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2015：精神科医 年収：６ 【人間というのはなんて脆い生き物なのだろうか。 肉体的死だけはなく、半端に知性と理性を持ち合わせているだけに、 精神的な死さえ時には起こり得る。 なんとも愚かな生き物だ。 その場にある事象を真の意味で理解することなく、ちょっとした気づきで狂い死ぬ。 心狭き生き物よ、すべての事象を受け入れる寛大な心を持ち合わせよ。 さすれば、最高傑作の人間へと昇華できるだろう。　：万象の最高傑作より　著作：ルラトゥ・ミコガミ】 僕はこれを認めない。 人間は弱いからこそ、強みを得る。 脆いからこそ補い支え合える。 人間は寄り添い、支え合うからこそ人間でいられる。 優れれば、優れるほどに、孤立し、孤独の境地へ向かう。 この著作が言っていることは、たった一人の人間を作り出すことだ。 そんなものはすでに最高傑作の人間ではなく、それ以上の違う何かだ。 それを証明するために僕は試みることにする。 この著作が言う、寛大な心。つまり精神的な事象の受け入れを。 その先にある破滅を自ら証明するために。 彼女は立派な志を持った精神科医。 ある日、突然部屋に置かれていた本を読み、己の固定概念を奮起。 人としての概念とは何かを追い求めるようになった。 彼女は魅入られてしまったのかもしれない。その本とその著作に。 彼女の治療は時に繊細、時に手荒。 人の話をよく聞き、ゆっくりとメンタルケアをする時もあれば、 ドアを強引にこじ開け、一方的な持論を押し付ける。 「僕はただ、適材適所に臨機応変に患者の必要としていることをしているだけさ」 そう言って笑みを作りながら、次なる場所へと赴いていくのだ。

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