タグ： 女性登山家

彼女はアメリカに生まれ優しい両親に育てられごく平凡な生活を送っていた。明るい性格で友人にも恵まれ、彼女の生活は充実していた。 そんな彼女にも人生の春が訪れる。大学に入学し、出会った男性に一目惚れしたのだ。 彼女は一大決心で告白を試みるも、その思いは悲しくも叶う事がなかった。その理由は 『俺、自分より背の高い女ダメなんだよねぇ』 彼女は膝から崩れ落ちる。そう、彼女は今まで自覚していなかっただけで、周囲より身長が高いという特徴があったのだ。 その特徴はこの失恋を通じてコンプレックスに。 彼女は夢だった大学にも行かず、家で塞ぎこむようになってしまう。 しかし、そんな彼女にも人生の転機が訪れる。それは、彼女を心配に思った両親に勧められた登山のレジャー体験である。 そのレジャー体験で登った山の頂上で見た大自然の光景に、彼女は自分の身体の大きさというものが大自然の中ではちっぽけであるという事を実感し、彼女はかつての明るさを取り戻すと同時に、登山の魅力にのめり込むようになる。 そんな彼女を天は祝福した。彼女には天才的な登山の才能があったのだ。 彼女は瞬く間に、名だたる山の山頂を制覇する。 モンブラン山、アンナプルナ、エベレスト そしてヨーロッパ三大北壁の一つとして数えられるマッターホルンに至っては、一番難易度が高い北壁ルートでの単独登頂を成し遂げた。 『登る山は、難しければ難しいほど燃えマース！』 そう彼女が言したのは彼女の偉業を称えた日本のインタビューでのこと。 そんな彼女が、今回の狂気山脈に挑む登山隊に志願したのは当然の摂理であった。 ゲイシャ！　スシ！　ニンジャ！　富士山！ 彼女は親日家の両親に育てられた為、日本は大好き。日本の山はもっと好き。 独学なりに日本語は達者になったものの、若干発音が怪しく英語も時々混ざる。 『意味さえオッケーなら問題ないデース！　みんな仲良くハッピーね！』 また、彼女は登山をするための身体作りで、中南米の山を登りに行った時に出会った『ルチャリブレ』というファンタスティックな動きをする競技に興味を持ち、結果的にプロレベルにまで仕上げてしまう程にどっぷりハマってしまう。現在彼女の登山以外での唯一の趣味と言っても過言では無かったりする。 『狂気山脈』後の彼女は自分一人で出来なかった登山に果敢にチャレンジをするようになった。これからも、そしてこの先も登山家として成長を続けられるような素晴らしい女性を目指すことだろう。

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