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あと一秒でいい、時間をくれ。それだけの時間があればこの患者を救うことができるのに、定められた天命に対して私はあまりにも無力だ。 また救えないのか、もうこの際邪神でも誰でも構わない、私に力を寄越せ。 万人を救おうなどと業の深いことは言わない、ただほんの一秒でもあれば繋ぎとめられる命を救う力を。 私は神を見てきた、洞窟に棲まう怪物を、時を駆ける番犬を。 あの番犬にまた追われるとしても構わない、だから私に、今ここで命を繋ぐ力を！ そう願った時、私以外のあらゆる全てが止まったように見える。 何倍にも薄く引き伸ばされた時間、それが私に与えられた私の望みを叶えるには十分すぎるほどの力であった。 曰くこの力はレネゲイドと呼ばれるウイルスによるものに由来するらしい。 時空を歪めるバロールの力、 さらに薬品を司るソラリスの力が私に発症したそれであった。 オーヴァードとなっても私が為すべきことは変わらない。あらゆるしがらみ、全てのルールをかなぐり捨てて救える全てを救う、闇医者となったその日からそれが私が生きる唯一無二の意味なのだから。

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