タグ： かぼたま

華族出身の青年。父は海軍幕僚、兄も将来有望な青年将校、妹も著名な華族との婚約が決まっているなど華々しい一族の出身だが、彼自身は小柄であり顔つきも男らしくない、有り体に言って爪弾きものだ。 それでも家族は優しく接してくれており、お前にもできることはある、必ず何か才能があるはずだと様々なことを学ばされており、あらゆる面で非凡な成績を残している。だが逆にいえば傑出した才覚は見いだせておらず、父や兄の言葉は二十歳に満たぬ彼の双肩には重くのしかかり、家庭内では勝手な居心地の悪さを感じていた。 その彼が好んで訪れる数少ない場所が九頭龍パブリッシングだ。重役が父の友人というのを利用して週の半分ほど入り浸っており、忙しなく働く職員の姿を眺めながら、顔と物腰の良さを買われて来客の対応を手伝ったりしている。 都内を歩いていれば同性からも異性からも話しかけられることがよくあり、華族の身分と時代錯誤な出で立ちのせいだと勘違いしているため本人は無自覚だが顔がめちゃくちゃいい。

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