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　黒髪ストレートロング。顎から喉にかけて引き攣れた火傷痕がある。 黒地に赤い鳥の意匠が施された派手な柄の着物を着ており、洋紅に鳥の羽が入った手袋を嵌めている。 半襟（胸元）に宝石のブローチ。 　個人経営の着物デザイナー。店舗は持たず、ネット販売のみ。ブランドは「ＨＩＭＩＫＯ」。 華やかだが大胆な作風で、フォーマルな場には向かない為、日舞や舞台などの衣装として求められる事が多い。 （－－－－秘匿情報－－－－） 　彼女は、この事件の犯人である。 　時代劇俳優の夫と結婚し「自身がデザインした着物で主演の舞台に立って欲しい」という夢を抱き、最高学府卒業後に改めて服飾デザインを学んだ。 夫は五年前に家が三人組の強盗に押し入られた際、彼女を守ろうとして目の前で殺害される。 そのショックとそこで発生した火災により、身籠っていた夫との間の子もまだ性別もわからないまま死亡し、彼女自身も痕の残る火傷を負った。 事件は犯人全員の事故死という形で終わりを向かえる。 警察に勘付いた犯人たちは車で逃亡し、パトカーを振り切ろうとして運転を誤り猛スピードで無人の大型トラックに激突した彼らは全員即死。 この顛末は警察の不始末として再び大きく取り上げられたものの、すぐ後に災害などの大きなニュースが相次ぎ、人々の記憶からは早い段階で薄れていった。 　彼女が親族から魚来島の所有権を相続したのはそれから二年後の事になる。 イゴローナクへ願うのは「夫と、そして犯人たちをこの島で生き返らせること」。 堕落と倒錯、悪意の神、汚すものへのその願いは彼女の真の願いの第一段階。 生き返った夫が、自分の手がけた彼の為の着物を纏って、生き返った犯人たちに彼自身の手による「復讐劇」を。 自分は見ることができなくとも、かつて共に抱いた夢の成就こそが真の願いである。 所持品： スマートフォン、モバイルバッテリー 化粧用具一式 化粧水の壜に詰め替えたブドウ糖溶液（濃縮） 精製水（500ml未開封）とヒアルロン酸、空のスプレーボトル（100ml未使用） ポータブルDVDプレイヤーとタイトルの無いDVD 数日分の着替え（着物） カロリーメイトブロック（チーズ味とチョコ味） 空港で買ったペットボトルのお茶 小刀を仕込んだ和雑貨のコンパクト お財布 ※夫について（もし調べられることになった時の参考程度の情報） 名前・朱鷺村伊鳥（ときむら・いとり） 劇団「つばめ座」所属。妻の緋美子とは大学の映画研究会で出会った。享年２９。 そこで制作された剣劇映画が映像コンクールで劇団の目に留まった事から俳優としてデビュー。 舞台での活動をしていたが、１０年前に日曜朝の特撮番組「仮面刑事シリーズ」のライバル役を演じた事をきっかけに 特撮俳優ブームのあおりを受けてＴＶにも出演。 バラエティやクイズ番組などに呼ばれていたが、アクの強さからドラマ出演は少なく、俳優としては舞台や時代劇での活動が主であった。 周囲の人間からは「これから伸びていくだろう若手の一人」と見られていた矢先に強盗事件で死亡。 補遺 ・仮面刑事シリーズ「仮面刑事イーグル」…マスクドクロウ／伊烏（いがらす）アカネ役 　刀を武器にするヒーローで、ダークヒーロー的な立ち位置。変身前の殺陣のシーンがある事から抜擢された。 ・バラエティやクイズ番組にも「派手な着物姿」で出演していた。 　その派手な着物姿が「普段着」というエピソードや愛妻エピソードも語られる。 ・彼の所属していた劇団のホームページ、或いは特撮番組のホームページなどにアクセスすると写真が見られる。 　（http://t-walker.jp/illust/product/tw_b/473/b47332_bust_1.jpg） 　彼の着物と緋美子の着物の作風はとても似ている。（ネットショップで商品の閲覧可能） 　（「夫に似合う、夫に着せたい」着物をずっと作り続けていた為） 緋美子の持ち物であるＤＶＤの中身（部屋とか調べられたら意味ありげに見つかる） デビューのきっかけとなった剣劇映画「天と人斬り」。 「仇討ち物」であるが、主人公は「仇を討たれる側」で、それを追う「復讐者」の役。 コンクールに出されたカメラマンの撮った映像ではなく、彼をメインとして映した映像である為普通に見ると違和感を感じる。 （主人公がカメラを向けられるべき場面でも彼が映されている為） 40分くらい見続けるのであればクライマックスのシーンで 「お前を裁く事がお上にも、お天道様にも出来ねぇのなら、俺がやる。俺が裁く。俺がてめぇを殺して、そして全部終わりにしてやる」という台詞が聞ける。 海中洞窟に「本物の日本刀」をあらかじめ持ち込んで隠している

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