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首都圏で働く自動車整備士。 子供のころに父親のスポーツカーを一緒にいじっていたため、新人にしては知識は豊富なほう。 しかし、職場の先輩上司を心の中では見下しているためか、職場の交友関係は良好とはいえない。 念のためにと整備士免許3級を取得している。 子供のころは他人から認められたいという承認欲求が強く、集団の中で何かの「一番」になることに強く固執していた。 そのためどんなことにも全力で取り組む、外から見れば何事にも一生懸命な元気な子として映っていたことだろう。 しかしクラスの中には自分よりも足が速い子も、テストの点数がいい子もいた。 勉強も、運動も、バレンタインのチョコの数でも、自分が頂点に立つことはできなかった。 父親が熱心に指導してくれたゴルフは、地元じゃ負け知らずだったが、全国大会に出ようものなら年下の子に惨敗した。 Nリンガルになろうと世界各国の言語を学んだ時期もあったが、中学に上がるころにはスマートフォンが普及しており G〇〇gle翻訳の莫大な情報量の前では、子供の付け焼き刃など無に等しかった。 そうして、自分はどの分野においても天才ではないということを自覚してしまう。 結局いくら頑張っても「一番」にはなれないんだ そこからは今までの反動が来たのか、一気に無気力な人間へと変貌した。中学を卒業する時に書いた将来の夢についての作文で 「とくにはないが、長生きはしたくない」と書いたことで、生徒指導をうけるぐらいには自分に対して一種の諦めみたいなものが生じていた。 その後高校生活を経て、母親から大学にはせめていくように釘を刺されたため、適当に地元近くの大学に進学したのはよいが なにか志がある学生以外にとって、大学とは単なる毒でしかなかった。 ２年時には自堕落に時間を費やした結果、取得単位数が足りないことが発覚すると、奨学金が打ち切られ退学せざるを得なくなった。 母親との関係も険悪となり、逃げるように地元から離れてバイトで貯めたお金を使い一人暮らしを始めた。 貯金が付きかけていたころに、大学の自動車サークルの先輩のツテでなんとか仕事にありつくことができた。 しかし、仕事に情熱をもって取り組むことはいまだできず、暇な時間は動画サイトを流し見したり、父親の忘れ形見であるゴルフクラブを片手に 打ちっぱなしで気分転換するなどして、退屈な日々を過ごしている。 酒を飲むと自分の中にあるドス黒い感情を吐き出すため、数少ない友人からはあまり飲みに誘われることはない。

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