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――鞍山正弥（くらやままさや）。 彼は東京のとある大学病院に勤めている精神科医だ。 ――タダの社畜。家は病院から徒歩5分。……そろそろ辞めたい。 仕事柄、普段から年寄りや障害を持つ人を相手することが多い。 こんなん毎日診てたら自分の精神保つのが大変だな。6年目にしてようやくスルースキルをかますことに慣れてきた。 昔から風邪をよく引く病弱気質。それがきっかけで医者になったのに、色々な事があった末に関係のない精神科に配属される。 日ごろ家で軽い筋トレは続けているけど、風邪引きは相変わらずである。……そろそろ辞めようかな。 最近食べたごはんを覚えていないくらいコンビニ弁当しか食ってない。 唯一覚えているのは、いつも食べている「セ〇ンのシャケのおにぎり美味しい。」これだけ。 特に趣味と言えるものがなく、ネットサーフィンと軽い筋トレと数時間寝ることくらいが日課だろうか。 後輩の面倒も見なければならなくなり、ネットサーフィンする時間がますます削られていくのが現状である。 でも奨学金返さないといけないしな……。私立大の医学部はとにかく学費が高い。 医者は金持ちだなんてよく言われるが、大学病院に勤める勤務医なんて手取りは自営医の半分にもならない。 そりゃ確かに自営医は借金等々があるからそう簡単には始められないが、私は奨学金を返さなければならない手前とてもじゃないけど出来る余裕はない。 だから勤務医を続けないと生きることすらできない。昔はもっとやりたいこととかあったと思うのに……。 ――そんな彼の残念な人生に彩りを与える日はいつ現れるのか。 いつも同じような日々を繰り返していた彼は、ワクワクを感じなくなった。 ネットサーフィンして癒しとして眺めていた犬や猫でさえ最近飽き初めてきたのだ。 このままでいいのかと自問自答するも、結局現状にすがるのであった。 【2018/03/11追記】 ・SAN値70⇒78 ――不思議な体験をした鞍山は「世の中捨てたものじゃない」と、久々に感じたワクワクを胸に以前よりも前向きな気持ちになった。 テレビを付けるとそこにはかつて助け出したアイドルの姿が見える。「あいつも頑張ってる。俺も少しは頑張ろう。」 前向きになった鞍山は、少しは明るさを取り戻せたのかもしれない。 周囲には以前と違う風に見えたのだろう。人当たりが少し良くなった気もするのだ。 ただやはり仕事の多忙さには辟易とし、心休まることがないのは以前と変わらなかったのであった。（苦笑）

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