タグ： 朝雛氏DX ‪α‬世界線

アナスタシアと同じ高校に通う高校3年生。その見た目から、学校では遠巻きに眺められていることが多い。 正体はUGNギリシャ支部で育てられたチルドレン。 元々FHに所属していたピュアのモルフェウスとピュアのエンジェルハイロゥでの交配実験により生み出されており、そのままFHで育成される予定であった。しかし、両親は我が子をいとしく感じてしまった。両親は我が子を守るためにFHから脱走し、極東の日本で平穏に暮らすことにした。 我が子が自身の力におびえることの無いよう、両親はUGN日本支部に依頼し、「習い事」と称して少女を訓練させていた。その結果、幼少期から2つのシンドロームを使うことができる才能が開花したのであった。 当時の支部長はUGNの中で過激派に属するものであり、常日頃からFHの醜悪さ、UGNの思想の気高さを語っていた。 そんな環境の中では、たまに傷だらけで帰ってくる父親の心配をしているような純粋な少女が、FHへの凄まじい憎悪を内に秘めていることに気づく者など一人もいなかった。 少女は15歳になり、高校入学を控えていた。我が子を愛する両親は決意し、今まで伝えていなかった家族の出自を語った。 「私たちは元FHで、お前はピュア同士の交配実験により作り出されたんだ。だが、私たちは生まれてきたお前が愛しくて、お前を連れて日本に逃げ出した。今まで習い事としてやっていたのは今からのためだ。…お前も高校生になってからはUGNチルドレンとして私たちと一緒にFHから秩序を守らないか？」 …ああ、あの教官の怒声が頭の中で反響する。 『FHは害悪と呼ぶのも生温い』 『我らの思想は世界の秩序のためである』 『FHなど生きている価値もない、即刻殺せばその場で英雄だ！』 「お、おいどうしたXXXX。なんで今銃を具現化してるんだ…？」 「だ、だめよ。私たちはもうFHじゃない！あなたを愛して…」 『FHの言葉に耳を傾けるな！奴らは甘い言葉でお前たちのような子供を掌で転がすのだ。』 起こした撃鉄が酷く不愉快に鳴り響く。 『お前は特に聞いておけよXXXX、お前を愛してるなんて戯言だ。』 『いいか。そんな甘い文句を平気で言うクソ共の口にはな、』 「……銃を突っ込んで、そのまま引き金を引いてしまえ。」 その晩、サイレンサーの静かな銃声が2発、響くことなく消えていった。 後で分かったことだが、あの支部長はFHと裏で取引をしており、彼女の両親を殺す目的であの教えを説いていたらしい。 もうすべてが手遅れだ。 この事件は次の上層部や新支部長が隠蔽しており、だれも知ることはない。彼女は高校に通うときに近いからUGNに入り浸っているだけであるし、今まで頻繁にしていた家族の話題が出なくなったのは年頃の女子によくある話だ。 両親の同僚にはFHの襲撃で私をかばって死んだという説明がなされているらしい。 両親の後を継ぐように、別の支部ではあるがUGNチルドレンとして活動をすることが決定した。 コードネームは『Sfyrí-angelos』(スフィリ・アンゲロス)。ギリシャ語で「撃鉄の天使」を意味する。 無垢を入れたのは、思えば自分への皮肉だったのかもしれない。 撃鉄鳴らす血塗れ少女。こっちの方が遥かに私に合っているとは思うのだが… 事実が隠蔽された今、そんなネームが許されるはずもない。 名前も過去のものを捨て、日本名を得た。 私はFHではないのだと示すように、自分の名前にUGNを入れて。 UGa ereNa 「初めまして、そして死んで？標的(ターゲット)さん」 「不可視の弾丸、あなたに見抜けるかしら？」 「凶弾に堕ちろ」 「私を…天使と呼ばないで」 19歳になり高校を卒業したが、彼女は大学には進まなかった。 現在は自らの活動拠点をギリシャに移し、自分や両親のことを調べている。 ただ、人手不足のUGNが優秀な彼女を野放しにすることは無く、定期的に日本へ戻りチルドレンとしての活動や、両親への墓参りを行っている。 いつからだろう。彼と彼女と一緒にいることが辛くなったのは。 彼女の笑顔や、彼の困った顔が好きなのに。 そして彼女は知ってしまう。 自分の知らなかった気持ちが芽生え、そしてその恋は惨めにも散ってしまうということを。 自分の誕生によって父と母に愛を与えた奇跡の子の遅すぎた初恋は、辛く痛いだけだった。 あなたは彼についていっぱい知ってるでしょう。そして彼に救われて、その気持ちに正直になったよね。 同年代の女子に比べてあまりにも普通過ぎるその感性はやっぱり浮きがちで、その中で唯一の友人に想いを寄せるのはおかしくないよ。 …それが彼じゃなかったらよかったのに。 でも残念でした。 やっぱりあなたは高校生で、彼はもう大人の大学生。 新婚生活は譲るから。 せめてキャンパスでは、私のもので。

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