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「ユラは、おねーちゃんと家族になりたいみたいだよ？」 「家族と一緒だと楽しいみたいだよ！」 ・由良 　目を覚ましたとき感じたのは違和感。 　幼い体と不釣合いな程に冷静な思考と、自分の体のようで違うという確信。 　自分はまだ十一歳だったはずなのに、やけに思考がクリアなのはなぜだろう。 　元々、年齢の割には成長していたのかもしれない。 　それとも、誰かに――自分を作り出した誰かに弄り回されただけなのかもしれない。 　……どちらでもよかった。 　どちらにしても、こうして意識があるのならそれなりに生きてみたい。 　体は死んでいるけれど、心もすっかり麻痺しているけど、それでも幸せなフリをしていたら幸せになれるかもしれない。 　それにはまず、家族を見つけなければ。 　一人は寂しい。家族がいれば、きっと楽しくなれる。 　家族がいればこんな地獄のような世界でも、楽しく笑って生きていけるはずだ。 　まずは笑おう。自分はまだ幼いのだから。 　無邪気に笑って、陽気に振舞って、家族を明るくしなくては。 　こんな世界だからこそ、嘘でも笑顔があっていい。 ・誕生日 　両親に祝福されて生まれ、十年間、有り余るほどの愛情を注がれて生きてきた。 　誕生日には毎年、かわいいぬいぐるみをプレゼントしてもらえた。 　大好きな両親と過ごす日々がかけがえのない宝物だった。 ・口論 　ある日を境に、両親の口論を聞くようになる。 　内容はよくわからなかったが、とにかく恐ろしくて、悲しかった。 　なんとしても元に戻さなければ。両親はもともと、とても仲が良いはずなのだ。 　自分には何も話してくれない。なら、自力で調べ上げるしかない。 ・陥穽 　見つけた。あの女だ。 　あの女が両親を傷つけたのだ。 　幸せな日々を奪っていったのだ。 　三ヶ月を費やして計画を練った。 　必ず報いを受けさせて、幸せな時間を取り戻すのだ。 ・たからもの『ソフィア』 　誕生日プレゼントして初めてもらったクマのぬいぐるみ。 　これをもらってから、ぬいぐるみを集めるようになる。 　どこへ行くにも一緒であり、もう一人の家族だった。 　背中には一度切られて、丁寧に縫い合わされた後がある。 　ソフィアの中には―― 寵愛点 15

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