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プラチナブロンドの髪、眠たげな翡翠色の瞳をした小柄な少女。 アルトゥーベ・ホワイトウッド侯爵の一人娘として生を受けたものの、貴族令嬢に相応しからぬ不器用さで社交界に名を知られていた。 スプーンやフォークを使えば口に運ぶまでに料理は皿に落ち、綺羅びやかなドレスを着れば十歩に一度は裾を踏んでずっこける。下級労働者なみの感性とセンスは早々に芸術家としての可能性を親に取り上げられ、思ったことをあまり考えず口にする性格は宮廷政治の世界に近づけることすら躊躇わせた。 それが、数多くいる兄弟姉妹の一人であったならそれでもよかったであろう。だが、彼女は侯爵家の跡取り娘。無才覚の凡百で終わることなど許されるはずもない。 10歳の誕生日を迎えたときようやく一つ。だが同時に比類ない才能を見出すことができた。 ――兵士としての才能を。 峻厳な訓練を日夜こなしながら、しかしそれをおくびにだすこともなく、今日もティアラは眠たげな瞳をこすりながら排煙に曇る日の出とともに眠りにつくのだった。 1891年　ロンディニウムの方舟 いろいろあって世界を救った。その過程でかなり人間的にも成長した。 1892年　ヴァンパイア・レポート 翌年にクラウン・R・シーフィールドとの結婚を控えている。 凋落著しい英国貴族の界隈にあって、エレノア・シーフィールドとともに職務に勤しみ、その命脈を僅かながら引き伸ばすことに成功しただろう。 その後、彼女の孫は渡英してきた桜堂歌子と結婚しており、曾孫は桜堂白乃となる。

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