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2010クトゥルフ 宗教家ベース 「アタシ…カワイイ物が大好きなのヨ。」 生まれてから今まで華奢で可愛いという印象で周りからは随分可愛がられてきた。 自分も他人よりは多少恵まれた容姿であることは理解しており、 「しののちゃんは可愛いね」と言われることに喜びを感じていた。 ふと周りを見渡して見れば、世界は可愛いものに随分優しいということに気がつく。 醜いものは差別され、淘汰され、侮蔑される。 それがこの世のコトワリなのだと気づいたとき、彼女はひどくさみしいと思った。 「みんなが仲良くできる、そんな世界があったらいいのにな…」なんてゆめみがちなことを言ったりして。 ある日、隣家の幼馴染であるブサイクな女の子が死んだ。 葬式に呼ばれ、彼女の死に顔を見たときに震えるほど驚いた。 美しく死化粧を施された彼女の顔のなんと可愛いことか。 彼女の死に誰もが涙し、別れを惜しんだ。きっとそれは彼女がカワイイからなのだ。 「わたし…アタシ。カワイイもの、スキ…」 死体を美しく、まるで生きているように処理をするエンバーミングに興味を持った彼女は、 地元の教会でクリスチャンの洗礼をうけ、教会でエンバーマーの助手を務めた。 老体だった神父が亡くなると、自らエンバーミングを執り行うようになったが、医学の道では専門家ではなかったために 自分が防腐処理を施した死体は見るに耐えないものだったが、 この時の彼女はもうすでに 死体=カワイイもの にすりかわっており、見た目の美醜はもはや問わなくなっている。 初めは依頼を受けた死体にエンバーミングするだけで収まっていたが 後に、自分が死体を作り出したいという強い欲望に抗えなくなり、神父が祖国から持ってきていた拳銃で人を殺す「殺人鬼」となった。

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