タグ： 庭師は何を口遊む

高校時代、剣道部主将として活躍。その後、刑事であった父親の背を追ってか、刑事を目指し大学へ進学。 昔からなんでもそつなくこなす方ではあったが、悪く言えば器用貧乏。唯一の欠点は口下手なところぐらいだ。 これといった取り柄もなく今まで生きてきた。 剣道部主将という肩書が唯一ともいえる誉れでもあった。しかし大学での2年間の留年。 その後、めでたく刑事にはなれたが特に目立った評価もされない人生だった。 そう。彼女が来るまでは。 高校時代の部活の後輩でもある「相模原涼」。 彼女とは同じ名前だったという、その一点だけで仲良くなり、最も上代を慕っていた存在でもある。 そして、高校時代から上代の跡をたどるように刑事を目指すと常に言っていた。そんな彼女との「同僚」としての再会。 嬉しくもあったが同時に恥ずかしさも重なる。 しかし、相模原は昔と変わらずに上代を慕ってくれる。そんな彼女の様子を見ているうちに交際に発展。 署内ではその紛らわしさから自然と互いを苗字で呼び合う関係であり、プライベートでは「りょう」と互いを呼び合う。 そして、相模原の人柄の良さから人脈も次第に広がっていく。 相模原に連れられて、なし崩し的に加入した零課も、いつしか家族のような存在となり、相模原によって上代は居場所を、存在を与えられたようなものだった。 長い交際の末、次の事件が解決したら、白いアザレアと彼女の好きなアイビーの花束渡そうと考えていた。それが口下手な彼なりの愛の言葉だった。 アザレアの花言葉「満ち足りた心」 アイビーの花言葉「結婚」「夫婦」 しかし――― 教会の花束と化した、彼女から生える白いアザレアは凛とした姿をしており周囲にはアイビーが一際美しく鮮やかに咲き乱れていた。その鮮血と共に。 彼女への想いから上代は自らチーフを志願する。「庭師」を追うために。ほかの家族…零課を犠牲にしないために。 いまでも上代は白いアザレアとアイビーの花を部屋に飾っている。 そんな庭師の事件解決から数か月、上代は複雑な思いで警察官を続けている。 すでに零課はなくなってしまっているが、彼女が与えてくれた矜持を胸に、昔のような正義感はすでに持ち合わせてはいないが、彼女の形見が警察官として生きる意味を教えてくれる。そんな気がする…。

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ