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「うちのヒーローは姉ちゃんやったんや」 幼い頃、憧れていたのは快活な姉だった。 「光姫、ついてき！」 そう言いながら、幼い自分の手を握り、いろんなところへと連れて行ってくれた。 姉は強く、逞しく、カッコよく、幼くどんくさい自分を守ってくれた。 キラキラ輝く姉はまさに光姫にとっては「ヒーロー」だった。 そんな二人が一緒に憧れたのは【内藤　守】というプロボクサー。 強く真っ直ぐな彼の姿は姉にとっても「ヒーロー」で、姉の口癖は「うちも将来、内藤選手みたいになるねん！」だった。 将来は女子プロボクサーかな、と笑い合っていた――あの日までは。 姉は喧嘩が強かった。その強さを【弱きものを助けるため】に使い続けてきた。それは男相手でも関係なかった。 自分の正義が許さないのなら、困ってる人がいるのなら、弱い人が泣いているのなら、彼女は手をさし伸ばし続けた。 その代償が――まわってきたのだ。 一度、姉に負けたごろつき達が、光姫を人質にして姉を呼び出し――リンチしたのだ。 目の前で傷つく姉を何も出来ずにただ見ている事しか出来ない。 そんな自分に光姫は【怒り】をおぼえた。 “嗚呼、弱いから何も出来ないんだ” “弱いから、わたしが弱いから――姉ちゃんを助けられない” “どうして、わたしはこんなにも【弱い】んだ！！” 怒りの炎は、彼女の内なる可能性を呼び起こした。 【オーヴァード】 気付けば、彼女の拳は真っ赤に濡れていた。 怒りの儘にふるった拳は、目の前の敵を薙ぎ払ったが――姉を救う事はできなかった。 自分が未熟がゆえに、弱いゆえに、姉は傷ついてしまった。 この日から――姉の笑顔は消え、日に日に弱っていき、今では病院から出れなくなっている。 このリンチ事件は表沙汰になっていないのは、光姫を保護したUGNのおかげかもしれない。 彼女は保護され、そこでさらに「力」を求めた。 「弱いやつは嫌いや」 この口癖は、幼き日の【あの時の自分】へとむけたものなのかもしれない。 光姫の戦闘スタイルは姉がよくやっていた喧嘩殺法と、憧れの内藤選手のボクシングスタイルを混ぜ合わせた独自のもの。 【力】に振り回されることも多く、無茶な動きが目立つ。

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