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−幼少期 彼は生まれながらに芸術家であった。いや彼自体が芸術だったのかもしれない。 齢２歳の頃美を理解した。その後半年後、彼は初めて彼の意思を持って物を作った。 それは子供の粘土遊びだったかもしれない。だが、そのガラクタに両親は魅了(取り憑かれ)された。 そのガラクタをめぐり家族は崩壊し彼は３歳の誕生日に両親と家を失った。 −少年〜青年期 彼は一心不乱に作品を作り続けた。もう二度と争いを生まないために、需要の分だけ同じものを何度も作り続けた。 何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も。 彼は壊れた。もしかしたら最初から壊れていたのかもしれない。 やがて彼は自分の作品に取り憑かれ、より良いものを求めて行った。 −青年期 彼は、20歳の誕生日に目玉と舌を失った。 それは虐待や愉快犯なんかではなく自分自身でえぐり、咬みちぎった。 彼は理由をこう残した。ただ芸術を求めて。と −転機 27歳夏、裏通りのパン屋でピザを買い宿泊先のホテルの部屋へ向かう中、彼は１つの部屋の手前で異変に気がついた。 クサイ。まるで月曜日に捨てたセールの豚肉をドブ川で洗ったかのような悪臭。 聞き渡す限り異常はなく、嗅ぎ渡す限り異常しかないのだ。 他の人も気がついていたらしく後からちらほらと人が集まりだした頃、従業員がドアを開けた。 臭いが外にも漏れ体にまとわりつく。 だが、他の住人はそれどころではない騒ぎである。 喚く者や怯える者、泣く者もいた。 そう、部屋の中にあった者は死体。ズタズタにされ捨てられた死体から明らかな他殺として警察が到着し捜査がはじまった。 彼も第一発見者。いや、発嗅者として取り調べを受けたが容疑者としての根拠や証拠がないということで外された。 他の者も根拠や証拠がないということから外された。全員。 明らかな殺しであるにもかかわらずだ。だが、証拠が一切見つからない。 全員が不安に駆られる中、彼は、彼だけはその完璧さ。綺麗さに芸術を見ていた。 その真理を知りたい。その高みに近づきたい。 その興味から彼は探偵となった。これが、初の解決事案である。

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