タグ： Balor Salamander

生まれたときから化け物だった。だから独りぼっちでも仕方ないと思っていた。 世界は人間のためのもので、わたしに居場所なんてないのが当たり前だから。 それなのに、笑いかけてくれた人がいた。 ひとりでいたわたしに、手を差し伸べてくれた人がいた。 うれしかった。 だから、もっと仲良くなりたかったの。 ―――ねえ、わたし、間違ってないよね？ 　　＊　　＊　　＊　　＊ ずっと一人だった薊にとって、友達は未知の存在。 どうあるべきかなど誰も教えてはくれなかったので、本を見て学ぶくらいしか手段がなかった。 あるとき、雑誌で偶然目にした記事……そこに書かれていたのは「お揃いコーデ」「ペアアクセ」「仲良しの秘訣」などの見出し。 自分と同じくらいの少女たちが、髪型を似せたり雑貨のアクセサリでお揃いにしたり、或いは双子コーデなどのスナップを載せたり。 人間関係の基礎すら知らなかった薊は、「同じであればあるほど仲良しの証である」と勘違いしてしまった。 だからまず、彼女の境遇を同じにした。 天涯孤独で、誰も笑いかけてくれない。 大好きなたった一人を除いては、誰も。 家族を失って悲しむ彼女に寄り添って、寂しさを分かち合った。 友達が離れていって落ち込む彼女に、お守りといってペアリングを送ったりもした。 そうすれば、誰よりも仲良しになれると信じていたから。 コンボ名は《凍てつく城塞》《氷の微笑》 冷たく、静かで、重苦しい能力は彼女の心の表れだろうか。 「あなた、七海ちゃんのこと、死神って言ったんだって？」 「七海ちゃん泣いてたよ。あの子は何にも悪くないのに、ひどいこと言うんだね」 「―――そう。わたしが死神なんだ。惜しかったね。…バイバイ」

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