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コールサイン"メルクリウス" 横須賀災厄で、彼女は身体を失った。 一人の同年代の少年と共に、たった二人でアジ・ダハーカに立ち向かって。 当時、7歳。それはもう一人の少年も同じ。 そんな少年少女があの怪物に挑むのにどれだけの勇気が必要だったか。どれだけの絶望を味わったか。それは、本人達にしかわからないだろう。 少年が、オーダーの救援部隊が駆け付けるまでたった一人でアジ・ダハーカを足止めしていたとしても。 話によると、彼女は最後まで立っていることはできなかったらしい。 彼を守るために身を挺して庇ったからだ。 そしてだからこそ、彼にもう一度会いたいのだそうだ。 きっと彼は自分のことを死んだと思っているだろう、と言って。 確かにそれは悲しいことだ。彼――"小さな英雄"はあれから十年たった今でも行方がしれない。 けれど、彼女の言うことが本当であるのならば、自分を責め続けているのではないだろうか。 ……メルクリウスという一人の少女の願いが天に届くことを、願うばかりである。

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