タグ： mikoCoC 談話室卓

彼女は天才ゲーマーである。 親はIT系の企業に勤めており、とても熱意を持って活動しているようだ。世界を股に掛けるほどの仕事っぷりである。 彼女が小さなころから家には彼女しかいなかった。 そんな時、彼女が娯楽としたものがゲームである。 現実ではありえないようなバーチャルの世界。それは彼女にはとても魅力的だったのだろう。 実際、才能も有った。あるとき気まぐれで自身のゲームクリア最速記録の映像を動画サイトで投稿してみたことがある。実はそれはそのゲームの世界最速記録を更新していたらしく、ネット上でちょっとした騒ぎになった。ただ、そこまで騒がれるのも好きではない彼女は大事になる前にすぐに動画を消したらしい。それは幻の記録となった。 彼女は今はプロゲーマーとして活動している。素性がはっきりはしていないものの頻繁にネット上で騒がれる存在らしい。 小学生のころ、ネットゲームを探していた彼女は、ひょんなことからハッキングの技術を知る。 セキュリティという敵を打ち破って情報を盗み見、書き換える。”ゲームが好き”だった彼女はこれに興味を持った。 試しに初めてハッキングをしてみたのはとあるネットショップ。電化製品の商品名と画像を全て野菜に差し替えたらしい。まさに愉快犯。大迷惑である。 しかし彼女は、全く証拠を残さずにハッキングした。実際、未だにこの事件は誰が犯人かわかっていない。 そこから彼女は家でゲームとハッキングを繰り返し続ける。独学だったはずの技術はもはやお手本ともいえるそれになっていった。 同時に、中学後半ごろからは学校へはほとんど通わなくなっていった。高校では一時期休学届も出していたらしい。一応最低限の知識は家で学んでいたようだが…。だがやはり、クラスメイトですら彼女の顔を覚えている人はそうそういないであろう。 高校生の頃、警察庁のコンピューターへハッキングを仕掛けたことがある。彼女はいつも通り見事に情報を盗み見、書き換えたものの、流石に警察組織全てには勝てなかったらしい。翌日、犯人として捕えられた。 しかし、その技術を犯罪者を捕えるために活かすというのであれば不問に処すと警察側から条件を出され、今は”正義の”ハッカーとして犯罪を未然に防ぐセキュリティー開発やサイバー犯罪の調査に協力し、そのことでも報酬を得ながら生活している。 だが、彼女は更生したわけではない。今も影で犯罪を行なっているかもしれない。 黒ではないが白でもない。悪であった力を善に役立てているだけである。警察に協力していながらも、警察のブラックリストに載っている存在である。 彼女は天才ゲーマーである。ゲームが好きなのだ。ゲームがしたい。楽しみたいのだ。ただただ、それだけである。

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