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※くじらのうた踏破 アーティファクト『七色の花水晶』を手に入れました。 このアイテムは一度だけＳＡＮ値を1d3回復できるアイテムです。 遭遇神話生物：ヒュプノス 一目惚れ。 ※特徴表適応卓では｢天才｣。INT+1、ポイントは目星のその他に+10で付けています。 ※特殊交渉技能適応卓では｢漢気｣77。 ＿＿＿ 幼き日に見たヒーローショーは、少年の心に憧れを灯す。 彼も例に漏れずその一人であった。 かと言って目立ちたかったり、主人公になりたい訳ではなかった。 人々の心に希望を抱かせる、そういう存在に惹かれたのは事実だが、最も惚れ込んだのは頼もしく雄弁な漢の背中である。 抱いた夢を追い掛け目指した職業はスーツアクターないしヒーローショーに出演する劇団俳優。 しかし、憧れるままに鍛え上げた恵体は育ちすぎた。 その肉体美は確かに素晴らしいものではあったが、適正体格を遥かに超えてしまっていたのだ。 この体格では悪役にしてもこどもたちを余計に怖がらせてしまうと受けが悪く、演じるという点でも特別秀でてはいなかったことからオーディションがなかなか上手くいかない。 もういっそ覆面レスラーになろうかだなんて考えていた矢先、その場で落選を言い渡された会場でひとりの男が声をかけてきた。 「貴方の背中に惚れました。一本、撮らせて貰えませんか。」 後にゲイポルノ界にその名を轟かせるAV男優、神谷慎平の誕生の瞬間である。 ＿＿＿ (くじらのうた踏破後) こどもは苦手だった。 嫌いではない、寧ろ問われれば間髪入れずに好きだと答えるだろう。 しかしこの体格は彼らに生理的な恐怖感を与えてしまうし、何より夜の世界に身を置くようになってからというもの過去に出演したヒーローショーを夢で見る度に、自分に向けられた輝かしい無垢なる瞳が心のどこかに刺さって段々と避けるようになっていった。 そういう訳で、少年アレスとの対峙は大変に困った。 たどたどしく下手くそなクマのぬいぐるみを使った腹話術は苦肉の策であったのだが、それさえも信じるまっさらで心の清いアレス。 こんな自分に懐いてくれた儚い少年。 優しいこの子が何故こんな目に会わなければならなかったのか。 幸い見舞いに行く度に元気に成長する彼に安堵するも、救われないこどもたちはごまんと存在するという現実が頭から離れない。 俺は元々、こどもたちに夢を与えられるような人間になりたかったのではないか。 言い知れぬ悔しさをぶつけるように、神谷は児童福祉司並びに心理司への転職を決意した。

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