タグ： くびこ

新宿にあるメンタルクリニックで働く男、日辻羊介。 ひょろ長い身体にもふもふの髪、やけに白すぎる肌。 同じクリニックのスタッフやお客様から『羊さん』と呼ばれる彼には、輝きのない彼にはすぎるほどの友人がいた。 苑芸寺丹子《エンゲイジ ニコ》、彼女は日辻の初めての友人であり、学友である。彼は彼女を通し、様々なものを見、触れ、そして、感じてきた。結果、極度に人が苦手だった日辻は彼女の輝きに道を照らされながら、だんだんと人と共に暮らすことに慣れていったのだった。いわば、彼女は彼にとっての恩人なのだ。 年齢を重ね、彼女が更なる高みへと足を進める中、日辻はメンタルセラピストとなり、何かあったとき支えられたらと切に望みながら、時を過ごしていた。 ある日、『彼女』がクリニックへとやってきた。そして、開口一番にこういったのだ。 ――羊介、私と一緒に来て。 何のことかなんてわからなかった。日辻自体その答えを持ち合わせるすべさえなかった。しかし、初めて『彼女』が日辻にそう願ったのが、ひどく嬉しくって、彼は承諾してしまったのだった。これから、自分自身に何が起こるのかも知らずに。 あの場所へと移動する車の中、日辻は初めて知ることとなる。 ――苑芸寺竜子逝去し、遺産相続をかけた話し合いが始まることを。

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ