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　2年前の、学校の帰り道。それが私が初めてジャームに遭遇した日。その頃は普通の学生だったから、何が起きたかなんかさっぱり分からなかったけど、とにかく凄い怖くて、でもどうしてか体は全然動かなくて……そんな理解できない状況の中だったのに、どうしてか頭の片隅で「あ、私死ぬんだな」って、凄く落ち着いた自分がそう言っていたのだけは、今でも覚えてる。……でも、私は死ななかった。その前にあいつが来たから。 　牧岡零二。高校からのクラスメイトで、まあそれなりに話したこともあったと思う。なんか頼りなさそうな優男って感じだったけど、だからこそ話しやすいっていうか。そんなやつが、私の目の前で怪物と戦っててさ。夢かと思ったけど、息苦しさと2人がぶつかり合う迫力で、嫌でも現実に引き戻された。……そこから先の事は、正直あんまり覚えてない。動きが早すぎて目で追えなかったって言うのもあるし、色々混乱がピークだったのもあるし。何か叫んだような気もしたけど、それもよく覚えてないわ。……次に記憶がはっきりしたのは、あいつとジャームが刺し違えた瞬間の、真っ赤な風景と血の匂いだった。 　あたしを襲った化け物……ジャームが動かなくなったら、私の体も動くようになった。ただワーディングが切れただけなんだけど、その頃の私はそんな事知らずにただあいつの傍に駆け寄るだけで精いっぱいだった。真っ赤に濡れて横たわるあいつは、あたしが見てももう助からないだろうなって分かって……そんな中で、あいつは最後に笑ったわ。まるで「君が生きててよかった」とでも言いたげにね。その直後、あいつの体は光になって、近くに転がってたあいつの武器……日本刀の中に吸い込まれていった。私はその刀を、なんとなく手に取って……気付いた時には、私は知らない人達に囲まれてて、手に取った刀はいつの間にか銃の形に変わってたわ。 　その後は、知らない人達…UGNの人からオーヴァードになった事とか、この銃が遺産って呼ばれるものだとか、あいつがUGNチルドレンっていうのだったとか、色々聞かされて……最終的に、私が自分でエージェントになるのを選んだ。ただそれだけの話よ。決めた理由は、半分はそうしないと私が納得できないから。もう半分は……そうね、死んだ奴への八つ当たりってとこかしら。……我ながら、言葉にすると中々酷い理由よね、これ。 　ま、そんな感じで高校生しながらUGNのエージェントをやってるから、どこかで会ったらよろしくね。………ぁ、そうだ。今のうちにこれだけは言っておくわ。私、自己犠牲って大嫌いだからそのつもりで。

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