。父の期待から一歩でも外れれば、途端に家の中の空気は凍りつき、嵐が訪れる。アサヒにとっての教育は、知識を得ることではなく、親という不安定な神を鎮めるための供物を揃える作業だった。 ある日のことだ。アサヒは父と母が大切にしている婚約指輪を、うっとりと眺めていたことがあった。並んだ二人の指先で対になるように設えられたダイヤモンドは、窓から差し込むわずかな光さえも貪欲に吸い込み、冷たくも鮮やかな火花を散らしている。その中心に宿る純白の輝きは、不浄を一切許さない絶対的な正義のように幼いアサヒの瞳を焼きつけ、幼心に「いいなぁ」と零した独り言を父は聞き逃さなかった。 「アサヒも、そんなに宝石が好きなのか」 父は愉快そうに笑い、数日後のクリスマスに小さな箱をくれた。中に入っていたのは、本物の指輪には程遠い、安価なプラスチック製のおもちゃの指輪。両親の指輪に似たデザインだが、宝石部分は安っぽい透明のプラスチックで、光にかざせば小さな気泡が見えるような、縁日の景品のような玩具だ。 「アサヒの指には、こっちの方が似合うよ」 そう言って笑う父と、隣で優しく微笑む母。アサヒはその指輪を小さな指にはめ、誇らしげに何度も角度を変えて眺めた。指に触れる冷たいプラスチックの感触。その瞬間、この市場価値など皆無に等しいプラスチックは、アサヒにとって世界で一番尊い、家族の絆の象徴になった。幼いアサヒは、その眩しさに目を細めながら「この輝きさえあれば、僕たちは大丈夫だ」と、根拠のない確信を抱いていた。 けれど、アサヒは知っていた。その指輪がどれほど眩しく輝いていても、それを嵌めた両親の心は、時としてひどく脆く、幼い自分ひとりの肩に容易くもたれかかってくることを。 アサヒにとって、弟と妹の誕生は、自分の平穏を奪う侵入者などでは決してなかった。むしろ、気まぐれな両親の顔色をたった一人で伺い続けてきたアサヒにとって、二人は暗闇の中に灯った、濁りのない唯一の光だった。 初めて弟の、壊れそうなほど柔らかい頬に触れたとき。初めて妹の、ミルクの甘い匂いがする小さな頭を抱き寄せたとき。アサヒの胸には、これまでの人生で味わったことのないような、熱く、震えるほどの喜びが込み上げた。 (ああ、なんて可愛いんだろう。)(……俺に、きょうだいができたんだ) それまでの家の中は、いつ嵐が吹き荒れるかわからない、薄氷の上を歩くような緊張感に満ちていた。けれど、二人の産声はそれを一瞬で塗り替え、家の中に本物の家族の温もりをもたらしてくれた。 アストがアサヒの指をぎゅっと握りしめて無邪気に笑い、アリアがアサヒの姿を追って小さな手を伸ばす。その光景を見るたびに、アサヒの心は幸福感で満たされ、自分という存在が肯定されたような気がした。二人の柔らかな産毛や、屈託のない寝顔は、アサヒにとって何物にも代えがたい世界の宝物になった。 けれど、その愛おしさが深まれば深まるほど、アサヒの中にあったはずの守られる子どもとしての心は、静かに、そして誇りを持って、守るための強さへと作り替えられていった。二人がこの先、一度も冷たい風にさらされることがないように。自分を抱きしめた両親の手が、いつかこの小さな子たちに牙を向くことがないように。 (俺が守らなきゃ。この二人を、絶対に) それは犠牲ではなく、アサヒにとっての最上の願いだった。 弟の小さな手がアサヒの指を握り、妹の産声が世界に響いたあの瞬間。まだ柔らかかったはずのアサヒの掌は、二人という無垢な光を外界の不浄から隔離し、永遠に守り抜くための、硬く、優しく、そして決して折れない盾へとなった。 怒声が響けばすぐさまテレビの音量を上げ、違う話題で二人の注意を惹きつけた。母の泣き声が漏れ聞こえれば、「新しいおまじないを覚えたんだ」と言って二人の耳を優しく塞ぎ、楽しいお伽話を語って聞かせた。 自分の指にはめられた赤い指輪が、きつく指を締め付けているような錯覚に陥りながらも、アサヒは笑った。二人の瞳に、この家の亀裂が映り込むことだけは、何があっても許せなかった。 親の期待に応え、人格を削り、彼らの描く「理想の息子」という型にはまり続ける苦痛。そのすべてを自分が引き受ければ、この二人は親という宝石を飾るための箱になどならず、ただの子どもとして笑っていられるはずだ。 アサヒにとっての幸せは、自分を救うことではなく、二人の世界を綺麗なまま保つことへと、歪な形に変貌を遂げていた。 その頃のアサヒが抱いていた夢は、看護師だった。厳格な親の期待に応えつつ、彼らの不安定な精神を制御するための正解を求めた結果だった。母が感情的になるたび、父が自暴自棄に暴れるたび、アサヒは必死に彼らを介抱した。 「大丈夫だよ。すぐ良くなる」 その言葉は、壊れていく家庭を繋ぎ止めようとする、アサヒなりの処方箋だった。 感情に訴えても通じない両親に対し、正しい医学的知識を身につけ、冷静に処置を施せば、いつかこの家も、あの指輪をもらった頃のような平穏に戻れると信じていた。 アサヒにとっての医学は、親という逃れられない天災をやり過ごすための防衛術だった。アサヒは大人たちが読むような専門書を片っ端から読み漁り、人体の構造や薬剤の成分、神経の走り方を、誰よりも正確に脳内へと刻み込んでいった。完璧な知識さえあれば、親の怒りのスイッチを事前に切り、弟妹への被害を最小限に抑えられるはずだ。そんな、あまりに理知的で、あまりに絶望的な計算。 しかし現実は、そのアサヒの学習能力すら追いつかない速さで腐敗していった。 両親は次第に、白麦家の品位を保つための重責を、すべて長男であるアサヒに押し付けるようになった。 始まりは、家に届く「より良い教育プログラム」の案内や、近所付き合いでの些細な見栄だった。両親はこの街に相応しい理想の家族であり続けることに執着し、家の中には、その完璧さを維持するための、息の詰まるような緊張感が溜まっていった。 「アサヒ、ちょっとこれを見て。……あんたなら、パパとママの期待通りに調整できるわよね?」 ある夜、母から差し出されたのは、分厚い教育計画書と、分刻みで組まれたアサヒ自身のスケジュール表だった。そこには、アサヒの自由な時間など微塵も存在しない。その物分かりの良さゆえに、彼は理解してしまった。この家は、外側だけを白く塗り固めるために、内側の自分を燃料にして燃やし続ける炉なのだと。 アサヒは、学校でも常に上位の成績を維持する優等生だった。出された課題を真面目にこなし、物事の道理を筋道立てて理解できるその実直な賢さは、教師たちからも厚い信頼を寄せられていた。けれど、その物分かりの良さは、家庭内においては両親の身勝手な理想を受け止めるための、ただの便利な器として費やされていった。 「アサヒ、これ今月の目標ね。……あの子たちの手本として、お前が完璧でいなさい」 手渡されるのは、アサヒが完璧な長男として振る舞うためのスケジュール。アサヒは十代半ばにして、我が家の平穏が、自分一人が一切の感情を殺して親の正解を叩き出し続けることでしか成り立たない事実を突きつけられた。スケジュールが埋まるたびに、アサヒの心臓は冷たく拍動を刻んだ。 両親は、アストとアリアには決して牙を剥かなかった。弟と妹の前では、今でも普通の両親として振る舞い、幸せな家族の主役を演じさせていた。だがその舞台裏で、親の機嫌を取り、家を磨き上げ、弟妹に影を見せないための管理は、すべて内情を知るアサヒ一人に集中した。 両親は、アサヒを家族ではなく、便利な完璧な日常を維持するための道具として扱うようになった。アサヒなら間違えない。アサヒなら我が家の体裁を整えてくれる。そう信じ切っているかのような残酷なまでの丸投げを、アサヒは二人のいない密室で、一身に受け止めた。 「なんで今月は予定通りにいかないの?あんた、どこかで管理を怠ったんじゃないでしょうね!これじゃあ、私たちの将来に差し障るじゃない!」 「おいアサヒ!昨日、近所の人への挨拶が少し疎かだったらしいじゃないか!余計な心配をかけられたぞ!お前が常に完璧に振る舞っていれば、そんな目を向けられずに済んだんだ!」 「それよりアサヒ、あんたの模試の結果、また満点じゃなかったんですって?親に恥をかかせるつもりなの? 私たちの期待を裏切るなんて、なんて傲慢な子かしら」 「アサヒ、お前ならなんとかできるだろ!お前は優秀なんだから!ああ、イライラする……お前がグズグズして、うちの長男としてきちんとした姿を見せられないから、俺たちがこんなに苦労してるんだ!明日までにすべて修正しろ、分かってるな!?」 完璧に整えられた家の中、寸分違わぬスケジュール、そして非の打ち所のない白麦家の評判。 それらが少しでも揺らぐたび、両親は自分たちの傲慢さを棚に上げ、その結果を「アサヒの努力不足」という言葉で塗りつぶした。アサヒが優秀であればあるほど、彼らにとってそれは、自分たちの理想が叶わない不満を叩きつけるための、頑丈で都合の良い盾になった。 「アサヒ、今月の課題の進捗が遅れているわよ。もっと時間を割きなさい。パパとママを失望させないで」 母のその一言で、アサヒの僅かな休息は潰された。 放課後は親が指定した学習塾へ通い、帰宅してからは弟妹の勉強の監督。深夜まで自分の課題と親への報告書作成に追われる日々。 「アサヒ、今日の進捗はどうだったの?」 帰宅してすぐ、泥のように疲れた彼を待っているのは、労いの言葉ではなく母の検閲だった。テーブルの上には完璧な栄養バランスの食事が、冷え切った状態で、しかし一分の乱れもなく並んでいる。 アサヒは何も言わず、親が求める完璧な正答が並んだノートを差し出した。 アサヒの放課後は、こうして毎日塗り潰されていく。 だが、一人の高校生がどれほど身を粉にして理想の息子を演じようとも、両親の際限ない完璧な家庭への欲望の前では焼け石に水でしかなかった。親が求める高潔な一家という虚飾は、一介の少年がどれほど心を削ろうとも、決して満たされることのない巨大な奈落となっていた。 「……お父さん、お母さん。あの子たちの分まで、僕がやります。だから……あの子たちには、今のままにさせてあげて」 アサヒは何度も何度も頭を下げた。家族ぐるみの付き合いがある大人たちは、非の打ち所のない礼儀正しさと輝かしい成績を維持するアサヒを「なんて出来た息子さんなの」「あんなお兄ちゃんがいて、下の子たちは幸せね」と、眩しそうに称賛した。その無垢な羨望の眼差しが、安堵と同時に苦痛を与えた。 アサヒの脳内は常に実利を計算し、優先順位をつけていた。完璧な長男の演技で親の機嫌を買い、家庭の嵐を鎮める。世間からの高い評価を盾にして、家の中の歪みを隠し通す。そうして、弟の笑顔を守る。妹の未来を、不自由のない綺麗なまま維持する。 宝石箱の輝きを守るために、自ら箱の底に溜まる泥になる。 誰にも地獄にいると信じてもらえない、あまりに美しすぎる地獄の中で、アサヒの精神は折れるのではなく、鋭く研ぎ澄まされた刃へと変わっていった。 成長とともに、かつて父がはめてくれたおもちゃの指輪は、アサヒの指を鬱血させるほどきつく締め付けるようになっていた。赤く跡がついた指からそれを引き抜き、アサヒは細いチェーンに通して首から下げた。 もはやそれは、無邪気に飾るための宝物ではない。肌に触れる冷たいプラスチックの感触は、守るべき弟妹への誓いであり、同時に、壊れゆく家の中で自分を奮い立たせる重い楔だった。服の下に隠された赤い石は、誰の目にも触れることなく、アサヒの胸元で静かに、けれど鈍い熱を持って鼓動を刻み続けていた。 一年前のクリスマス。家の中は、刺すような冷気と、それ以上に鋭い両親の執拗な言葉の刃で満たされていた。 その日の二人は、いつにも増してヒステリックだった。理想の家族という虚飾を絶えず求め続ける焦燥、思い通りに育たない世界への不満。それらすべての鬱憤を吐き出す矛先として、彼らはついに、アサヒという盾を避けて、その背後にいる幼い弟妹を見定めた。 「アサヒだけじゃ足りないわ。あの子たちも、もっと早くから教育しないと。……まずはアストからね。あの子の時間を、すべて私たちの管理下に置くわ」 二人が、アサヒの精神を磨り潰してきた支配下へ、何も知らない弟妹を連れ込もうとしている。あの子たちの自由を奪い、自分と同じ空っぽの箱に作り変えようとしている。 (ああ、殺さなければならない) それは衝動ではなく、あまりにも静かで、あまりにも冷静な、生存のための結論だった。 このままでは、二人にまで危害が及ぶ。自分一人が泥を啜り、人格を削って繋いできた平穏が、この怪物たちの身勝手な支配欲によって食い潰される。 両親が弟妹の未来すらも自分たちの作品として塗り潰そうとしている計画を知ったとき、アサヒの脳内で看護師としての自分は完全に息絶えた。 アサヒが選んだのは、薬品でも毒物でもなく、キッチンに置かれた一本のナイフだった。 毒は不確実だ。致死量を見誤れば、苦悶の叫びが弟妹の寝室まで届いてしまう。だが、人体の構造を知り尽くした元看護師志望の彼には、どこを裂けば一瞬で機能が停止するか、どこを突けば肺から空気が漏れて声が出なくなるか、そのプロセスが鮮明に見えていた。 「……大丈夫だよ。全部、俺がどうにかするから」 暗闇の中で、眠る父の枕元に立った。 月光を浴びる銀色の刃が、アサヒの瞳と同じ色に冷たく光る。迷いはなかった。迷う時間は、親の機嫌を伺い、完璧な正解を導き出すために費やしてきた時間よりも無駄だったから。 一突き。正確に頸動脈を、そして気道を断つ。父は一度だけ、痙攣するように指先を動かしたが、声を発することさえ許されずに絶命した。 隣で眠る母の瞳が開く。その瞳に、かつて凪のような時間に見せてくれた、あの穏やかな笑顔の面影を探す暇も、アサヒは自分に与えなかった。 たとえあの微笑みが、理想通りに振る舞う息子に向けられた制作者の満足に過ぎなかったのだとしても。幼いアサヒがそれを愛だと信じ、プラスチックの指輪を宝物にしたあの日の記憶が、今この瞬間に指先を鈍らせることだけは、何があっても許せなかった。 「あ、」 短い喘ぎ声が漏れる前に、アサヒは母の胸元に全体重を乗せてナイフを突き立てた。心臓の拍動が止まる振動を、柄を通じて手のひらに感じる。 それは、アサヒが人生で初めて感じた静寂だった。 噴き出した鮮血が、アサヒの頬を、そして首から下げたプラスチックの指輪を、宝石を汚していく。返り血の温もりが、逆にアサヒの肌を凍らせていく。 アサヒは返り血を拭うことさえ後回しにして、まずは刃を研ぎ直すように、次の工程を考えたその時、視界の端で気配が動いた。 ……アストだった。 青い顔をして、言葉を失い、血の海の中に立つ自分を見ている弟の姿を、アサヒははっきりと覚えている。 共通の沈黙が、重く、粘り強く家の中に立ち込めた。 アサヒたちは何も言わなかった。ただ、役割を分担するように、静かに後処理を始めた。 (……誰にも、バレたくなかったな) ナイフを握り込み、両親を処理したこと自体に後悔はない。あれは家族の平穏を維持するための、機械的な、あるいは医療的な切除だった。けれど、その血生臭い光景を、よりにもよって自分が一番守りたかった存在に見せてしまった。その一点が、アサヒの胸をじりじりと焼いた。 (余計なことに巻き込んじゃったな。俺一人で、全部終わらせるつもりだったのに) 苦労して切断した遺体を、燃え盛る暖炉の中へ一つずつ放り込んでいく。 肉の焼ける生臭い、鼻を突くような独特の匂いが家中に立ち込める。その忌まわしい香りは、まるで自分の犯した罪を可視化しているようだった。 どんなに正当化しようとも、これは殺人だ。弟と妹から親を奪い、死体を焼く作業を手伝わせている。その事実に、アサヒは「兄失格だな」という苦い自嘲を飲み込んだ。 それでも、幸いなことに妹は起きてこなかった。アリアは高熱にうなされ、深い眠りの中にいた。 暖炉の中に残るのが煤けた骨だけになるまで、数日の時間を要した。肉が、皮が、脂が、ジュウジュウと音を立てて灰に還っていく様を、アサヒはただ無感情に、けれどどこか祈るような敬虔さを持って眺めていた。 (これでいいんだ。これで……) オレンジ色の火に照らされながら、アサヒは心の中で繰り返した。 アストに背負わせてしまった業の深さに胸を痛めながらも、薪を焚べるたびに、白麦家の障害が一つずつ消えていく確かな手応えがあった。 妹の熱がひいたのは、骨がすべて焼き尽くされた後だった。 まるで、アリアの病が、家の中に巣食っていた最悪の膿を出し切るのを待っていたかのように、世界は静かに、そして残酷なまでに清浄な朝を迎えた。 アサヒは、あの日から二つの顔を持つようになった。 弟と妹の前では、すべてを包み込む柔らかな春の日差しのような兄。 そして、闇の中では冷徹な実務をこなす、感情を削ぎ落とした装置。 その二つの世界が交錯し、取り返しのつかない形で繋ぎ止められたのは、遺骨を処分したあの山中でのことだった。 冷たい冬の土を掘り返す音だけが、深夜の静寂に響いていた。 袋の中にあるのは、かつてアサヒを誇りと呼び、そしてアサヒがこの手で解体し、灰に変えた両親の残骸。煤けた骨の硬質な感触が、袋越しにアサヒの指先にまで伝わってくる。 これで白麦家の不協和音は消え、弟と妹にだけは、何食わぬ顔をして未来を与えてやれる。そう確信し、最後の一掻きを終えようとした、その時だった。 「わかっている。わかっているよ」 不意に背後から届いた声に、アサヒの心臓は一瞬、拍動を忘れた。 戦慄が背筋を駆け上がる。反射的に振り返ろうとしたアサヒの口を、有無を言わさぬ冷たい手が塞いだ。氷のような温度。それは、たった今アサヒが埋めていた死者の手よりも冷たく感じられた。 視界に映ったのは、市長の碓氷だった。 「きみは非常に困っている」 「私はきみを助けてあげられる。きみの家族も」 アサヒの呼吸は塞がれた手の中で乱れ、視界がちかちかと明滅する。彼はアサヒのすべてを見透かしたような、昏い光を瞳に宿していた。 「私に協力してくれるね」 強い口調。拒絶という選択肢を奪い去るような、絶対的な支配。アサヒは抗う術もなく頷くしかなかった。 殺人の事実、返り血の色、体裁のために弟妹さえ支配しようとした両親の末路。そのすべてを、この男に握られたのだと悟った。 以来、アサヒの日常には家事の他に、もう一つの義務が加わった。定期的に呼び出される事務所。そして、ひかりの家。 あそこにいる子供たちは、常に虚ろな目を向けてくる。けれど、彼らは決して意思疎通ができないわけではない。声を掛ければ普通に会話もできるし、年相応の幼さを見せて笑うことさえある。 その普通さが、逆にアサヒの肌を粟立たせた。 碓氷は、アサヒに報酬として十分すぎるほどの金を渡す。 それは救済の代償か、それとも沈黙への対価か。 怪しい仕事も任されるたび、アサヒの心にはあの日浴びた返り血とは別の、底の見えない不透明な霧が立ち込める感覚があった。逆らうことはできない。彼を裏切れば、アサヒが築き上げたこの平穏な箱庭は、一瞬で崩れ去る。 「兄妹そろってひかりの家に来るといい」 時折、碓氷は慈悲深い聖者のような顔をしてそう囁く。 そのたび、アサヒの胸元で赤いおもちゃの指輪が、警告のようにチリリと肌を焼く。 (……絶対に、二人をここへ連れてきてはいけない) アサヒは笑う。完璧な、波風ひとつ立てない笑みで誤魔化し続ける。 「ええ、検討しておきます。二人にも相談してみますね」 その足で、彼はこれまでの生活を効率化し、最小限のリソースで自立を維持する方法を模索し始めた。 碓氷から渡される対価だけで全てを賄うほど、アサヒは楽観的でも愚かでもなかった。 どれほど善意に見える報酬であっても、相手の気まぐれ一つで供給が止まる依存は、彼にとって最大の懸念材料だ。誰かに手綱を握られたままでは、いざという時に二人を守り切れない。 いつ何が起きても、市長という後ろ盾なしに、自分一人の腕で最低限の食い扶持だけは稼げるようにしておく。誰にも侵されない、本当の意味での自分たちの居場所を確保するための足場は、決して手放してはならなかった。 数日後、窓から差し込む冬の光の中で、アサヒは迷わず学校を辞める手続きを済ませ、近所の花屋の門を叩いた。 高校にはもう戻らない。これからは、市長から与えられる対価と、自分の労働で得る確かな自立の両輪で、この家を回していかなければならない。自分を看護師へと導くはずだった学業の時間は、もうどこにも残されていなかった。 学校を去る際、教師たちは一様に顔を曇らせた。「君ほどの成績があれば、道はいくらでもある」と彼らは食い下がったが、アサヒはただ、その善意を拒絶し続けた。 彼らが案じている白麦アサヒの将来など、もうこの世のどこにも存在しない。あの日、返り血を浴びた指先で指輪に触れた瞬間、学問も、名声も、かつて親の期待を背負って抱いていた看護師という夢も、全ては泡沫に消えた。 職員室を後にするアサヒの背中に投げかけられた惜別の声は、彼には何も届かなかった。今のアサヒに必要なのは誰かが用意した輝かしいレールではなく、今日、明日の弟妹の空腹を満たし、その笑顔を守り抜くための力だけだった。 花屋の仕事は、驚くほどアサヒの性に合っていた。 枯れ落ちた葉を摘み、萎れた花弁を迷わず切り落とし、美しいものだけを整えて店頭に並べる。その清潔な営みは、あの日アサヒが自分の人生において、迷いなく実行した排除の形そのものだったからだ。 花の瑞々しい香りは、鼻腔の奥にこびりついて離れない、あの夜の肉の焼ける生臭さを、一時でも押し流してくれる。店主から「白麦くんは本当に丁寧だね」と褒められるたび、アサヒはいつも通り善良な青年の笑みを返した。 自分が人殺しであるという事実は消えない。碓氷という得体の知れない男に首輪を繋がれ、喉元に刃を突きつけられている現実も、一瞬たりとも忘れることはない。けれど、花屋のエプロンを纏い、無心で茎を切り揃えている間だけは、その重圧を日常という仮面の下に押し込めておけた。 アサヒはエプロンの紐をきつく締め直し、自分の余計な感情を、売り物にならない茎と一緒に静かにゴミ箱へ捨て去った。 アサヒは今日も完璧な兄として、血と花の香りが混じり合う日々を、ただ淡々と、そして確実にこなしていく。 すべては、弟と妹が、この泥沼の深淵に気づかぬまま、笑っていられるように。 🎵イメソン🎵 ▶ビターチョコデコレーション/syudou https://youtu.be/XCyKJD6uQyg?si=Pz2JD0aEVlbmOpkE ▶桃源郷で救済を/桃寝ちのい https://youtu.be/KReyuWI_qi4?si=WYL_4upK56naUGq_
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