タグ： スラム出身 孤児

幼少の頃、サチコに残飯をもらい生き延びる。（９歳） ↓ マッチに保護される（１０歳） ↓ 決死の勉強の末〇〇高専に入学、無事卒業しエンジニアとして働き始める。（現22） 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 夜の館　　執筆者　神谷〇〇〇 　数日の記憶が無く、見知らぬ館に閉じ込められている、次にいつ記憶が無くなるかはわからない。これは記憶が無くなった時、、、、もしもの時に私が私であると思い出せるよう、私のために書いておこうと思う。 　私は神谷と呼ばれていた。物心ついた頃には親は既におらず、一人で生きていた。盗み、追跡、隠れたり聞き耳を立てたりするのは嫌でも習得せざるおえなかった。私の今までの人生を語るにあたって「〇〇〇〇サチコ」という人間の話はしなければいけない。彼女はあの時の私、、、、生きるためだけの目、動物と同じ目をした私に余り物の飯をくれた。当時、生きるために必要最低限の食べ物はあった。それでも彼女の所に通い詰めていたのは、ただ単に彼女の残飯は最高の美食だったのだ。といってもゴミ袋の中を漁りその中の残飯をかき集める、そんな食事に比べれば、、、だが。 　私は月一回財布を盗む事にしていた。比較的綺麗なパーカーを着て駅の柱にもたれ掛かりいつものようにターゲットを見定める。私はターゲットを探すうえで大金を持っているかはあまり気にしない。大事なのは継続、あまり大きい額を盗んで警察の世話にはなりたくないのもある。数分の後、いかにもヒョロそうな長身の男。年齢は20代半ばだろうか。服装は安物のジーパンとジャケット、、、ジャケットの右胸が少し盛り上がっている。ジーパンのポケットに財布がないということは恐らくそこだと目星をつける。彼の進行方向から察するに商店街に行くのだろう。裏路地を通って先回りをする。商店街の横道にスタンバイしているとターゲットが歩いてくる。私はそこに少し早歩きで向かっていく。いつもの用に肩をぶつけ、ジャケットに手を入れる、、、（、、、、ビンゴ！）そのまま流れるように自身のパーカーに入れる。そのまま路地裏に歩く。緊張で掻いた汗を袖で拭いながら路地裏に歩いて行き入ったあと、財布の中を確認しようと手をポケットに手を伸ばそうとした瞬間、腕をつかまれた。驚いて振り向くと見覚えのある顔があった。さっきのターゲットだった。少し不安そうだが芯の部分はしっかりしているのだろう、瞳はブレずしっかりと私を射貫いている。驚きのあまり声を出せない私に代わって彼は口を開く。 「君、さっき僕の財布盗んだよね？」 彼の名は「マッチ」私のスラム時代の終わりを告げた革命的な男だった。

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ