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十六年間、FHによる人体実験の被検体にされていた過去をもつUGNエージェント。 収容されていた研究施設がUGNに襲撃され壊滅、彼自身もとあるエージェントに救出され、UGNに所属することになった。 名前もそのエージェントによって名付けられたもの（被検体番号を、梁山泊の同じ序列の人物の宿星になぞらえて付けた）。 膝下ほどもある長髪と中性的な顔立ちから女性と間違われることもあるが、実際は快活な男らしい性格。面倒見のよい兄貴分として振る舞う一方、仕事であれば情を挟まず淡々と任務をこなすリアリストな一面も持ち合わせる。 年齢の割に人生経験が浅いため、自分より年下の人物であっても基本は誠意を持って接する。 全身に実験の痕が残っているが気にしないふりをしている。 実験の後遺症が残っていない訳ではなく、他者に変化した際には対象の記憶が流れ込み、自我が薄れる危険があるため、〈擬態の仮面〉の使用は極力避けている。かつては実験での能力の多用により自我が消失する寸前に陥っており、保護される以前の記憶は断片的にしか残っていない。自我を辛うじて保てたのは、地獄のような境遇への絶望から、"楽に殺して欲しい"という抱える衝動と真逆の願望を強く持っていたからである。 また、長年苦痛に耐え続けていたため痛みの限界値が異常に高く、自身の感覚で判断した結果、力の加減が利かずに必要以上に他者を痛めつけてしまうこともあり、悪癖として認識している。 感情のコントロールが苦手で、無意識に負の感情が表に出ることも。 恋愛感情を全く理解出来ておらず、他人の恋はおろか自分自身の初恋にも気づいていない(過去の虐待のトラウマから、関連する行為に拒否反応が出るのも遠因)。 実験体としては"失敗作"であったため実験以外でも虐待を受けていた結果、自己評価は皆無。他者に必要とされることに存在価値を見出している節があり、他者のために命を投げ出すことを躊躇わない。人をモノのように扱う存在が何よりも嫌い。 自我が自分ではない何かに塗りつぶされることと、(後述する事件が原因の)大事な人に庇われることが最大のトラウマになっており、前者にはフラッシュバックした自己への不安から錯乱、後者は敵への憎悪と庇われた自身への怒りで暴走してしまう。 エージェントに転向した二年前に、任務で恩人を喪っている。 実際には敵の攻撃から巧を庇って深手を負い、そのまま敵の囮になったのだが、巧の認識では『恩人を見捨てて逃げた』ことになっており、未だにフラッシュバックするレベルのトラウマになっている。 得意とする高速戦闘も、“あの時、攻撃を躱せていれば”“あの時、引きずってでも一緒に逃げられたなら”という後悔が基で特訓を重ねた結果習得したものである。 このことがきっかけで、彼の本性はかなり歪なものになっている。 端的に言えば、粘着質で執念深い。敵と見なせば一切の躊躇無く殲滅しようとし、自身にとって大事な存在には過保護な傾向にある。万一、裏切ろうものなら殺してでも手元に留めようとするだろう。 現在は周囲の環境が安定しているため辛うじて精神の均衡を保っているが、何らかのきっかけで崩れればいつジャーム化してもおかしくない状況にある。 また、過度の精神的なストレスがかかると胸に激痛が走ることがある。肉体面での苦痛に強い反動が脆い精神面に集中した影響と推定され、巧にとっては唯一の"耐えきれない程の痛み"でもある。

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